風の夜に、馬を駆り、駆けり行くものあり、
腕にわらべをしっかり抱き、駆けて行く。
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父親
ぼうや、ぼうや、何故顔を隠す?
子供
お父さん、そこに魔王がいるよ、見えないの?、凄く美人だよ
父親
ぼうや、それはさぎりじゃ
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魔王
可愛いぼうや、いらっしゃいな、気持ちの良い遊びをしましょう。
川岸には綺麗な花もあり、可愛い洋服もたくさんあるわよ?
子供
お父さんっ!、お父さんっ!、聞こえないのっ!、魔王が何か言うよ。
父親
なあに、あれは、枯葉のざわめきじゃ
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魔王
坊やいっしょにおいでよ、もう用意はとっくに出来てるわ。
娘と踊って、お遊びよ、歌って、娘とおねんねもさせたげる。
良いところよ?、さあおいで
子供
お父さんっ!、お父さんっ!、それそこに、魔王の娘が・・・
父親
坊や、坊や、ああそれは、枯れた柳の幹じゃ
魔王
可愛い、良い子ね、ジタバタしてももう攫っていくわよ?
子供
お父さんっ!、お父さんっ!、今魔王が坊やを攫っていくよっ!
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目に見えない何かの気配に父親も恐れ慄き、からくも宿にたどり着くも。
子供は服だけ残して、忽然と消えていた。
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魔王サイド
魔王の娘
ねーねー、お母さま、お母さま〜
魔王
あら?、どうかしたのかしら?
魔王の娘
あのね、すごく可愛い男の子がいるの、反魔物領にいる子なんだけど・・・
魔王
あらあら、貴女も好きな男の子が出来るようなお年頃になったのね、どこにいる子なの?、近くなら攫ってきても良いわよ
魔王の娘
うん、極神都市ゼボイムにいる男の子なの、病気をしてるけど中々元気にならなくて、お父さまも困っているみたいなの。
魔王
むむっ、ゼボイムかあ〜
そこは攻め込むのは難しいわね〜、クレメンス・ビスマルクは手強いし・・・
魔王の娘
えー、なんとかならないかなあ?
魔王
本当ならこんな危険なことはしたくないのだけれど、姿を消して行けばまだ何とかなるかもしれないわね
魔王の娘
姿を?
魔王
よーし、万事お母さんに任せておきなさい、決して悪いようにはしないわ
魔王の娘
やったっ!、お母さま大好きっ!
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その後、息子に続いて父親も王魔界に攫われ、今では親子揃って幸せに暮らしているとか。
めでたしめでたし。
完
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