亮「はぁ…」
和也達が去っていった後、俺はため息を漏らした
亮「確かに店も順調だし店員も居るから経営自体は大丈夫なんだが…」
俺の手にはたくさんの見合い写真がある
亮「相手の都合も考えずにやるなよな…」
相手のほとんどが魔物である以上、仕方ないと言えば仕方ないが
亮「??」
部屋の窓を見るとピンク色の衣服に身を包んだ女が俺を見ている
亮「浮いてる…」
アンジェラ『キューピッドだからね、飛べるよ』
亮「お、おう」
なにか用があるらしい顔をしていたのでとりあえず部屋に上げる
亮「どうぞ」
紅茶を出す
アンジェラ『どうも…』
なぜここに来たのかを早速聞く
亮「なにか用があるらしいが、用件は?」
アンジェラ『私は貴方の恋愛成就の手伝いに来たのよ』
亮「????」
アンジェラ『和也達に祝福の矢を放とうとしたら気づかれて「自分達は良いから貴方のもとに行って力を貸して欲しい」ってね』
亮「なるほど…変わったな、二人とも」
アンジェラ『??』
亮「昔話だが、聞きたいなら」
アンジェラ『えぇ。』
俺は彼らの過去から随分と心に余裕ができたと感じたことを話した
アンジェラ『なるほど…彼女たちは適任だったのかもね』
亮「確かにな、二人とも一歩間違えばとても排他的、いや…」
アンジェラ『続けて大丈夫よ』
亮「狂愛に踏み込むレベルだったように見えたからな」
アンジェラ『同感ね…ただ真実の愛って重たいと言う感じの意見もあるけど』
亮「なるほど…」
アンジェラ『それは?』
亮「見合い写真なんだが、写真集かって言いたい」
アンジェラ『確かにね…ふふ…』
亮「俺の意見も聞かずに引っ張って来るなっての、後継ぎ欲しいのは親として仕方ないだろうが」
アンジェラ『辟易ぎみ?』
亮「かも」
アンジェラ『どうしたものかしらね、彼女たちだと間違いなく急進的よ。後の幸福は確定としても』
亮「ですよねー」
アンジェラ『…』
彼女はなにかを考えているらしい、話すことがないと気まずい…
亮「板挟みっていうやつだな…親の好意は無下にできんし、かといってこのままでいいともな…」
アンジェラ『そうだ…!』
彼女は小さめの篭に入った木の実と説明書らしき紙を見比べてオレンジ色の木の実らしきものを食べた
アンジェラ『!!!!』
亮「!?」
彼女は手からピンク色の矢を精製した
アンジェラ『避けない、でね…♪』
亮「いやいや、当たったら不味いだろ…」
アンジェラ『死にはしないわ、と言うより痛みもないし体には影響出ないから』
そのまま五本の矢が俺に向かって飛んできて、十字に俺の胸へと刺さる
亮「!?!?」
ルージュ『私達キューピッドは、言葉で表すの苦手だから…』
亮「…」
伝わってきたのは、なんと言うか…
アンジェラ『乗り気じゃないのに親を悲しませたくないって断れない優しさと誠実さ、私は貴方のそこに惹かれた。』
亮「お、おう」
アンジェラ『…♪』
そのまま壁際に追い込まれていた俺を彼女は抱きしめる
アンジェラ『幸せ…♪』
亮「明日と明後日休みで良かったかも…」
営業日のことが口から出た…
アンジェラ『返事、聞いてない…』
亮「そう、だな…」
俺は彼女を抱き返すことで応えた
アンジェラ『嬉しい…♪』
亮「ならまず親に言わんとな」
電話を掛けたが、両親は驚きながらも喜んでくれた
亮「次は…」
和也に電話を掛けるが、出ない。ジュンにも掛けるが、出ない…
亮「なんかあったのかな…」
アンジェラ『多分相愛をより深めてるわ…♪』
亮「あ、察した…」
アンジェラ『多分貪欲よ、彼女たち…』
亮「ですよねー」
アンジェラ『ねぇ…』
亮「ん?」
そして、両親は最後に『店はしばらく切り盛りしておくから思う存分絆を深めてくるといい』と言われていたのを彼女も聞いている…
アンジェラ『キスして、いい?』
亮「あ、ああ…」
アンジェラ『…♪』
亮「ん…」
触れるだけかと思ったらゆっくりと舌を絡めてくる…
アンジェラ『んちゅぅ…♪ちゅちゅ…♪』
亮「…!」
崩れ落ちそうになる体をなんとか支える
アンジェラ『大きく…なってる…♪』
亮「身体は正直か…ここでこれ以上なにか言うのも無粋かもな…」
アンジェラ『なら…』
亮「風呂入ってこよう、そろそろ沸くはず」
アンジェラ『そうね…』
その直後に風呂が沸いた
亮「なら、お先どうぞ」
アンジェラ『せっかくだし…』
彼女は少し赤くなっている
亮「お、おう…」
体を洗いゆっくり浸かる
亮「今日はそんなに疲れなかったな…」
アンジェラ『??』
亮「あの二組の貸し切りだったから」
アンジェラ『なるほど』
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