俺達のところにきたネズミ娘が二週間ほどたち必要なことはほとんど教え終わったある日のこと、彼女と雫達を連れて普段とは別の中立領と呼ばれる扱いの町に買い物にいった。その帰りのこと…
和也「?」
ある店から男が叩き出されていた
和也「身なり、か…すべてとは言わないが…」
ネズミ娘がその男を見ている…
雫『和也?』
和也「大丈夫か?」
継ぎはぎだらけの服を着た男に話しかける
???「大丈夫だ…」
和也「腹が減っているのか?」
???「ああ…おまけに財布まで落とすし、ついてない…」
和也「…ならうちに来るといい」
???「?」
和也「こっちだ。」
そのまま彼を連れて帰宅する…
和也「とりあえず、シャワー浴びてきたらいい」
???「ありがとう…」
彼がシャワーに向かったのを見届けて俺は呟く
和也「あいつ、浮浪者には見えないが何者だ…?」
娘『あの…』
和也「?」
娘『ありがとう…』
和也「あの男が気に入ったのか?」
娘『何て言うか、えっと…』
和也「まあいい、とりあえず飯を作ろう」
娘『…はい!』
彼女は教わったものにアレンジを加えて料理を作っていく…
和也「さてと…」
とりあえず服を貸すことにして待つ
???「ありがとう、さっぱりしたよ…」
和也「とりあえず、それ着るといい」
???「…」
静かに頷き、着ていく…
和也「飯はできてる、食べてきたらいい」
???「ありがとう…」
和也「…」
彼が食事を終えたのを見て、俺は切り出した
和也「お前さんは、何者なんだ?」
???「?」
和也「ただの浮浪者には見えなかったが」
???「わかるものなのか…」
和也「ああ、なんとなくだけどお忍びで旅行していた貴族か没落貴族かなと見た」
???「見事、前者だよ…」
和也「服は追い剥ぎかなにかにやられたか」
???「そこまでわかったか…大したものだ…」
和也「とりあえず、今日は泊まっていけばいい」
???「本当に、ありがとう…」
和也「俺は和也、お前さんは?」
???「君のことは知っている、魔王たちから依頼を受けることもあるらしいな。私はオスカーという」
和也「まあ、結果はわかるが散々な旅行だったな…」
オスカー「そうでもない」
和也「?」
オスカー「反魔物領、中立領、親魔物領と見てきたが人間は環境でここまで冷たく、そして醜くなるものだとわかった」
和也「環境が人を作り、人に環境は作られるというしな」
オスカー「違いないな…」
和也「お前さんの世話は彼女に任せる、なにかあったら」
オスカー「ありがとう、君は?」
娘『ラージマウスってネズミの魔物だよ』
オスカー「いや、そうじゃなくて…名前は?」
娘『ないよ、割りと最近に魔物になったから』
オスカー「なるほど…」
和也「ほら、これ持ってけ」
俺は彼女にかつて食べさせた木の実とは同じ形だが違う色の木の実を渡した
和也「後はこれだ」
メモも渡す
娘『ありがとう…』
和也「なら後は二人で…」
俺たちはとりあえず立ち去る
雫『巧くいきますかね?』
和也「二人次第だな」
瑠璃『印象は悪くなさそうだったけどね』
オスカー「なるほど…君も和也さんに…」
娘『うん、食料庫に入って食べ物を食べてたんだけど見逃してくれた上で食べ物をくれたよ』
オスカー「なるほど…よほどお腹が減っていたのか…」
娘『同じネズミでもからだがちっちゃかったから全然食べられなくて…』
オスカー「なるほど…ところで君が私を助けてほしいと言ったのは本当かな?」
娘『うん、和也さんも興味があったらしく助けてくれたよ』
オスカー「なるほど…」
娘『でもそうでなくても助けてくれたかもね』
オスカー「かもしれないな…。」
娘『名前ないと不便だよね…』
オスカー「ティニーって名前はどうかな?」
娘『いいの?名前くれるの?』
オスカー「君に助けられたようなものだからね」
娘『ティニー、私はティニー…うん!』
オスカー「なら、よろしく。ティニー」
ティニー『よろしくね。』
翌朝、彼女は私にしがみついて寝ていた…
オスカー「?」
ティニー『…ない…』
オスカー「?」
ティニー『離れたくない…』
オスカー「…」
私は彼女のことを思い出していた。心が暖かくなる食事、美しいというよりはかわいらしい笑顔、そして勤勉さと一生懸命さ…
オスカー「大丈夫?」
ティニー『こんなことしちゃダメなのはわかってる…でも…』
オスカー「…」
もとはといえば彼女に救われたようなこの身、それなら…
ティニー『!!!!!』
私は彼女を抱きしめ、うなじを撫でていた
ティニ
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