ひとしきり泣いた後、涙がやっと止まった
気がつくと雨はやんでいた、だが、雨にぬれたため、服についた雫をお嬢さんが翼で払う
風を引きますといってお嬢さんは何かに気がついたように笑った
僕も気がついた
初めて、僕がお嬢さんに言った最初の言葉と場所も全く同じだ、ただしあの時と逆だったが
お嬢さんは僕を家の中に入れる
家の中に入って、とりあえず、泥だらけで雨にぬれた服を着替えることにした
お嬢さんはもう僕以上にこの家のことを知っている、お嬢さんが箪笥から服と手ぬぐいを用意してくれた
手伝おうとしたお嬢さんにこれぐらい大丈夫、といって断る
髪を拭い、服を脱いで体も拭う
体の痛みがあったが、まだそれぐらい一人で着替える出来る
お嬢さんも別室で、着替えている
なんとか着替え終わると、それを待っていたようにお嬢さんも入ってくる
母様の着物を着ていた。白地に桔梗の花が描かれている着者だ。
いつも縛っている髪をおろしている、お嬢さんの髪はおろすと長く、腰の位置まである。とても美しく、お嬢さんの翼と同じ漆黒の黒髪はきれいだ。いま、母様の白い基調の着物のため、余計に黒髪の美しさが目立っているのか見しれない
お嬢さんが来るようになって、母様の着物を整理したが、母様は白の着物を本当に好いていた、父も母様になにかと着物を送っていたので、数は今出せるだけでも数十着あるが殆ど白い着物、それをお嬢さんが着ていた。
まぁ、何が言いたいかと言うと、やっぱりお嬢さんには白い着物が似合ってる、正直言ってかわいいというか美しいというか、うん、美人だと再認識させられる
僕の手を取ると、お嬢さんは僕の部屋まで連れて行ってくれた。
今の僕はまともに歩くことすらできない
そのまま布団に横になると、ちょっと待っていてくださいとお嬢さんはいい、そのまま出ていく
出ていくとき、お嬢さんは濡れた服を持っていってくれた。
しばらくの静かな時が流れる
煙草を吸いたいが、いま煙草は無いし、吸うわけにもいかない
だから、考えることができた、もう逃げることはできない
あの事を言うべきがどうか、いや、言わなくてはいけない
自分の気持ちに整理がついた、もうこの気持ちは変わらない、たとえどんな壁や障害もしったことではない、と
だが、この気持ちを伝えるなら、その前に全てを話さなければいけない、それが僕の義務であり、責任だ
そのうえで、お嬢さんが決めることだと、思う
正直言って、これをお嬢さんに知られることが何よりも怖い
それを考えただけで手が震える、心を落ち着かせそうとしたが、簡単にはできなかった。
そのとき、足音が聞こえ、近づき、お嬢さんが入ってくる
手には手ぬぐいをもって、起きるように指示される。
上半身を起こすと、お嬢さんは僕の顔に着いた泥を拭ってくれた
なんでも少しついていたらしい
できた、と僕の顔を確認するように顔を近づける
お嬢さん、ありがとう、だけど、一つだけ言わせてください
顔が近い
言おうかどうか迷ったが、お嬢さんをこんなまじかで見るのは初めてだ
言うべきかどうか迷う
それにお嬢さんも気がついたらしい、あわてて顔を離した。
お嬢さんはばつが悪そうに、笑う。
そして、何か温かいものをつくってきます、といって立ち上がろうとしたから、僕はお嬢さんの手(翼)を握って、引き留めた。
とっさだった、だが、お嬢さんの顔を見たら引き留めていた。
もう、今しか言えない、いや、決心がついた
そして、お嬢さんと正面から向き合い、しっかりと眼を見る
「…一つ、お話を、お嬢さんに僕の、僕の話していないことがあるんです。それを聞いてくださいますか?」
お嬢さんは僕の顔を見て、少しまよったような表情をしたが、真剣に頷いた。
それを見て、話を始める、僕の口から、一度も話していない、知られることを恐れている話を
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「僕は、3年前まで、帝都で呪術の研究をしてたんです」
ここはお嬢さんも知っているはずだ、前に話した。
「研究、といっても、西洋呪術のまねごとの実験を毎日繰り返すだけで、退屈でした。最高峰といわれた研究所でしたが、すでに結果の分かっている術を行うのですから」
そして、次からは誰にも話していないことで、真実をしっている者も限られている
「そんなとき、ある先生にお会いしたんです」
思い出す、西洋国が我が国に接触してくる前から呪術の研究をしていた変わり者、西洋国が接触してこなければ呪術が再評価されることもなく、誰からも理解されずに死んでいっただろう老人
しかし、そ
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