紅の光が、辺りを包み、その光は近くにいた者は直視できないほど、まぶしい光だった。
いや、それだけではない、風が、光を放つ者を中心に風が吹き、風はとぐろを巻いて、竜巻が発生していた。
その風の前に魔物が放った矢など、全てが無力、風に乗ってはるかかなたに落ちてしまった。
しかし、そんなことに魔物は、いや、その場にいた者すべてが攻撃の手を止め、その光景に見入っていた。
その視線の先には、一人の男がいた
男がつけているベルトの中央の石が赤く、腰の左右に位置している石が白く輝き、腰の左右の石から出る白い光は、まるで蛇のような細長い白の光の束となり、亀裂のように全身に走る。
そして、光の亀裂は体中に広がり、全身が白い光に包まれる
光はやがて収まり、男のボディラインをくっきりと表す
光が収まると、所々表面に亀裂のような白く光り輝く溝がある、黒いインナーを纏っていた
インナーといっても鎖帷子とはちがう、本来鎧の防御をより高めるためのものではなく、体に張り付く、動きを阻害しない為のものであり、防御力はそんなに高くないと見える、しかし、これは見ていた者には、そう見えるというだけであり、実際はそこらの鎖帷子よりも強力な物だ。
たとえ、ドラゴンのブレスにも耐える耐熱性、雪女の氷の吐息にも耐える耐寒性、オーガの渾身の一撃にも耐える耐衝撃性、深海まで潜れる耐圧性などなど、あらゆる外部刺激から装備者を守る。
それだけではない、光り輝く溝にはエネルギーが巡回し、装備者の筋力増強や、視覚、嗅覚、触角、などの神経を強化し、今の状態では4町さきの針の穴すら見える。
この状態でも戦うことはできるが、これで完成ではない
その証拠に、白い光の代わりに、ベルトの中央にある赤く輝く石が、紅に、光り輝き、辺りを包む。
あまりのまぶしさに、魔物もその光景を見ることはできなかった。
徐々に、光と風が弱まる
そして、そこから一人の騎士が、姿を現す。
最初に、この騎士が魔王軍に乱入した際は、白が基調の鎧を纏っていた、しかし、微塵もそこには面影がない
鎧の脛あてや胸装甲などの装甲の基調は血のような、夕日のような、上等な葡萄酒のような、この世の様々な紅という色を複雑にあわせもった色と、インナーが露出している部分があるため、黒と赤の鎧だ。
先ほどの白の鎧はスマートであったが、前提が鎧だ、身を守るものであり、機動性を犠牲にして防御力を得たのだ。故に、全体的に体の厚みも増え、実際よりもふた回りほど大きく見える。鎧らしい鎧だった。
しかし、鎧が機動力を犠牲にするという物であるならば、もしも、先ほどの鎧を見ずに、これが鎧という前提が無かったら、身にまとっている物を何と表現して良いものか、その場にいる者には分からなかった。
つなぎ目が大きく、インナーの部分が目立つ。インナーが露出している部分は多くは無いものの、黒であることも目立つ要因の一つで、それとインナーが覆っていない部分も関係する。
なぜなら
関節など、ある程度装甲でかばえるが、普通の鎧であれば完全に装甲で覆うことができない部分は、守ることをあきらめたように大きく露出し、足の付け根、ひざ裏、いや、それどころか本来は鎧で覆い隠せるわき腹なども、黒く、筋肉筋まで黒のインナーにフィットしているため見えた。
曲線的なデザインであったが、所々、凹凸の激しい鎧となっている。
主にプレートアーマ―などの鎧で覆う部分は同じだ、胸部と肩、ふともも、脛などは鎧で覆われている。
しかし、凹凸が激しいのに、先ほどの白い鎧よりも薄く肌に張り付くような装甲で、プレートアーマーのような鎧とは、厚みも何もかもが違う、白い鎧の時に一番特徴があった肩であるが、薄く、肩に張り付くように覆っている。
そして、何よりも異色を放っているのは頭部であった。
頭部には、いや、この鎧にも少なからず鎧らしき部分は見ることができるが、頭部は鎧らしい部分が見当たらない。
白い鎧には蜻蛉を摸したと思われる複眼や牙などが生えていたが、そんなものはない
顎や顔の輪郭をつくっている部分は銀で出来ているのだろう、銀特有の輝きを持っており、それが時々光り輝いていた。
そして、その銀で縁とられた兜だが、いや、兜と呼べるものなのだろうか、顔を覆っている物は金属ではない、まるで透き通った水晶のようだ、水晶のような透き通った物を顔に張り付けたように、形状は一見すると水晶でできた髑髏のように丸みを帯びている、だが、眼孔や呼吸の為の隙間すらない、起伏も少ししかなく、中央辺りが少し出っ張っているのが、鼻であろうか、一見すると表面から数ミリほどは透明だが、その下にあるはずの顔は濃い
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