現魔王誕生日である、十二月二十三日……この日こそ俺達が祝うべき日だ、翌日の教団が原点であるクリスマスなど二日間も祝わなければいけないのか。
「反逆だぁー!!」「革新!」「革命!」
某忍殺風に言い表すと「○ッキ・ウチコ○シ」、そうでなくても暴徒と化している彼氏彼女のいない市民の方々がクリスマスケーキをカップルへ投げている。
俺?
俺はつまんないし、金もないからただ歩いて、帰りを急いでいる。
「んぁー……」
思わず出る欠伸。
彼女はできたことないけど、遊ぶためには金が必要だから、さっきまでバイトをしていた。
……全国チェーンの外食産業店だからカップルが多かったけどさ、なんで自分たちで作んねえんだろ、すごく不思議。
そんな事を思っている内に、家に着いたんだけど、思わず立ち止まる。
何故って、お前、家の前に……
「何で動かねえんだよ、このポンコツがァアアアア!! ベリィーシットゥ!! ファーックッ!!」
なんか中で動いてる白い袋!黒いサンタ帽子!ガスマスク!ナイフがしまえるホルダーが大量に付いた迷彩服!腰に提げた二丁の拳銃!防水ブーツ!
そんなおかしな格好の奴がいるうえに、家の前には何故かトラックが停まってるし、おかしな格好の奴はサマーソルトキックで空中を蹴っているからだ!!
「あ!」
「げっ」
「そこの人ー! ちょっと来てくんない? ほんのちょっとでいいからさー」
……呼ばれた以上、行くしかない。
俺がおかしな格好の奴の前に着くと、ガスマスクの顔を近づける。
「こんにちわ、二酸化クロースだよ。趣味はクリスマスん時だけいい子ぶってる子供にミミズとトカゲを乾燥させた物をプレゼントしてやって泣かせることだよ」
「最低だな!!」
「照れる」
「褒めてねぇー!!」
初対面なのにツッコんでしまった。
こいつヤバイ、暴徒とかソレとは一線どころか十線くらい引いてる。
「実はねー、二酸化困ってるんだ。とある方に言われてプレゼントを届けなきゃいけないんだけど、エネルギーがなくなっちゃって」
「ガソリン? なら分け……」
「アー、違うの違うの、ガソリンじゃないんだ」
二酸化クロースは困ったように頭を掻くと、メモ帳を取り出して、俺の目を覗き込む。
ガスマスクに映る瞳は、死んだ魚みたいに濁って見える。
「ン〜……。素質はありそう……あ、もしもの話なんだけどさー」
「え?」
「彼女できるとしたらどんな子がいいかな? あ、殺してくれるとかそんなんじゃなくて、タイプねー」
「あぁ……えぇと、とりあえず同い年で」
「同い年でー」
「そうだなー、料理が上手くて」
「ほうほう」
「あ! 俺のこといつも思ってくれる、あのー」
「ヤンデレ? ツンデレ? それともデレデレ?」
「ヤンデレ!!」
「アー、了解、それなら限られるわ」
「へ?」
いつの間にか二酸化クロースは頭を掻きながら、トラックの荷台を慎重に開けて、素早く入ると、何か暴れる音がした。
暫くすると、巨大なプレゼントラッピングされた箱を持って、足で器用に且つ素早く荷台を閉めると、俺の前にゆっくり箱を置く。
「これ、プレゼント。二酸化クロースからのな」
「何これ?」
「まあ開けてみろって」
「う、うん」
拳銃を突きつけられて、俺は震えながら開ける。
と、蓋を開けて、俺は思わず固まった。
「……んぅ?」
「……はい?」
「白蛇の山吹 京香さん(21)だ! 料理上手でお前の事しか考えないような子だ!」
「こ、これ、人身売買……」
「ファーックッ! 俺はプレゼントしてる! いいか! プレゼントだァー!!」
「ヒィー!!」
「……ほら。どうする? 気に入らなきゃ京香さん、チェンジすr「いります!!」よぉーしっ!!」
二酸化クロースは小さくガッツポーズをすると、素早い動作でトラックの運転席へ乗り込む。
「あ、あの……」
「え、ええと……」
俺と京香さんはぎこちないけど、そっと抱き合った。
――幸せな気分だ
と、俺が自己紹介しようとすると、トラックのエンジン音が聞こえて、二酸化クロースは運転席から親指を立てて、
「メリィイイイイイイイイ!!」
タイヤが勢いよく回ると、なんと、空中へトラックが浮いた。
「クリスマァアアアアアアアアアアスゥウウウウウウッ!! ホ〜ホ〜ホ〜!!」
「あ、ありがとー! 二酸化クロース!」
「おたっしゃでー!!」
この翌日知ったことだけど。
彼は他にも魔物娘を「プレゼント」したらしい、空飛ぶトラックと共に。
俺みたいなモテない男には一途なラミア、妄想が膨らむ高校生には
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