「放てぇぇぇぇ!!!」
俺の号令と共にやかましい音を立て約50間先の等間隔で並べられた七本の的に穴が開く
ふむ、だいたい的には当たるようにはなってきたが、まだまだ的の中央には遠く、精度としては未熟、実戦投入には不可能か
望遠鏡で覗きながらそんな感想を抱いた
ここはラヴェ・カイエンの郊外にある平原、そこで毎日演習を行っている。
すでに俺がカンドル人で構成された騎士団を指導してから一月が経過した
とりあえずこいつらの基礎体力などは問題ない、それどころか武人としてのスキルなどにそこら辺にいる騎士よりも高いものがあった。しかし、実戦に出るにはあまりにも未熟すぎる、というよりも実戦に出れるほどの能力があるものは祖国を守る戦で戦死したのだろう
教えていくこと自体は問題がない、しかし、一番の悩みは剣術の腕前だった
デッ・レート国は人種による完全な階級社会だ。カンドル人は武人階級といっても様々な人間、家がある。武人の統領となる家、農民、商人と変わらない家、傭兵業、さまざまであり、そのため基礎的な体力づくりは行われるが剣術の腕前が個人によってばらばら、集団戦法において個々の剣術の腕前はそれほど影響しないが、さすがにこれだけだと騎士団としての問題もある
一から指導していくにも時間が足りない
なので、テニファ様に無理をお願いし、銃を配布してもらった
カンドル人では銃を使っている者は少ない、それに銃を持っていても先込め式の火縄式の旧式ばかり、レベルも同じくらい、なので鍛錬によっては二月でもそれなりに戦果も期待できる。それに、装填中の銃を横眼で確認する
隣で最年少のライナーが苦も無くスムーズに弾丸を装填していた。
毎日鍛錬を繰り返しているため眼を閉じていても装填を行えるようになったらしい
いま騎士たちの使っている銃が配給され、初めて見た時の感想は、まさか、といったものだった
俺たちは捨て駒部隊、それは否定できない事実であり、団員たちも町では騎士とは思えない扱いを受けているらしい、無論、そんな騎士団に配給される銃も数世紀まえの初期型が配給される物ばかりと思っていた
だが、実際に眼にしたのは、技術大国―カメンスール国製の特殊機構を備えた最新式『ジュジュール』を改良した小銃、つまりは近衛騎士団ですら配備されていない最新式の銃が支給された
まぁ、まだ試験段階の銃を流したとのことで連日とんでもない量の報告書を書かされるが、整備不良も欠陥も今のところ目立ったところは無く、部下たちの鍛錬にもってこいだ
一応銃に名前はあるが、あまりにも味気なかったから部下たちにはデッ・レート国の初代国王の名前をつけ『ドードリ』と呼んでいる
『ドードリ』はすさまじい、なんといっても最新鋭の技術、金属弾薬、レバー・アクションを採用した点にある。
近衛騎士団で正式採用していたリボルバー式ライフルの特徴は連射式という点にあるが、しかし、とても大雑把で、デリケートな銃でもある。
まず、この銃は薬室と銃身の間に隙間があり、発射時にガスがその隙間から逃げ出してしまう、つまり、飛距離や威力が格段に落ちてしまう大雑把な銃であり、そしてもう一つ、先の俺も参加する形となった砦奪還任務の際にこの銃のデリケートな部分が明らかになった。
それは、この銃を何十発と撃ち続けると弾倉が過熱、そのため、装填中の弾丸すべてが一斉に発射されてしまうという事件であり、つまり、銃を構えている際に銃を支えている左手が吹き飛ぶ事故が発生した。
まぁ、トウギの特殊術式の影響で怪我は治ったらしいが、欠陥があらわになり、なんでも今は単発式の銃が再採用されたらしい、まぁ、再装填に10秒とかからない金属弾薬を使用しているらしいが
しかし、このレバー・アクション式は、発射した後、用心鉄がレバーとなっており、レバーを引き、薬室から空薬莢の排出を行ってくれる。それに薬室に次弾が自動装填され、薬室を閉鎖、引き金を戻すことにより、発射できる
装填数は11発、全てを撃ち放ち、弾丸を込める再装填には少し時間がかかるが、それなりに使いやすい
しかし、この銃の普及は難しいだろうな
なんといっても内部機構が複雑化しており、費用がかかりすぎる点がある、 これは結構致命的、内部構造を簡略化できれば何とかなるかもしれないが、それに、しゃがみか立射が基本となっており、民間に広まるかもしれないが、制限される銃はいい銃とは言えない、ま、俺が気にすることではないが
そんなことをふと、考えていた。
さて、あと一人一回撃たせたら郊外一周走らせるか、それとも恒例となっている目隠ししたまま銃を分解、組立をさせるか、どうするか、悩む
「なかなかいいじゃないですか、ブラフォー
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録