君達が、居た夏、そしてこれから…

俺は白石純一、今年でT県立の高校の三年になるごく普通の男子高校生だ。

純一「寒っ…」

今は2月、寒いのも当然だ、そして放課後俺は幼馴染の女子の幸子に呼び出されていた。

純一「なんなんだよ、唐突だな…」

俺は彼女が嫌いだ、魔物を差別するし俺の友好関係にまで口出ししてくるしおまけに俺に厄介事をやらせてくる主神教団の信徒な金持ちのお嬢様だ、はっきり言って幼馴染でなければ早々に離れたい…彼女も親の反魔物教育の被害者だから仕方ないでは片付けられないぐらいに俺の我慢も限界に近づいていた放課後…

純一「何だ?」

十中八九厄介事を押し付けるつもりか魔物と交流するなと言ういつも通りのことだろう…

幸子『よく来ましたわね』

純一「用件は?」

幸子『去年は、やり過ぎましたわ…』

純一「…」

去年の今ごろ、バレンタインの日に彼女からチョコをもらった、彼女は義理と何度も言ってきて俺は分かっているのにいきなりキレられてひっぱたかれた、その記憶が甦る

純一「そうか、で?」

幸子『気にしてないんですの?』

純一「あれでやっとわかった」

幸子『?』

純一「お前は俺を嫌っていて嫌がらせをしているのだとな」

幸子『!』

純一「じゃあな、次に俺になにかしたら容赦せんぞ。」

???「にしし、先輩、ここにいたのか。」

純一「?」

どこかで聞いた声がして振り向くと、魔物の女の子、確か彼女は…

純一「図書委員の黒島瞳、どうした?」

幸子『魔物、しかも化け物揃いのゲイザー風情が純一に何の…』

純一「お前は黙ってろ、黙らんと叩きのめすぞ…それはともかく彼女は俺に用があるらしいからな」

強めの怒気を込めて幸子を睨む

瞳『今日は何の日か、しらない訳じゃないよねぇ?』

純一「確か今日は…」

スマホでカレンダーを確認する、今日は2月14日、バレンタインデーだった

純一「法に背き兵士たちの幸せを取り持った司教の死を悼む日だな」

瞳『にしし、そうだねぇ、これ、先輩に…』

彼女は白地の箱に緑のラインが入った赤いリボンで飾られた箱を俺に渡してきた。

純一「誰に渡せばいい?」

瞳『え?』

純一「俺はたまに依頼されるからな」

瞳『これは先輩に作ったんだよ』

純一「俺にか?」

瞳『見た目はあんまりうまくは出来なかったが、味は多分いい感じになってるから』

純一「そうか、ありがとう。」

瞳『にしし…♪』

純一「どこで食うかな、面倒だ、家来るか?」

瞳『いいの?』

純一「茶ぐらいなら出してやる、どうせ親は四月まで帰ってこないし」

幸子『よ…』

純一「じゃあな、二度と俺や俺の回りの人々に干渉するなよ…」

俺達はそのまま家に向かった。








純一「ただいま、とはいえ誰もいないが」


瞳『居なくても言いたくなるのはなんとなくわかる』

純一「そうか」

手洗いうがいをして早速箱を鞄から出す

純一「開けてもいいか?」


瞳『もちろん…♪』

中には丸いクランチチョコと同じくトリュフチョコレートが入っていた

純一「では、いただきます」

瞳『…』

純一「ん、なるほど…」

瞳『…』

クランチチョコは甘めだが嫌いな感じではない、少し甘すぎる感じはするが

純一「次は…」

トリュフチョコレートの方は苦味が強いが香り高い、もしかしたら…

純一「これなら…」

次は両方1つづつ口に入れる、すると苦みと香りと甘さが俺好みのちょうどいい感じになる

瞳『どう、かな?』

純一「これ、両方1つづつ一緒に食べる前提か?」

瞳『その通り、二つ合わせて完全なのになる』

純一「今まで食ってきたチョコレートの中でも一二を争うぐらいうまいな」

瞳『良かった…』

純一「ほら、冷めるぞ」

とりあえず自分も飲んでいなかったが茶を勧める

瞳『…』

純一「?」

瞳『あたしが化け物なのはわかってる…』

純一「あんな風化しつつある下らん宗教に支配された奴の言うことなんざ気にするな」

瞳『?』

純一「あいつの家族は代々主神教団の敬遠な信徒らしい、この市も30年前から親魔物派に換わったのに奴らだけまだそれを認めていない、所詮バカ共の戯言と聞き流してはいるがそれでも俺は奴の事が小さい頃から嫌いだった」

瞳『?』

純一「俺に厄介事を押し付けてくるし俺が魔物の娘とはなしをしていると横やりを入れてくるし魔物を差別しているしな」

瞳『なるほど…』

彼女は苦笑いの表情を浮かべている

純一「だから話を切り上げたかったから君が来て助かった」

瞳『先輩は…』

純一「?」

瞳『先輩は私を化け物と思う?』

純一「いや、人間にもいろんなやつがいる、魔物はそれよりバリエーションが多いだけだろ」

瞳『…』

純一「そもそも君が気に
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