雷を用いない痺れる快楽(トリカブト→マンドラゴラ)

俺は赤谷 士郎。ある曰く付きの林に来て花の絵を描こうと思って来た

士郎「やはり魔物が侵食している場所だと珍しい花や木も多いな」

題材に良さそうな花や木は無いかと探していると

士郎「これは…」

紫色の花が咲いている、しかもかなり大きい

士郎「よし、これにしよう」

そのまま早速色鉛筆と画用紙を鞄から出して描き始める

士郎「…」

しばらく描いて腹が減ったなと思ったらもう昼の二時に差し掛かろうとしていた

士郎「少し、休憩だな」

そのまま持ってきたカロリーメイトを齧る

士郎「…」

そのままミネラルウォーターで喉を潤す

士郎「…」

また絵を描くのを再開する

士郎「…こんなものか」

描き終えた絵をしまい、立とうとすると…

???『…』

花がモゾモゾ動いている…なんだこれは

???『人間さん、ですよね?』

士郎「あ、ああ…」

???『いきなりで悪いですけど、ひとつ頼まれてはくれませんか?』

士郎「…?」

???『私を、引き抜いてくれませんか?』

士郎「…」

引き抜こうにも役に立ちそうな土を掘る道具は…あった…

士郎「わかった」

そのまま近くにあった太めの枝で回りをほぐしていく

???『よいしょ、よいしょ…』

彼女の腕が出てきた

士郎「ここからは…」

彼女の身体に当たらないように掘っていく

???『あと少しです…』

彼女はもう引っ張りながら掘ることを繰り返して膝の少ししたまで出てきた

士郎「よし」

さらに掘って彼女を引き抜く

士郎「叫ばないのか?」

???『それじゃ下手したら恩を仇で返しかねませんでしょう…』

士郎「人間的な良識を持っていて助かる…」

そのまま彼女の花の部分の絵を見せた

???『おぉ…色鉛筆だけでここまで描けるのはすごい…』

士郎「埋まってた以上家はないか…」

???『ですね…』

士郎「なら、ここの責任者の魔物に頼んでおこう」

そのまま責任者のところに彼女を運んでいくと、すぐに林の奥、この林が連なる山の麓にある集落に案内された

士郎「ってもう夕方か…」

新しい彼女の家についたがもう夕方だ

???『今日は、泊まっていってください。』

士郎「そうだな…」

掘ったあとにすぐ担いだので見られなかった彼女の全身を見る

士郎「そういえば君はマンドラゴラでいいのか?」

???『はい、マンドラゴラです』

士郎「なるほど…」

改めて彼女の全身を見るが、マンドラゴラのイメージとはかけ離れた母性的で豊満な肢体だ…

???『魔物になる前から結構彼処で育ってましたから』

士郎「なら納得だ」

彼女は自分の脚にある根を歩きやすいように切って出来た根を煎じてくれた

???『のんでみて、ください。』

士郎「…?」

そのまま煎じてくれた茶らしきものを飲む

士郎「苦いが、深みのある味だ…」

???『良かった…』

彼女は心底安心した顔をしている…

士郎「??」

???『そういえば、私に名前をつけてくれませんか?』

士郎「まあ、名前なんてないだろうな…今日まで埋まってただろうし…」

???『はい』

心まで暖まってくる、彼女は一体…

士郎「エリザなんてどうだろう」

???『何か着想があるんですか?』

士郎「前にやっていたゲームのマンドラゴラの娘の名前がそれがだった」

???『ありがとうございます♪』

士郎「!」

なんと言うか彼女は思ってた以上に魅力的だ…

エリザ『実は私は、トリカブトからマンドラゴラになったんです』

士郎「何だと!?」

エリザ『命を奪う毒は消えていると証明もしてくれましたが、不安で…』

士郎「魔物って例え毒性の強いものでも非殺傷に変わるのか、なんと言うか魔王が徹底してるな…」

エリザ『ですね…』

士郎「さて、これからどうするんだ?」

エリザ『…』

そのまま彼女は抱き付いてきた

エリザ『暖かさを知ってしまいました』

士郎「…」

俺は目を閉じる

エリザ『できるなら、離れたく…ない…』

士郎「…」

なんと言うか、彼女と居ると穏やかな気分で居られる。

士郎「…」

そのまま抱き返した

エリザ『!』

士郎「わかった。」

エリザ『…
#128156;』

それから風呂場に向かった

エリザ『なんと言うか、悲しそうに見えます』

士郎「わかるものか」

エリザ『何があったんですか?』

士郎「強いて言うなら、虚無感かな」

エリザ『??』

士郎「何も悪いことは起きないが良いことも起きない、ただただ無色に近い日常を繰り返していた」

エリザ『?』

士郎「俺の職業は画家だ」

エリザ『あぁ、なら問題ですね…題材になりそうなものが拾えないなら…』

士郎「そういうことだ、だからここならいい題材
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