それから数日は、何事もなく過ぎた
雅史「…」
エイリス『手際、良いですね…』
雅史「かれこれ一人暮らし四年目だから、な…」
エイリス『なるほど…』
生協から来た食材で調理をしていく
雅史「なんだこれ、頼んでないやつだが…」
エイリス『多分それ、魔界の果物ですね…』
雅史「こんなところにまで、侵食してきているか…」
エイリス『?』
雅史「いつの間にか、俺を攻撃してきたやつらも居なくなった。死んでくれてた方が好都合だったが」
エイリス『これは…』
雅史「できた、飯にしよう」
そのまま昼食にする
雅史「世の中、本当に便利になったもんだ…」
エイリス『本当に家から出ずに暮らせてますね…』
雅史「ああ、外と関わりたくない」
エイリス『…』
食事を終えて、証券会社の相場を確認する
雅史「よし、これでまたお金が増えた」
エイリス『堅実…』
雅史「大穴狙いはやらない」
エイリス『今日のお仕事終わりですか?』
雅史「ああ」
エイリス『なら、服でも買いにいきましょうよ』
雅史「いや、家から出ずに買えるし…」
エイリス『私の服です』
雅史「あ、はい」
そのまま買い物に向かう…
雅史「…」
久々にこんな長い時間外に出ているな…
エイリス『どれがいいですかね…?』
雅史「普通にセーターとかでいいんじゃないか?」
そうしていると…
???「お前は、弱虫のゴミクズ雅史じゃないか」
会いたくない奴が来た、これだから…
雅史「…」
???「なんだその目は、また痛め付けられたいか?」
雅史「成長したのは図体だけか、はぁ…」
???「んだと!」
殴り掛かってきた拳をそのまま掴み、腕をつかんで捻り上げる。和也やジュンに護身術を教わっておいて良かった…
???「!」
雅史「こんなやつにいじめられてたのか、なんか腹立ってきた」
そのままそいつの肘を思い切り膝を使ってへし折る
???「あぁぁぁぁぁ!!!!」
雅史「…」
そのままかつてされたように全身を何度も何度も何度も何度も殴り、蹴り、投げ飛ばし、踏みつける
エイリス『一体、何が…』
どうやら彼女も戻ってきたらしい
雅史「ちょっと、目を閉じててもらえるか?」
そのまま鳩尾に渾身の蹴りを入れる
エイリス『!!』
雅史「…」
さらに喉の気管に当たる場所を握りつぶすようにつかむ
エイリス『やめて…やめてください!』
雅史「?」
エイリス『何があったのか知りませんがやりすぎです!』
雅史「こいつ、俺をいじめてた奴の一人。」
エイリス『!』
雅史「攻撃をして来たのは、向こうだし」
そのままつかむ力を強める
エイリス『だからって…』
雅史「レイモンド・チャンドラーの小説にあるフィリップ・マーロウの言葉を知っているか?」
エイリス『いえ…』
雅史「俺も和也から、和也はジュンさんから聞いたらしいが「武器(銃)を返してやる。清掃して充填も済んでいる。だがいいか、決して人に向けて撃つな、撃たれてもいいというのでなければな。」ということだ」
エイリス『えっと…』
雅史「できるだけ分かりやすくいうなら撃っていいのは撃たれる覚悟のあるものだけだ。という感じだ」
エイリス『なるほど…暴力を受けたからその男には暴力を受ける覚悟のあるものと見なして…』
雅史「そういうことだ」
エイリス『死んでしまいますよ…?』
雅史「この程度ではまだ死なない、もっともっと苦しめてやらねば」
エイリス『…』
雅史「俺の受けた苦しみ以上に…」
手を離すとそいつを袋に入れる
和也「お、買い物か。って…」
和也に見つかった
和也「派手にやったな」
雅史「ああ、撃っていいのは撃たれる覚悟のあるものだけ。だから」
和也「このまま重石でも着けてどこかに沈めるか?」
エイリス『和也さんまで…』
和也「っと、忘れてた。こいつ必要なんだった」
雅史「?」
和也「最後の奴として魔物に引き渡さないといけない」
雅史「…いやだ。」
和也「まあ、そう言うだろうとは思った」
雅史「俺の苦しみはこんなものでは足りない」
和也「…」
雅史「俺は弱かったから暴力を受けた、だから力を」
和也「…」
雅史「孤独でもいい、誰にも屈しない力の方が大事…」
和也「…」
そのまま俺は雅史を抱き止める
和也「力によって孤独になると、誰も寄ってこない。そうなってはおしまいだ。」
雅史「だが…」
和也「ジュンさんは、孤独だったか?」
雅史「…いや」
和也「ジュンさんは、弱かったか?」
雅史「…いや」
和也「急ぐことはないんだ」
雅史「…」
そのまま雅史は崩れ落ちた
和也「とりあえず、こいつを運んでかないとな」
そう言い終
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