「花瓶はそこ」
そう言うと、部屋の隅に、床にじかに置いてある花瓶をグンテイは指さした
花を花瓶に活けろ、ということか
近づき、花瓶を手に取った
花瓶には水が入れてある、腐ったにおいはしない、まだ入れたばかりなのだろう
花を花瓶に活け、その花瓶をどうするべきか悩んだが、ここにはベットとテーブル、それと椅子があるがだけ、テーブルに置くにはあまりにも花瓶と活けてある花が大きすぎる、仕方なく、床の上に花瓶を置くしかなかった。
仕事はそれだけ、だが、テニファ様が俺にしかできないと言ったことをわかった
とりあえず、あいているもう一つの椅子に腰かける
動きとしてはそれだけだ、何も話さなければ一言も話さないし、動かなければ一日中固まっている、それがグンテイだ
……なんというか、沈黙が重い
「…元気そうだな、少し痩せたか」
「元気なら痩せるわけがない、元々太っていたなら話は別だけど、私は適正な体重だと思っている」
理に合っている
確かに、彼女の体は特段痩せているわけでもなく、太っているわけでもない
「変わりは無いか?その……新しい生活に慣れないこととか?」
「もう一月半もこの生活を送っていれば慣れる頃。私自身に変わりは無いけど、貴方は変わった、セルセ」
言うべきか言わざるべきか、少し迷ったが、別に言っても問題ないと判断した。
「………実は、騎士団を任された」
「そのよう、数は35人、最年少は12歳、最年長は15歳といったところ?みんな元気でいい子たちばかりみたい」
かなわないな、といつも思う
グンテイは異端者として、かなり珍しい能力を持っている。能力名は、あまりに特殊なため、というか、過去にグンテイと同じ能力の異端者がいなかったため、名前は無い
彼女は、生命の輝きが見えるのだ。いや、見えるのではなく感じ取れる、といった感覚に近い、と言っていた。
これはグンテイの受け売りで、俺自身完璧に理解はしていないが、本来生物は生きていると光の輝きを纏い、他人と触れ合えば、他人の光のような残滓を帯びるのだという
その残滓は一人ひとり特徴があって、グンテイはその人物の光や残滓を読み取ることによって、全てを理解することができる、という能力で、俺もよくわからない。
だから、その力の所為で眼を潰された。
グンテイは前時代のような異端者の扱いを受け、そこから助けられた異端者だ。
見世物小屋に物心つく前に売られ、連日食事も満足に与えられず、眼隠しをされ、小さな箱の中で、箱の前に立つ客がどのような容姿をしているのか当てる見世物をしていたらしい
そして、ある時、実は見えているのではないか、と客の一人に言われ、グンテイはその場で両眼を潰された。
最初、グンテイが見世物小屋から助け出され、ローグスロー騎士団の砦に来た時、グンテイは笑いもしなければ泣きもしなかった。その場にいた全員の特徴を言っただけだった。
彼女の世話をしたのがセルキョウだった。
正直、セルキョウのおかげでグンテイはここまでしゃべれるようになった。 最初の内は、まともに意思疎通もできず、相手の特徴を言うことしかできなかった。
セルキョウはグンテイをとても献身的に介護した。セルキョウはいつも人の心配ばかりしているようなやつだったから、適材だったのかもしれない、いや、セルキョウは異端者なんかに生まれなければ、きっと医者か先生になっただろうな
と、少し話が脱線したか
「そうだが」
「じゃあ、その子たちについて教えて」
正直に言って、驚いた。
というのも、あまりグンテイは他人に興味を持つことがなかったからだ、いや、いまも他人が恐怖そのものなのだろう、恐怖を抱いている対象に興味を持つこと自体、普通の人間には無理な話だからだ
それに、教えることについては問題無い
首を縦に振る、眼はみえないが、なんでも視覚ではなく、気配と生物のもつ光で分かるらしい
誰から紹介しようか、少し迷ったが、グンテイが口を開く
「まずは、年は14、背丈は5尺6寸ほど、きっと体が丈夫で病気をしたことがない、でも恥ずかしがり屋、この子の名前は?」
「…それは…テルジアだな、妹と母親がいる。元々は商家で計算が得意な奴だ」
「年は13、背丈は5尺5寸ほど、すごく元気な子、活発な子、そして、とても負けず嫌いで何にでも挑戦してみようと思う子」
「分かりやすい、グルードだ。まだ小さい弟も宿舎で生活している、両親が魔物にやられてな、でもそれを感じされない、明るくていいやつだ」
「次の子は………」
グンテイが特徴を言い、それを俺が名前をどういったやつなのかを教える。 教えること自体問題は無い、どうせ、グンテイの前だとどんな性
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