そう、それは岩を砕くほどの強烈な衝撃…

飛ばされた先で、俺は早速どうするべきかを考えてそう言えば双眼鏡を持っていることを思い出した

太一「あれは…」

どうやら小高い丘があることは分かったのでそこから改めてみてみようかと思い向かう

太一「なるほど…」

気を付けながら小高い丘に向かい、ついたのでまた双眼鏡で見てみる

太一「高い丘があるな…」

みんながそこに向かうことを推測して俺は背中を当てていた大岩から離れひたすらそっちに向かう…

太一「!?」

丘を降りると、ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!と轟音がする…

太一「!?」

どうやら、先ほどの大岩が抑えを失い転がってきたらしい

太一「!!!」

急いで逃げるが間に合わない、速度が違いすぎる…!!!

???『危ない!!!』

その瞬間、大岩が自分の後ろから来たなにかと激突してパガゴン!!!と砕け散る…

太一「…!?」

土埃が収まると、その後ろから来た主が居た…が…

???『うー…おー…』

まるで産地から取り出した原石のようなゴツゴツした形で上から葉っぱが生えている声色からしてやや低い声の女。そんな存在が下半身が土に埋まって居た

太一「さっきはありがとう、大丈夫か?」

???『そこの人間さんー、引っこ抜いてくれないですかー…?』

太一「あ、ああ…さっきの事が原因か?」

???『はいー、勢い余って埋まりましたー…』

太一「わかった、やってみよう」

そのまま彼女の脇の下に手を回して引っ張る

???『んんんんん…!!!』

渾身の力で引っ張ると、なんとか抜けた。彼女はそこまで重たくはなかったのが幸いだ…

???『助かりました〜』

太一「さっきはありがとう。俺は岩本太一」

???『私はクロムだよ』

太一「クロム、ね。さっきは危ないところをありがとうな」

クロム『あそこの岩、そう遠くないうちに転がってきそうだなと思ってたんだよ…』

太一「しかし、どうやってあの大岩を?」

クロム『フルパワーの体当たり』

太一「…葉っぱからして魔物なのはわかってたがその鎧もすごいな…それだけやって無傷なんてな…」

クロム『ふふふ…♪』

太一「どうするかな…このまま向かいたいが…っ!」

クロム『さっき倒れたときに足を捻ってるよ…』

太一「無理しないなら多分大丈夫だと思うが…」

クロム『だめ!あそこの坂とか結構きついし地面もよくないから危ない…!!!』

太一「だが…」

クロム『私の家に来たらいいよ』

太一「家に?」

クロム『うん、あそこ。』

巨大な艶のある灰色の果実を象った石のようなものが浮いている…

太一「…」

とりあえず彼女についていく…


クロム『そこに立ってて』

その浮いている果実を象った石のようなものの真下に立つ

太一「!?」

そのまま吸い込まれる、UFOの拉致もこんな感じだろうか…?











太一「…ここは、さっきの果実みたいなやつの中か?」

艶のある灰色一色の空間に俺はいた

クロム『正解ー』

太一「なるほど…」

とりあえず壁に寄りかかり座る

クロム『こっちで休んで…』

そのまま案内された部屋で仰向けに寝転がる

太一「…」

クロム『ふぃー…』

やはり鎧らしく彼女は原石の塊のような鎧を脱いでいく…

太一「目しか見えんかったがそんな姿してたのか…」

クロム『うん』

彼女は俺と同じくらいの身長、具体的に言えば160cm半ばだがやや筋肉質な体つきで肌の色は薄い灰色をしていて髪の毛は銀髪だ

太一「あれだけの鎧を扱えるだけはあるな」

クロム『まあ、ね…』

太一「??」

足首を荷物の上にのせ、高くする

クロム『あ、そうすると治りやすいの?』

太一「まあな、あとは固定することが出来りゃいいんだが固定できるようなものがない」

クロム『…』

太一「???」

クロム『これ、食べたら傷の治り早くなるよ』

彼女は片手で持てる黄緑色の果実を渡してきた

クロム『皮は剥いてあるからそのままかぶりついて食べてみて』

太一「…ありがとう」

そのまま果実にかじりつく、濃い甘さと酸味が俺の口に広がる

太一「んん、美味しい」

クロム『これ、私が採ってきたんだよ♪』

太一「美味しいな、瑞々しくて味も濃いがくどくない」

クロム『その木の実、怪我の治療にも確か良いから』

太一「なるほど…」

彼女は俺の命を助け、食べ物をくれた…俺は彼女になにかを返せただろうか?

太一「俺に、なにか出来ることはあるか?」

クロム『?』

太一「俺は、君に貰ってばかりでなにも返せてない」

クロム『…』

太一「俺に出来ることに限るが…」

クロム『なら、ひとつあるけど…』

太一「…教えてくれるか?」

クロム『私も魔物娘だから、一人は寂しい…だから』

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