第二十五話「中立」





「・・・そっか、兄貴たちは行っちゃったか」


カテドラルの一室、ミスラはシェムハザから遮那、真由、アシャ、アールマティがカテドラルから去ったことを聞いていた。



「は、はい、ルシファー閣下は、捨て置くように、と」



「うん、それで良いと思うよ?、秩序か混沌かで考えるくらいに、兄貴は狭い人間じゃないしね」








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妖精たちの潜む京都御所、かつては三津島一佐が本拠地を置いていた場所だ。



「・・・なるほど、随分様子が違うな」


現在遮那たちは京都御所の前にいたが、その周りの植物は随分と増え、妖精の森と呼んでも良い風景になっていた。



「西洋では、深い森には妖精が住み、立ち入る者に悪戯を仕掛けてくるというはなしもあります」


慎重に参りましょう、そう真由は呟いた。



「けどよう、妖精に腕っ節が強い奴は中々いないだろ?、なら出てきてもどうとでもなるんじゃねーか?」



「アシャ、腕っ節が強くなくても、陣地の作成に長けていれば、なんとでもなる」



うっ、と詰まるアシャに、遮那も頷いた。


「その通りだ、最小の勢力でありながらここまで残っているには、残るだけの理由があるはずだ」




城を落とすには三倍の兵力が必要になる、という言葉まであるくらいだ、敵地に立ち入るにはそれなりの覚悟は必要になる。



「・・・行くぞ」


遮那たちは互いに頷きあうと、妖精の森の中へと足を踏み入れた。









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妖精の森の中には、表立ってフェアリーたちはいないが、遮那は周りから刺さるような視線を感じていた。



「・・・偵察しているな」



「はい、恐らく姿を消していますが、妖精たちは我々を見張っているかと」



どうやら真由たち魔物娘も何かを感じていたようで、キョロキョロと辺りを見渡している。



「フェアリーたちのこと、いきなり襲いかかりはしないかもだけど、用心は、必要?」



アールマティの言葉に、アシャは背中の大剣に手をかけた。


「はんっ!、誰が来ようが、俺の前に立つならコテンパンにしてやるよっ!」



「いけないアシャっ!、冗談でも敵地でそんなことを言ってはっ!」



瞬間、凄まじい風が辺りを吹き荒れ、遮那たちの視界を隠した。



「むっ!、まずいな」


続いて、どこからともなく複数の矢が遮那たちの周りに打ち込まれ、まったく動きがとれなくなった。



「見事、ですね」



服の隅や靴に矢が刺さっているが、その身には一切の傷をつけていない、誰かは知らないが、とんでもない射手だ。



「動かないでよ?、今かなり妖精たちはピリピリしてるから」



すぐ近くの木の上に、悪魔のような翼を持つ魔物、サキュバスがいた。


どうやらあのサキュバスが一瞬にして遮那たちの動きを止めたらしい。




「って、あなた・・・」



「むっ!」



木の上からふわりと降りてきたのは、見覚えのあるサキュバスだった。



「ウォフ・マナフ、か?」



「ずいぶん久しぶりね〜、サナト、それにマユ?、あなた随分素敵な姿になったわね〜」



間違いない、新京極に現れ、大使館が警戒するきっかけを作った最初に魔界から来た魔物娘、ウォフ・マナフだ。



「今私はこの森を統括してるティターニアに雇われて、森の警護団長やってるのよ」


警護団長、確かにあれほどの弓の名手であれば正体が見えない森の中では、護衛役には最適かもしれないが。


「何しに来たの?、もしかして女漁り?」



「そんなわけあるか、中立勢力である妖精たちと話しをしに来たのだ」



現在ガイアとグリゴリは同盟し、ミカドの都国との対決に備えている。


どちらが勝つにせよ、かなり大きな戦いになることは間違いないだろう。



「・・・ふうん、とにかくティターニアと会ってみる?」



あの堅物が簡単に答えを出すとは思えないけどね?、とウォフ・マナフは呟いたが、案内はしてくれるようだ。











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森を抜けると、木で作られた巨大な宮殿が見えてきた。



「フェアリーがたくさんいるな」


宮殿の屋根にはたくさんの妖精たちがおり、さらには周りにも小さな影が飛び回っている。



「あれが修羅人?」


「みたいよ〜、なんだかかっこいいよね」


「うんうん、絵のモデルにした
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