俺は、乾 一真。確か昨日は…あれ?
一真「思い出せない…」
俺が目を覚ますと、見覚えのある丸目の耳の生えた頭と大きな尻尾を生やした女性が俺に抱きついて眠っていた
一真「どういうことだ…?」
俺の左腕には謎の紋章らしきものが刻まれている
???『…』
彼女は何か言っている
一真「??」
???『どこにも行かないで…』
そのまま泣いている…
一真「…」
うなじを撫でていると、彼女は穏やかな寝息を立てていく
一真「…思い出した」
確か彼女の落とし物を見つけて、それから彼女の家まで送って行った後に俺の記憶がそこで途絶えていることだけは思い出せた
一真「お、起きたか」
???『ごめんなさい…』
一真「??」
???『ごめんなさい…ごめんなさい…』
一真「落ち着いてくれ…何があったか?いや、俺に何をしたかを教えてくれ」
???『…』
彼女によると、俺が拾った落とし物(鈴のついた小袋)は彼女の祖母の形見でとても大切なものかつ商売や精神の御守りだったらしい
一真「だからあの時あれだけ慌ててたのか…」
???『うん…』
一真「で、そこから?」
???『実は…』
家まで送って行って玄関のドアを開けた直後、彼女は俺に魔界製のスタンガンを当てて気絶させたらしい
一真「何してくれてんだよ…」
???『ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…』
一真「で?その理由は?」
???『…』
彼女曰く『御守りをなくしてとても弱い気持ちになっていた時にそれを見つけてくれた男性、魔物としてのスイッチが入ってしまった』とのことだったらしい
一真「幾分強引な方法だったが理由はわかった、ここは?」
???『ここは、そもそもあの家には転位の魔方陣があって…そこから行ける私の別荘』
一真「なるほど…」
???『本当に、ごめんなさい…』
一真「とりあえず、状況はわかった。で、君は?」
???『え?』
一真「名前だよ、名前。いつまでも君呼びではやりにくいだろ」
???『私は、柚葉だよ…』
一真「柚葉ね、了解。俺は一真だ」
柚葉『うん…知ってる』
一真「…」
柚葉『…』
一真「…」
どうするんだよこの空気…と思っていると
柚葉『ねぇ…』
一真「??」
彼女の眼にはなんというか見たことのないものが宿っているように感じた
柚葉『一真が起きるまで、しないって決めてたけど…』
一真「!?」
紋章が光り始める
柚葉『逃げても良いよ、どこまでも探して見つけるから』
一真「…」
改めて眼を見る、彼女の眼からは光が消えているように見える。
一真「その前に、幾つか聞いていいか?」
柚葉『なに?性感帯?それとも好きなシチュエーション?』
一真「いや、もっと根本的なことだ」
柚葉『???』
一真「まずひとつ目。柚葉、君は俺の事が…???」
柚葉『うん…誰にも渡したくない、私の持てるもの全部を捨ててでも貴方が欲しい。貴方が側に居てくれるなら他には何も要らない。私は貴方が好き。』
一真「な、なるほど…」
鉄砲水のようにぶちまけられた言葉の意味をひとつひとつ噛み砕いていく
柚葉『…』
彼女はすがるように、そして俺の本心を見極めるように俺の眼を見ている
一真「なら…次の質問、君は裏切りはないか?」
柚葉『もちろん』
一真「なら、最後の質問」
柚葉『???』
一真「本当に、後悔はないのか?」
柚葉『もちろん』
彼女を改めて見る、琥珀色の眼は俺だけしか見えていないようにも見える。
一真「なら…俺の答えは…」
そのまま彼女をゆっくり抱き締めた
柚葉『…ぇ?』
一真「望むなら居てやる、だからそんな泣きそうな顔をするな」
柚葉『…うん…』
なんというか、彼女から向けられた偏愛ともとれる感情は俺の心に食い込んで離れなくなっていた
一真「俺を好きになってくれて…ありがとう…」
柚葉『…
#129505;』
シャワーに向かう
一真「ふう…」
シャワーを浴びて気合いを入れ直す
一真「…」
上がって待つ…
柚葉『お待たせ…』
彼女はバスローブを放り投げ生まれたままの姿で俺に対峙する
一真「って篭にちゃんと入ってるし…」
それを言った直後に見た彼女の肢体は狸らしく少しぽっちゃりしていてとても柔らかそうだ…
柚葉『スレンダーな方が好き?』
一真「いや、抱き心地良さそうだなって」
柚葉『なら確かめてみて…
#129505;』
一真「!!」
そのままベッドに向かってダイブしたところをもろに受けて押し倒されるかたちになる
一真「!!」
予想した通り暖かくて柔らかい…
柚葉『…
#129505;』
そのまま頭を抱き抱えられる
柚葉
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