それから数日、彼女との組み手が日常となったある日…
慧『そういえば』
晶「??」
慧『君はなぜその武技を?』
晶「あ、何でそれを習ったか。か」
慧『そうそう』
晶「まず第一に、家が近かった」
慧『ふむ』
晶「第二に、俺は小さい頃からだが弱かったからそれを克服するためにやってみたら?と親が言った」
慧『なるほど…身体を鍛えるためか』
晶「で、基本的な鍛練は出来たんだがその先に行くかをある日聞かれたんだ」
慧『その先?』
晶「簡単に言えば護身術の先、相手の身体を破壊することで身を守る攻めの護身術だ」
慧『で、その先に行ったと…』
晶「その時師範に言われた「お前の心には強い憎しみが宿っている。その憎しみをその先で進化させてみないか?」とな」
慧『武道家としてどうなんだそれは…』
晶「心理学における昇華に近いものだと思う」
慧『????』
晶「強いストレスが溜まり続ける環境になったときにどんな変化を起こすか?それの変化の一つ」
慧『他にどんなのがある?』
晶「分かりやすく言うなら八つ当たりとか小友のわがままとかもここにはいるな」
慧『何となくわかった…』
晶「で、その憎しみを八つ当たりとのに向けずにひたすら鍛練してたら俺はこの技を習得していた」
慧『なるほど…』
晶「あくまでもこれは技術でしかない、道具に善悪がないのと同じように技術にも善悪はないと俺は思う」
慧『確かに、好んで使いそうには見えないしな…』
晶「普通に肩の関節を外すだけで大概は無力化できるし」
慧『関節?』
晶「意図的に肩を脱臼させるんだよ」
慧『確かに常人ならそれで無力化できるだろうな…』
晶「簡単に外せる上で無力化もできる、利便性が高いんだよ」
慧『なるほど…』
晶「他にもいろいろあるが治療も簡単なやつはこれだ」
慧『なるほど…』
晶「以上かな」
慧『過去の苦しみの産物な訳か…』
晶「そうなるな」
慧『で、何でそこまで強い憎しみが?』
晶「親友に大ケガをさせておいてヘラヘラ責任転嫁した奴がいたから」
慧『大ケガ?』
晶「そいつがふざけたせいで両足の骨折と治療しても顔に残る傷がついた」
慧『なるほど…ひどいことをするな…』
晶「俺はそいつの両肩を外して丸二日ほどひたすら叩きのめし続けた。我ながらよくそこまで体力持ったなと思うよ…」
慧『死んだのか…?』
晶「いや、死なんところしか殴ってない」
慧『優しいのかえげつないのか…』
晶「まあ、顔はじゃがいもみたいになってたけど」
慧『じゃがいも…』
晶「で、その後は揉み消されたらしい。俺がやったことは」
慧『????』
晶「そいつの親が世間体を気にしたんだろうな」
慧『まさかそれも考えのうちか?』
晶「いや、ただ悪いのは向こうだしそれをバラされたくはないだろうなくらいしか考えてなかった」
慧『なるほど…』
晶「あの時位かな、キレたことで却って冷静になったのは」
慧『怒りがある程度以上になると冷静になる。というやつか』
晶「そうそう」
慧『あまり見せたくないと言ったのはそういうことか』
晶「まあ、あまり表に出すと、な?」
慧『そこまで話してくれたのは、信用しているからか?』
晶「まあそんなかんじ」
慧『なるほど…』
彼女の顔が赤い、どうしたというんだ?
晶「そろそろ飯らしいな」
食事と呼ぶ声が聞こえる
晶「ごちそうさま」
あれからすぐに夕食になったので何が起きたかはわからなかった
慧『…』
彼女は俺の部屋に来た
晶「????」
慧『…』
晶「どうした?」
慧『!!』
そのまま彼女に腕を掴まれて彼女の部屋につれていかれた
晶「どうした!?」
慧『…』
顔がさらに赤く見える
慧『…』
彼女は俺の両肩を掴んで震えている
晶「爪、爪食い込んでる…」
慧『!』
彼女はまだ震えている
晶「もしかして…」
慧『…』
晶「何かの病気か?」
慧『いや…』
晶「????」
慧『昨日までは、組手をしていて発散できていた…』
晶「そういや今日は話で終わったもんな…」
慧『今日はしなかった…』
晶「まさか、魔物としての本能的なもの…?」
慧『…』
そのまま彼女は重々しく頷く
晶「多少安心した」
慧『?』
晶「そういうの嫌いで抑え込んでただけなのかなと」
慧『それはない』
晶「スイッチ入ってなかっただけか…」
慧『…』
彼女は静かに頷く
晶「なるほど…」
慧『…』
晶「この流れだと、逃がす気はない感じだな…」
慧『…』
晶「ましてや、リミッターが外れた君から逃げられると思ってるほど俺も楽観的ではないさ」
慧『…』
晶「君は、
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