私はアイシス、この町に来て三年強経ちそれなりの規模にまでサバトを広げたバフォメットだ。
アイシス『?』
私が春のある日その若者を見つけたのは偶然だったのかもしれないが、今となってはどうでも良いことだ。
アイシス『若者よ、なぜボーッとしておる?』
???「…?」
その若者はしばらく辺りを見回して自分を指差した
アイシス『そう、お主だ』
ベンチに座っていた若者は少しして…
???「桜を見ていたんだ」
アイシス『確かに、満開じゃな。』
???「ここで飯にしようかと」
アイシス『なるほど…』
若者の手元には、近くのコンビニで買ってきたのであろうサンドイッチとサラダとペットボトルの茶が袋から見えた
???「俺は太一、君は?」
アイシス『私はアイシス、バフォメットだ』
太一「アイシス…ああ、この街のサバトの総責任者なのか」
アイシス『そうだな、そうなる。』
太一「では、いただきます。」
アイシス『して、太一』
太一「?」
アイシス『なぜお主はこんな昼間から公園に?働いていないのか?』
太一「まあ、ね」
アイシス『…』
太一「俺には親はいない」
アイシス『???』
太一「君たち魔物が来る少し前に俺は施設に預けられて、その数日後に遺伝子上の親であった男女は行方不明になったんだ」
アイシス『なるほど…辛いことを思い出させた…』
太一「いや、大丈夫。」
思えば、この若者の顔にはどこか諦めたような物が浮かんでいたがそれは親がいないことではないのに私はそのとき気づけなかった。
アイシス『お主、天気の悪い日以外の日中はここにいるのか?』
太一「大体はね」
季節は夏になった、だがこの男は相変わらずベンチで座っている…
アイシス『暑くないのか?』
太一「暑いけど、でもこの暑さは今年だけのものだろう?」
アイシス『まあ、確かにな…』
太一「だからある程度体感しておこうかなって」
それから少し話すと彼はどこかいくところがあるらしくそこに向かった。
アイシス『やはり居たか』
秋になったが、彼は居た。天気の悪い日以外はほぼ毎日私一人か或いは配下の魔女やファミリアを連れて彼と話をしに行った、春から何か引っ掛かるものがあったのだ。
太一「お、今日はお伴いないのか」
アイシス『お主の紹介のお陰で旦那を得られた、感謝する』
太一「それは何より」
彼の表情には影があった、春からその影はどんどん強くなっている…
アイシス『…ひとつ聞いても良いか?』
太一「なに?改まって」
アイシス『お主は親がいないと言ったがそれは嘘だろう』
太一「ありゃ、流石に上位の魔物は騙せないか」
アイシス『だが大事なのはそこではない』
太一「???」
アイシス『お主、何を一人で抱えている…?』
太一「やっぱり上位の魔物には隠せないか…」
アイシス『…答えてくれ』
彼はのらりくらりとやり過ごそうとしたが聞かねば後悔する、自分の感覚が警笛をならしていたのだ
太一「俺の身体は、腫瘍、それも悪性のものの巣だ。」
彼は諦めたように、そしてどこか自嘲気味に言う
アイシス『何と…!?』
太一「でも、君たちには感謝している。」
アイシス『?』
太一「余命3ヶ月って君に初めて出会った日に言われたんだよ」
アイシス『何と…』
太一「君たちに出会えて、少しだけど命が伸びた。それだけじゃない」
アイシス『…』
太一「君の仲間に幸せを運べたんだ、これで…」
アイシス『!!!!』
私は理性より先に身体が動き、胸ぐらをつかんでいた
アイシス『何故言わなかった!!!!!』
太一「これも運命だから」
アイシス『…?』
太一「俺が生まれたとき、俺の祖父がある的中率九割超えの占い師に俺を見せたらしい」
アイシス『…』
太一「この子は、九割の確率で早死にする。だが死のうが生きようがその前に誰かを幸せにするって占いの結果が出てたから」
アイシス『なるほど…それで運命と…』
太一「それに、生き物って必ず死ぬだろ?」
アイシス『アンデッドの魔物は、生き物ではないと…』
太一「あれは例外かな、一度死んで復活したのがほとんどだろうし」
アイシス『…』
私は有無を言わさずに彼をサバトへ連れ帰った
太一「何を!?」
アイシス『お主は死なさん…』
太一side
太一「だから、これも運命だから」
アイシス『ならばその一割になろう…』
彼女はどこかに連絡をしているらしい
太一「?」
そこに来たのは白衣を来た魔物の少女たちだった。
太一「君達は?」
???『医療サバトのマーガレットだ、よろしく。』
太一「え、あ、はい、よろしく」
その後、彼女は俺の体を調
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