夢を見た、これは夢だと明確に分かる夢、明晰夢である。
自分は光が満ちる、怪しげな空間を一人歩いている。
しばらく歩むと、不思議な声が聞こえた。
「貴方の見る場所な神の見る場所、貴方の行くべき道は魔王の行く道、貴方はいかなる世界を願う?」
不思議な声だ、女のようにも男のようにも聞こえる、そんな声だ。
「貴方が望むは神の秩序?、それとも魔王の混沌?、いずれの道にしても、その両手から希望は無くさぬように・・・」
声が聞こえなくなると、また自分は歩き出す、すると墓石に腰掛け、こちらを見つめる少女がいた。
肌は病的に白く、とても生きているとは思えないが、その容姿含め、全てが美しいと感じる美少女だ。
「私はワイト、寄るべき魂を失った泡沫の存在、何故ここにいるかはわかりませんが、貴方とともに、しばし歩んでも良いですか?」
己が頷くと、ワイトは墓石から降りて後ろに付き従った。
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しばらく進むと、今度は倒れこんだ黒髪の少年がいた。
近づいて揺さぶると、少年はまるで少女と見まごうような美しい顔を歪めた。
「誰だっ!、ボクの眠りを妨げるのは・・・」
少年は目を覚ますと、自分を見た。
「キミがボクを呼び起こしたの?、ふんっ!、なら少しは付き合ってあげるよ」
黒髪の美少年を加え、三人で先へと進んでいく。
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しばらく歩くと、今度は全裸で泉に浸かる美少女がいた。
「誰かしら?、私を見ているのは・・・」
よく見るとその美少女、頭からは角が生え、瞳の色は紅に染まっていた。
「貴方、もしかして・・・」
しばらく少女は考えていたが、やがて頷いた。
「私はサキュバスのウォフ・マナフ、またどこかで会いましょう?」
瞬間、すさまじいベルの音がして、無理やり意識は覚醒した。
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「う、ん・・・?」
竹で組まれたベッドの上で目覚めると、青年遮那はゆっくりと身体を起こした。
「夢、か・・・」
それにしても不思議な夢だった、自分と、あと三人くらい出てきたような気がするのだが。
机の上に置かれた卓上カレンダーを見て、遮那は目をこすった。
今日から三連休、何をしたものか。
とりあえず着替えようとして、突如として枕元に置いていた携帯電話が鳴った。
「・・・はい?」
『遮那さま?、起きてらっしゃいましたか?』
端末から聞こえてくる声で、相手が誰かわかった。
「真由?、どうかしたのか?」
隣の開業医の娘にして幼馴染の少女、真由である。
ふと、遮那は真由と目覚める前にどこかで会ったような気がした。
昨日は遅くに帰り、誰とも会わずに眠ったはずだったが。
『遮那さま、よろしければ今日ご一緒されませんか?、お話ししたいこともございますし・・・』
「わかった、何時に待ち合わせする?」
今はそんなことは置いておこう、せっかく幼馴染が誘ってくれているのだ。
『午後一時くらいに、新京極の喫茶『カミツレ』でお待ちしております』
「わかった、それじゃあ」
電話を切ると、遮那はガリガリと頭を掻いてから寝間着を脱ぎ、私服に着替えた。
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待ち合わせの時間までまだまだ時間がある、遮那は家から出ると、東の方面へじっくりと散歩し始めた。
「やけに警官が多いな・・・」
四条界隈を歩き出してまだ数十分しか経っていないにも関わらず、パトカーや警官が普段よりも見受けられた。
「何か事件でもあったのかな?」
連続殺人犯が逃げているなどでなければ自分には関係ない、遮那は軽く伸びをして歩き始めた。
新京極には良い店がたくさんある、遮那はその内の一つである刃物店で見事な波紋の包丁を眺めた。
「なるほど、やはり一流の店で使うような包丁は違うな」
続いて遮那はその隣にある、それなりの大きさの手斧を見つめた。
「ふむふむ・・・」
「それ、買うんですか?」
いきなり後ろから声をかけられ、遮那は思わず飛び上がってしまった。
「おはようございます遮那さま、お早いお着きですね」
そこ
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