魔物高校生と三つ子、他二話

【魔物高校生と三つ子】



「長女! エキドナの紗理奈!」

「次女! ヴァンパイアの美海!」

「さ、三女っ! サイクロプスの奏っ……」

「かーなーでーちゃーん! 恥ずかしがっちゃダメじゃない!」

「うぅー……だって本当に恥ずかしんだもん……」



真奈美たちの隣のクラス。

そこにいたのは今でも珍しいであろう、エキドナを母に持つ恐らくかなり珍しいであろう、三つ子の紗理奈、美海、奏であった。

ポーズを決めているようだが、三女が恥ずかしがって崩れているのだ。



「そんなんじゃいつまでもバカトリオに勝てないわよ」

「勝つ必要あるの〜……?」

「あの三人がこの学校の有名人よ! 本来なら私たちがその位置のはずなのよ!?」

「しかし姉上、ポーズだけで有名になれるとも私は思えない」

「そ、そうだよー!」

「ふーむ……」

「まずは弱点を探すというのは? あいつらでも弱点はあるだろう」

「ナーイス、美海ちゃん。とりあえず奏の友達に聞くわよ」



そして真奈美たちのクラスにやって来た三人。



「美代子ちゃん、ちょっと」

「あん? どったよ」



ふわふわと近づいてきたのは美代子。



「あのね、紗理奈お姉ちゃんがバカトリオの三人の弱点知りたいって」

「いや……知るわけねーだろ……知ってたら逆になんなんだよ」

「だよね〜……」

「どうしたの美代子」



と、そこにバカトリオ三人がやって来た。



「あ! 奏! 今よ!」

「え、え!?」



三つ子がバカトリオに襲い掛かる。



「こっち来るな!」メギャッ

「あもんっ!」ズザー!



紗理奈が悠に殴られて吹き飛ぶ。



「邪魔だ!」バチーン!!

「らぐっ!!」ズザー!



美海が真奈美の肉球に叩かれて顔面から廊下を滑る。



「何か言うことは?」

「ごめんなさい! ごめんなさい!」



姉二人を引っ張り、いつになく恐ろしい顔をした曜から逃げる奏。



「つ、次こそは……」

「鼻血……うふぅ……」

「美海お姉ちゃん自分の鼻血舐めないでよーっ!」

「何だあいつら……」



<戦いはまだ続くようだ>







【魔物高校生と寝言】



「何よそりゃぁ!!」



突然、悠の義姉であるライチが、アルプの芳子(旧名:芳雄)でそう叫んだ。



(ね、寝言……? だよね? うん、寝てる)

「んぅー……痛い痛い痛いってー……ウチそんなんで殴られたら死んでしまいます……」

(何の夢!?)

「ほら……あの青臭い精液みたいな味のしますー……なんやったっけ?」

(知らないよ!?)



――ガタンゴトンガタンゴトン……



「……」

「うわぁ恥ずかしいわぁ! もしかして聞いとった!?」

「っ!?」



ライチの方を向く芳子。



「もしかして聞いとったぁ……?」ムニャムニャ

(寝言かよ!)

「ん〜」ガリガリ



爪で角を掻きだすライチ。



「んんっ!」ガガガガガガ!!

「……」

「ん〜……白樺の大地……」

(白樺の大地!?)

「はいオーライオーライ」

(今度はなんだ?)

「オーライ……あーストップストップ擦る擦る!!」

(車庫入れ誘導!?)

「ストップストップ……痛い! 痛い痛い! ちょ、待って、マジ痛いから!!」

(だからどんな夢だよ!?)



――ガタンゴトンガタンゴトン……



「白樺の大地……」

「何じゃそりゃああ!!」

「っ!?」

「はっ! …………ぐー…………」

「…………ああ、寝言かあ……」







【魔物高校生と成績表】



三人が龍の女性の出産を見届けた翌日。

冬休み前の成績表配布を職員室で鈴子がしていた。



「じゃあ今から成績表渡すわね」

「うーす……」←両方の角に点滴パックが刺さった悠

「あい」←目に隈がある曜

「子供産みたくない……」←難産がトラウマになった真奈美

「だ、大丈夫……? とりあえず明石 曜ー。まー、数学と世界史頑張って」

「はい」



<明石 曜>

テスト:900/699 学年:150/20 クラス:30/8 



「んで病持 真奈美ー。クラス三位はいいけど数学と……それに化学ね」

「キュウン……」



<病持 真奈美>

テスト:900/802 学年:150/10 クラス:30/3



「……でね、神山 悠……」

「おっす!」



と、そこで鈴子が何故か顔をしかめる。



「疑ってると言われても仕方ないわ、私としてもちょっとね」

「え……?」

「私は担任だけどテスト採点担当じゃないから、さらによ」

「えー?」

「なんで……なんでいつもアホな事してるのに!?」

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