第二十三話「慰安」




「さあ、サナト、お話しの続きと参りますわよ?」


転移した先は一組の椅子と円卓がある教会のような印象の空間だった。



「何を話すことがある?、サムライたちに真由たちを殺させはしない、そこを退いてもらおうか」


とにかくラファエルを倒してカテドラルに急ぐ、あの数のサムライを相手にしては、さすがの真由たちでも苦戦は必至だ。



「落ち着きなさいなサナト、貴方の態度いかんではサムライたちは何もしませんわよ?」


いきり立つ遮那に対して、ラファエルは優雅な動作で、椅子に腰掛ける。



「それからわたくしを殺してもこの空間からは脱出出来ませんわよ?、逆に術者が消えて、どこにも行けなくなりますわ」


「・・・くっ」


どうやらここは、彼女の言う通り話し合いの場につく他ないようだ。



「わたくしの願いは先ほど言った通り、貴方にはわたくしの傘下として、主神さまの秩序のために戦っていただきますわ」



「その戦う相手とは、魔物娘か?、それとも天使に敵対する人間か?、いずれにしても私は神に与するつもりはない」


選ばれた民にのみ自由を奪った上で生を許し、それ以外の者には何も与えない、魔物娘と共に歩むならば、神とは共存し得ない。


ここで神に与する判断をすれば、ワイトになって復活した真由を裏切ることになる。



「サナト?、神はこの世の全てを形作った万物の父にして母、貴方は子を愛する、母の愛情すらも否定して、親に剣を向けるつもりですの?」



「ラファエル、真に主神が子を愛しているならば、魔物娘の現状に目を向け、共存を許すべきではないのか?」


人間と同じく、魔物娘たちも主神に形作られた創造物、真に自分の創造物を愛しているならば、神は人間も魔物も保護すべきではないのか?



「主神さまは人間にも魔物娘にも、無償の愛を注いでいますわよ、平等であるからこそ、人間と魔物は敵対し、互いに人口抑制を図るべきですわ」



なんと勝手な意見だ、あまりのことに遮那は椅子を蹴飛ばして立ち上がっていた。



「ならば貴様は、人間と魔物が血を流し合い、互いを憎み、生命を絶やす行為を肯定するのかっ!」



「サナト、いくら綺麗事を言っていても結果は同じ、人間と魔物が増え過ぎれば、大地は人類に覆われてしまいますわよ?」



人間が増えた結果、遮那の世界はどうなった?、環境破壊は横行し、貧富の差は甚大なものとなり、挙句宗教の大義を翳した殺し合いは世界を埋め尽くしている。


「貴方もわかっているはずですわよ?、増えすぎた生命は自ら道を踏み外し、いずれは滅亡に足を掛ける」



「人間も魔物娘も愚かなままではない、失敗をしても、先へ進むたびに、反省からより良い生き方を学んでいく」



それは純化された千年王国では決して実現し得ない、神の管理なき、人間の世界であるはずだ。


「・・・サナト、貴方は何故そこまで人間と魔物娘の未来を信じられますの?、いつの日にか、魔物娘は人類を、人類は魔物娘を滅ぼす未来が来るとは、思いませんの?」




「思わない」



素早く、淀みなく返した遮那の言葉に、ラファエルは目を見開いた。



「何故?」




「天使もまた、人間と魔物娘の未来に参加できるからだ」



しばらくラファエルは一切の表情を消し去り、虚空を見つめていた。



その瞳からは何も読み取ることは出来ず、何を考えているのか判断することは不可能だった。



「・・・このわたくしが、『神の癒し』ラファエルが、魔物や人間と共存する?」



椅子を蹴飛ばし、ラファエルは空間に浮かび上がると、全身に凄まじい凍気をみなぎらせた。



「愚の骨頂ですわね、寝言は寝てから言ってもらいたいですわ」


「ラファエルっ!」


先に動いたのはラファエル、両目から万物を凍てつかせる光線を放った。



「ちっ!」


素早く遮那は身を返して攻撃をかわすと、修羅人に変身してラファエルに近づく。



「はあっ!」


「くっ・・・」


一瞬空間に振動が走り、ラファエルは遮那の一撃を剣の鞘で弾いた。



「なるほど、修羅人の力は本物、ウリエルが敗れるのもわかりますわね、しかし・・・」


ラファエルが剣を一閃させると、空間が広まり、あたかも巨大な聖堂のような場所となった。



「わたくしもまた四大天使、それに、油断していたウリエルや完全ではなかったミカエルとは違いますわよ?」



「御託は良い、貴様を倒して真由を救ってみせる」


剣を構えなおし、ラファエルは上段に掲げる。


「減らず口を・・・」



瞬間ラファエルの姿が掻き消え、遮那のすぐ近くに現れる。


「叩きますわねっ!」



そのまま剣を振りおろし、遮那を狙う、その速
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