牢屋から一歩外に出ると、そこは無人の廊下だった。
「見つかれば些か厄介ですね・・・」
牢屋の前の廊下は比較的明るいが、その先は暗がりのようで、こちらからは様子を見ることはできない。
真由に対して遮那は頷く。
「ああ、なるべく目立たないようにしたいが・・・」
廊下には窓がたくさんあるものの、いずれも鉄格子が嵌められ、外に逃げることは出来なさそうだ。
「そっちはどうだ?」
遮那は牢屋の通気口を調べていたミスラに声をかける、天井から降りると彼は首を振るった。
「ダメだね、とても人間が入れるような隙間はなさそうだよ?」
とするならば、やはり正面切って出口を探さねばならないというわけか。
何やら怪しい気配に、遮那は拳銃を近くの扉に向けた。
「遮那さま?」
「・・・何やら音が聞こえた」
ゆっくりと遮那は拳銃を構えながら扉に近づくと、入室とともに銃口を向けた。
「ひっ!」
そこにいたのは、幼い褐色の肌の少女だった。
「・・・お前」
だがその少女、耳は尖り、どことなく人間離れした印象を周りに与えていた。
「人間では、なさそうですね」
真由もまた警戒しながら、部屋の中に押し入る。
「君は、誰だ?、私は、サナトと言う」
「わたし?、わたしはナジャ、おねえさまと一緒だったんだけど・・・」
ナジャと名乗る少女は、じっと遮那を見つめ、その次に真由を見た。
「・・・ふうん」
「ナジャとやら、君はこの建物の出口がどこか知らないか?」
遮那の問いかけに、ナジャはすぐさま頷いた。
「知ってるよ?、でも扉は開かないの、どこかで鍵がかけられてると思うよ」
そうか、そこまで読んでいなかったが、当然逃さないように施設自体も施錠してあるのか。
「サナトは外に出たいの?、ならわたしからおねえさまに頼んであげる」
よくわからないが、ナジャの姉がここの責任者なのか。
ありがたい、なんとかなりそうだ。
「その代わり、わたしを連れていってくれない?」
いきなりの条件だが、鍵を開けるためにはナジャの姉と会わねばならない、ここは連れて行くしかない。
「遮那さま、一寸・・・」
ナジャに聞こえないような小声で、真由は遮那に話しかける。
「(正気ですか?、あの娘は明らかに人間ではありませんよ?)」
「(わかっている、しかしここから逃げるには彼女の条件を飲むほかない、それにいきなり襲っては来ないだろう)」
「(また遮那さまはそんな理想論を、わかりました、ですがしっかり手綱を握って下さいね?)」
遮那は頷くと、ナジャに右手を差し出した。
「わかった、君を連れて行く、これからよろしく頼む」
「やった、よろしくねサナト、おねえさまがいるのはこっち」
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ナジャとともに廊下を歩く遮那、真由とミスラはその後ろから付き従う。
何故かよくわからないが、ナジャは遮那の右手をつかんでおり、それを見て面白くなさそうに真由は顔をしかめた。
「・・・あの娘、些か遮那さまに馴れ馴れし過ぎですね」
「嫉妬かい?」
間髪入れずにミスラの放った一言に、真由は耳まで赤くなってしまった。
「なっ、何を馬鹿な・・・」
「どうした?」
足を止め、真由の方を見る遮那、ナジャもまたじっと二人を見つめている。
「い、いえ、何でもありません」
ミスラは真由とナジャを代わる代わる見ていたが、やがて肩をすくめた。
「本当に兄貴は・・・」
「・・・遮那、ここがおねえさまの部屋だよ?」
廊下の角にある部屋を指差しナジャ、彼女は遮那の手を離すと、すばやくその部屋に入っていった。
「・・・行こう」
一言つぶやくと、遮那はゆっくりと開いたままの扉の中へと入った。
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「さあさあ、未婚のフェアリーたち、素敵な旦那様が待ってますよ〜、移住するなら今ですよ〜」
部屋の奥には怪しげな機械があり、その前でこちらに背を向けるような形でプラチナブロンドの美少女が何やら儀式を執り行っていた。
「おねえさま、アムルタートおねえさま」
ナジャの声に、アムルタートと呼ばれた美少女はようやく振り向いた。
「ナジャ?、それに・・・」
じっとアムルタートは遮那を見つめた。
「えっと、どちらさま?」
「サナトだよ、この人はサナトって言うんだ」
サナト、サ
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