〜大陸南西部・砂漠〜
「遺跡はあるのかなぁ、ワクワクすんなぁ!」
まだ見ぬ何かを楽しむように、砂と熱風ばかりの砂漠を軽やかな足取りで歩く、黒眼鏡を掛けた青年。
深緑色のフード付きの長外套(ロングコート)には幾何学的な紋様が刺繍され、その裾は幾筋も切れ込みが入っており、短冊状になった裾は羽を模したような形に整えられている。
良く見ると、裾付近には大量の羽飾りが長外套と一体化するように縫い付けられており、傍から見れば長外套の下半分が翼ではないかと錯覚してしまいそうだ。
長外套の下は逞しい胸板が露になっており、どうやら上には何も着ていないようだ。
下は、若草色と濃緑の二色が横向きで縞模様を描くズボン。
腰には革ベルトが二本、交差するように巻かれている。
「何が、あるかな? 何が、あるかな? 楽しみだなぁ!」
名はエヴァン・シャルズヴェニィ……二十歳という若さで、将来有望な若手探検家として注目を集め、名が知られるようになった青年だ。
エヴァンの父は高名な学者、母は『探検女王(アドベンチュラー・クイーン)』と呼ばれた屈指の探検家であり、その両親の血を受け継いだ彼は両親の死を切欠に一人旅に出た。
一人旅の中で、エヴァンは好奇心のまま遺跡や辺境を巡り、調査し、現在に至る。
「砂漠だから暑いけど、遺跡の為なら平気だぜぇ! さぁ、待ってろよ!」
砂漠の暑さを物ともせず、エヴァンは腕を上げて鼓舞し、まだ見ぬ遺跡に思いを馳せた。
×××
「……コレ、遺跡なのか?」
俺は砂漠を歩きまわって辿り着いた遺跡を前に、首を傾げていた。
何万、何億と石を積み上げて造られた四角錐型の小さな遺跡。
俺が辿り着いた遺跡は何というか真新しい感じがするし、入口らしき穴の近くには遺跡の番人であるワーキャットの亜種・スフィンクスがいない。
そもそも、此処に来るまでの間、性的な意味で恐れられるギルタブリルに遭遇しなかった。
誰も気付かない、気付いても無視する、寧ろ近付きたくない、そんな感じの遺跡だ。
「まぁ、いいか! んな事よりも調査、調査〜♪」
奇妙な遺跡に首を傾げるが、そんな事はどうでもいい。
俺は母さん譲りの好奇心のままに、遺跡に突入した。
まぁ、凄い今更なんだが……この遺跡が、俺の人生の分岐点になるとは思ってなかった。
×××
「……可笑しい、可笑し過ぎる」
カツン、カツン…と通路に響く俺の足音に、今更ながら疑問が生じる。
何も無い。
流石にアヌビスかマミーか罠が居るだろと予想してたんだが予想は大外れ、この遺跡には魔物が居ないし、魔物が居なけりゃ当然だが、侵入者撃退用の罠も無い。
真新しさもあって、この遺跡は何かが可笑しいぞ。
「………………」
可笑しいと言えばもう一つ、中に充満する異常なまでに濃い魔力だ。
俺は「ある事情」があって、魔法的感覚が滅茶苦茶鋭い。
バフォメット、とまでは言わんが、生まれたての上位の魔物よりは鋭敏で、魔力の流れや密度がしっかりと認識出来る。
それに、俺は下手な導師級(マスタークラス)―魔法使いの格の一つで、五つに分けられた格の中じゃ導師級は上から二番目だ―よりも魔法が使える。
まぁ、ドッチも自画自賛だけどな。
「『障壁(ウォル)』、一応張っといて正解だったな……」
『障壁』ってのは魔力で透明な壁を作る初歩的な魔法で、応用すれば大気に充満する魔力から身を守り、肉体への侵食をある程度は防いでくれる頼もしい魔法だ。
何の対策も無しに生身で入り込んだら、一瞬でインキュバス化しちまう……それ程までに此処の魔力は濃過ぎる。
「そう言えば、父さんの部屋の論文で面白いのがあったな」
その論文曰く、大気中の魔力を効率的に集約させるには四角錐型の構造物が最適であり、砂漠に点在する遺跡群は巨大な魔力集約装置である。
その論文を鵜呑みにすりゃ、異常に濃過ぎる魔力は納得は出来るが、魔物が居ない理由が分からない。
「お……?」
色々思考しながら通路を歩いていると、前方に何やら仄かな灯りが見えた。
灯りがあるって事は、魔物なり何なりが居るって事だ。
何も無い遺跡の中を探って、漸く見つけた何か。
俺は滾る好奇心のままに、灯りの見えた方へと向かい
『ふあぁっ、ああぁぁぁぁ――――――――――っ
#10084;』
絶句した。
「…………………………」
何だ、この光景……幾等俺でも、こんなのは見た事ねぇ。
灯りの見えた方向に進んだ俺が見たモノ。
古代の王が眠る玄室にしては殺風景過ぎる部屋、灯りは玄室(?)を照らす小さな魔力球が放つ光のようで、玄室の奥にいたのは
「あふっ、ふぁっ、はふっ……」
場所が場所だけに玉座にも見える真っ黒な球体に跨り、息を荒げる素っ裸の幼女。
顔はトロンと蕩け、幼女の大事な部分には球体から伸びた触手が、ウネウネと蠢きながら大事な部分
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