魔物高校生と怖い話、他一話

【魔物高校生と怖い話】



悠の家、悠の部屋でいつもの如く三人は漫画を読んでいたのだが、ふと、真奈美が顔を上げる。



「そう言えばこの前、定食屋に行ったんだがな」

「ふーん」

「お〜、いいなー」

「でな、向かいにもう匂いはこびりついてて手は出せなかったが……。恐らく、高校生だったか」



〔真奈美の回想〕



私は腹が空いてたから、トンカツ定食(ご飯超盛り)をゆっくり食べてたんだが、その男はあり得ないスピードでサバ味噌定食を貪っていたんだ。

まあ、人それぞれだと思ったから、私はそのままトンカツを食べていたんだ。

で……その男が食い終わってな、席を立ってそのまま会計を済ませて帰ろうとしたんでな、食べ終わったなら食器類を片づけろと言おうと、立ち上がって、ふと、残された食器を見たんだ。

何故かそこの、飯椀の上に…………



〔以上〕



「何故か箸が三本、置いてあったんだ」

「こ、怖ァーっ!!」

「お前やめろよ! マジで漏らしかけたじゃねーか!!」

「怖いかコレ?」



真奈美が不思議そうに首を傾げる中、曜は頷いて口を開く。



「じゃあお返しにアタシも」

「ふむ」

「え〜、やめろよ〜……」グズッ



〔曜の回想〕



アタシ、尻尾の外殻って紙鑢で削って、伸びたり厚くなりすぎた無駄な部分を削いでんのよ。

でも最近、固くなってきて一日掛けても全く削れなくてさー。

んでさ、紙鑢を床に叩き付けた時だったかしら、そこで見つけたのよ、母さんの使ってる鉄鑢をね。

それでなら削れると思って、試しにこう、鑢を立てて削ったら――



〔以上〕



「こうなったわ」



そこで曜が出したのは、どす黒い染みが付いた包帯を巻いた尻尾だった。



『ぎゃぁああああああああああっ!?』

「それは怖い話じゃなく痛かった話じゃないか!」

「根元から何本か逝ったけど再生するかな」

「病院に行け!」

「じゃ、じゃあ俺も」

「悠がか?」

「うん、あー、この間オレさ、釘子の家に行ったんだよ」



〔悠の回想〕



釘子の家で鬼仲間何人かで集まってさー、そんでオレ以外が急に酒飲みだしてさ。

まー、そんでアオオニじゃん、釘子ってさー。

吐きそうなんて言うもんだから急いで風呂場に連れってたんだよ

そんで洗面器に吐いてた時にさ、なーんか隅っこでうねうね動いてたんだよ。

で、よく見たらさー。



〔以上〕



「それがよー、カマキリだったんだよ。アレって結構はいるらしーぜ?」

「……」

「す、すまん、悠、私、トイレに行ってくる」

「あ、アタシも……」

「え〜?」



そして真奈美と曜は悠の部屋から出て、顔を下に向けて、そのまま話し出す。



「ま、マジなの……?」

「早く行こう」



そしてトイレまで着いて、二人でドアを開けた。



「オロロロロ……!!」

「悠のお義姉さぁーん!!」

「話聞いてたな!?」



そこで吐いていたのは、悠の兄、乙姫(おつき)の妻……悠に義理の姉にあたるバフォメット、ライチだった。

顔は蒼白で、少しながら震えている。



「アタシももう無理!」

「行くぞぉっ!」



そして吐き出す三人は喚きながら吐いて、その後ろで悠はそんな光景を見て、ふと一つ思った。



(今更嘘だとか言えねえ……)



そして急に悲鳴が上がる。



「うわ! ライチさん何それ!?」

「昼間の鳥皮じゃない!?」







【魔物高校生と必殺シュート】



「悪ぃーな、真奈美、サッカーの練習なんかに付き合わせて」

「別に構わん」



ゲイザーの美代子がサッカーボールを足で転がしながらつぶやく。



「必殺シュートさえ完成すりゃあ、女子でもレギュラー確定なんだ」

「そうだな、それでどんな感じなんだ?」

「ああ、うん、そうだなあ……」



急にボールから九十度違う方向を向き、単眼がギラリと光った時だった。

何故かボールが急に飛んできた。



「何ワン!?」

(これぞウチが五年かけて開発した、その名も『直立不動シュート』! どうだ、バカトリオの頭脳派!)

「ふんぬっ!」バシィン!!

「えぇ!?」

「良かったがもう少しだったワン」

「そ、そっか……」



そして美代子は受け取ったボールを足で転がす。



(あいつ割と運動できんのかよ……仕方ねえ、ウチの究極奥義使ってやる!!)

「ん? まだか?」

「オラぁ!」



普通に蹴ると、美代子は真奈美の方を単眼と触手の目玉と共に睨む。



(ウチが七年かけて開発した究極奥義、『邪眼ストッパー』!! ちょっちアレだから今まで禁じていたけど今使うべきだろ! アハハハ、これを防ぐことなん
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