これは小さな町に住んでいた青年の話
童貞を卒業したい、最近はずっとこのことについて考えている。
彼女でもいればいいのかもしれないが不運なことに自分の世代は奇跡的に男ばかりでむさ苦しい。そして別の町に行くのはなんだかためらってしまう。田舎者と馬鹿にされたくないからだ。
娼館にでも行けばいいのだろう。そんな度胸はなかった。お金は消えるし裏の恐しいお兄さん方が出てくるかもしれないのが嫌だ。
そうやって望んでおきながら自分は逃げてきた。
だから成人して何年も経つのに童貞である。
冒険者になればとも思ったが才能に乏しいので諦めた。
我ながら情けない人生だ、穴があったら入りたい。
次の日、俺は仕事帰りに娼館に通う度胸もなく真っすぐ家に向かう。その途中のことだった。
(魔物出没注意?)
木製の掲示板にその旨の張り紙が張ってある。
近くの野原で鳥型の魔物が目撃されているから注意とのこと。
魔物は全員女の子だけど危険かつ好色であるらしく教会は魔物との交わりを禁止している。
……でももう魔物の女の子でいいや。
好色だったら経験豊富かもしれないし俺みたいな童貞でもOKしてくれるだろう。
そうとなればこの性欲由来の行動力で行ってみよう。
____________
次の日、昼頃にコソコソと隠れながら野原に着く。
童貞を捨てる、人に見つかるかもの二重の意味でドキドキした。
景色が良くてつい目的を忘れ……だめだ、童貞を捨てに来たんだ!心が落ち着いたからって忘れてはいけない。
野原にはあの張り紙のことがあってか人は俺以外いない。
で、童貞を捨てるために準備としてぽんぽこ商店なる店で避妊具は買った。魔物と交わるのは教会で犯罪としているが避妊具越しなら実質まぐわっていないのと同義で無罪。
確かシュレディンガーのなんとか理論だったかな?(犯罪だし理論も違う)
勇気と本能で来てみたが誰もいない。魔物すらだ。
あーあ、せっかく準備していたのになぁ
#12316;
……影?一瞬視界が暗くなった。
そんなものここにないぞ?
見上げてみると__人が飛んでいる!すごい!
……とまではならないが驚いた。あの子はハーピーか。確かに張り紙のとおり鳥型の魔物がいる。
落ち着けよ俺、まずは声をかけなきゃ始まらない!大丈夫だ声をかけるだけなら教会も禁止していない。合法だ。
最初は軽い挨拶程度のことから……天気の話とか?
とりあえず無難に声をかけよう。焦るな、焦ってもなにもない。
ハーピさんは地上に降り立つ。それから少し俺の方を見たがすぐに別の所を向く。
意を決して彼女に近づく。ヤバい心臓がドクドクし始めた。
落ち着け!
無理!
まずは挨拶からだ……深呼吸。
「あ、あの……」
「?」
声をかけるとハーピーさんは振り向いた。茶色の羽毛と髪が特徴的、改めて見ると綺麗な人だ。
落ち着け、失敗してもそれはそれなんだ今は挑め!
だめだ頭の中真っ白になる!!
「__お、俺の童貞貰ってくれませんか!」
……あれ?今自分でなんて言った?すごく馬鹿なことを言った気がする!いや言ったな!
「あ、すみません!ははは何言ってるんですかね馬鹿なことを「ん
#12316;、いいよ♪」__へ?」
嘘だろ!?
「いや、そ、そのあ、えっと……ごめんなさい」
「どうしたの?ドーテーをもらって欲しいんでしょ?」
「それはそうでけど……なんというか口が滑ったといいますか……」
「やっぱりワタシじゃいやなの?」
「そんなことないですよろしくお願いします」
ありがとうございます!貴女は俺の救世主です!
救いの女神でございます!
「でもさすがに名前も知らないヒトとはね
#12316;?ワタシはリーム。あなたは?」
「お、俺は__といいます」
「へ
#12316;、〇〇って言うんだぁ
#12316;これでワタシと〇〇は知ってる仲、これからずーっとよろしくね!」
「は、はい!」
この人が初めての人になるんだ、優しい雰囲気ののほほんとした感じな女の子が……とても不思議な気持ちだ。
ずっとというのはどうかわからないけど。
「〇〇、まずはワタシと何をしたい?」
リームからそう聞かれた。いきなりがっついても引かれるし……最初は……うん。
「キス、はだめですか?」
「いいよはいちゅ
#12316;」
リームが顔を近づけてくる。こんなにも綺麗な人としちゃうんだ。俺にはもったいな過ぎるのに。
自分からも近づいて唇が触れ合う。
「「____」」
リームが羽根で身体を包んで来る。
あ、抱擁力がすごくて緊張してるのに安心感と心地よさが気持ちいい。溶ける。
ゆっくりと口づけして、ゆっくりと唇が離れる。
リームの色白な顔が仄かに
[3]
次へ
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想