四天王との交渉を終えた遮那たちは、ナジャを伴って京都御所へと帰還した。
「・・・そうですか、いよいよ」
遮那の報告に、アムルタートはうっすると微笑んだ。
「大義でした、ですがまだまだやるべきことは山積みのようですわね」
「ああ、東山大霊廟の守護に結界解除中の四天王の警護、かなり大きな戦になりそうだな」
遮那の言葉に、真由も頷く。
「ですが、こちらの手は限られています、それに今はミカドの都国、グリゴリ、共に沈黙していますが、すでに京都ボルテクス解除の情報は伝わっているはず」
何らかの手を出してくる可能性はある、そう真由は呟いた。
だが、アムルタート配下のフェアリーたちを合わせても、両陣営の片方の兵力にも満たない。
これをさらに分割して各地の守護に当たらせるとなると・・・。
何やら神妙に考えていたウォフ・マナフだが、ようやく口を開いた。
「東山大霊廟の人たちにも協力してもらえないかしら?」
「市民たちに?」
遮那に対して、ウォフ・マナフは頷いた。
「ええ、東山大霊廟の中で、戦えそうな人がいるなら手助けして貰えると思うわ」
「問題はそんな奴が何人いるかだぜ?」
腕を組み、何やら難しい顔でいたアシャに対して、アールマティも頷く。
「あまりに、確証がない」
「だが、もし東山大霊廟の市民から戦いたい者が現れるならば、この上なく助かる」
戦闘経験はなくても、そのやる気があれば百の仲間にも勝る力となるだろう。
「・・・とにかくまずは東山大霊廟の様子を探ったほうが良いかもしれませんわね」
アムルタートの言葉に遮那は頷いた。
「交渉には私が行く、他のみんなは京都御所の警護をしてくれ」
「遮那さま、向こうはどう考えているかわかりません、念の為護衛役は必要ですよ?」
真由の言葉に、遮那は苦い顔をして頷いた。
「それでは、サナトとマユ、二人で東山大霊廟に向かってもらいますわね?」
次の行動は決まった、残された時間はあと僅か、遮那と真由は急ぎ東山大霊廟に向かった。
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東山大霊廟、浄土真宗開祖である親鸞が眠る場所でもある。
「来られましたね、お待ちしておりました」
霊廟の前には東方守護を担う持国天がいた。
「ここは、それがしが守っておりますゆえ、お二人は地下墓所へお入り下さい」
「持国天殿、協力に感謝します」
遮那が頭を下げると、何やら懐かしそうに持国天は目を細めた。
「本当によく似ている、あの二人にそっくりだ・・・」
「・・・え?」
何やら持国天の独り言が聞こえた、慌てて遮那は頭を上げたが、もう彼はいつものように冷静な顔で顎鬚を撫でていた。
「さあ、もう行って下さい、あまり時間もありませんからね」
持国天に一礼すると、遮那と真由は霊廟内部へと足を踏み入れた。
広大な地下霊廟にはたくさんの人がおり、小部屋ごとに家族がいた。
「かなりの人数だな」
遮那の言葉に、真由もまた頷く。
「はい、非戦闘員ばかりに関わらず、中立勢力にカウントされるのは、これだけの人数がいたからなのですね」
霊廟の先、そこには誰もいない廊下が続いていた。
「この先は何もないようだな」
廊下の先には大きな扉があるが、そこからは微かに何かの駆動音がする。
動力室か何かなのかもしれない。
「危ない遮那さまっ!」
真由の叫びとともに、遮那は身をかわした。
「っ!、苦無か」
先ほどまで遮那が立っていた場所、そこには二本の苦無が刺さっていた。
「何者だっ!」
遮那の言葉に、廊下の上から誰かが降りてきた。
「申し訳ありません、危害を加えるつもりはありませんでした、少しだけ、貴方の実力を見たかっただけです」
褐色の肌に露出の多い踊り子のような姿、エロス神配下の魔物娘、アプサラスか。
顔の全容は布で口元が隠されているため見ることは出来ないが、遮那は何だかどこかで彼女を見た気がした。
「貴方にどうしても会いたいという方がおられます、来ていただけませんか?」
「会いたい?、私にか?」
こくりと頷くアプサラス、遮那は一体誰が会いたがっているのかわからなかった。
「遮那さま」
遮那に近づくと、ヒソヒソと真由は耳打ちした。
「(会いたがっている者、とのことですが東山大霊廟に知り合いが?)」
「(いない、正直誰なのか見当もつかない)」
「(持国天守護の東山大霊廟で罠を張るとは思えま
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