「私と契約して魔法使いにならないか?」
今日もガ○トのバイトを終え、腹が空いていたから生姜焼き和膳(ご飯超盛り)を食べての帰り道。
超★田舎のナガーノのとある田舎の町だ、夜道に現れるのは精々同じくバイト帰りの学生や犬の散歩をするおば様方だけだ。
そんな中に、もう「異常」としか言いようのない奴がいれば、流石に気付く。
「もう一度言う、私と契約して魔法使いにならないか?」
「え、いや……」
俺の前にいるのはボロボロのローブ「だけ」を着て……ブラジャーどころかパンツも穿いてない不審者だった。
大事な個所は髑髏の模様をした本が隠したり、コートの襟とかで微妙に見えるか見えないかの所で隠れていたり。
でもコレは犯罪だろ……公然猥褻やろ……。
「おい! 聞こえているのか!?」
滅茶苦茶可愛いけど関わりたくないなあ、疲れてるし……でもほっといって、変な人に襲われて「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに」的な展開に巻き込まれても困るしなあ……。
「おい! おい!」
一日くらいならオカンも置いてくれるかなあ、でもこんな犯罪臭しかない女の子泊めてくれるかな……。
うーん、今日は給料日だからお金に余裕もあるしパンツとブラジャーぐらいは買ってあげれるかなあ。
「なあ……」
「ん? 俺は魔法使いになるつもりはないよ? それよりも」
「何ぃ!? この私のような! 美少女でもあり天才でもあり最強の魔化学者であるシュランテルイン・フェリアルードニア三世の誘いを断るのか!?」
「話聞いて! つーか名乗りが雑魚臭い!」
名前がシュランテルイン……なんだかなあ、厨二病拗らせるとこうなるのかな?
とりあえずシュランテルインちゃんに近づいて、一旦深呼吸。
「とりあえず下着を買おう、話はそれからだ」
***
向かったのはとりあえずコンビニ。
シュランテルインちゃんには自転車を見ててもらい、俺はATMでお金を下ろしてから、下着と好物のあんまんを二つ買う。
「はい、これ着けて、これ穿いて」
「こ、これで話を聞いてくれるのだな!?」
「うんうん、だから早くしようね」
さっきまで少し泣き顔だったシュランテルインちゃんは、パッと顔を輝かした。
うわぁ、すごく可愛いけど……なんか顔色悪いなあ。
喜んでパンツを穿こうとした時にツルツルの何かが見えたような気がしたけど、気にしないフリ……気にしないフリ……。
「これでいいのだろう?」
下着だけの上にドヤ顔で腕を組むシュランテルインちゃん。
もう「うん、いいよ」とだけ言って、あんまんを一つ渡す。
「顔色悪そうだけど……これ食べて」
「うん? ……まあ、礼を言うが」
あんまんを食べながらかつ自転車を引きながら、俺はシュランテルインちゃんと隣り合って歩く。
もう十時になった道には車も通っていない、俺たち二人の足音と自転車の車輪が回る音だけが響く。
「話の続きだが」
「うん」
「魔法使いというのは嘘だ、ま○かマギ○なるモノの使い魔が言っていたので、引用しただけだ」
「大丈夫、説明されなくてもなんとなくわかるよ」
そし次には俺へ急に寄って、腕を組んでくる。
ナンカ「むにゅり」トアタッテイマス、スゴイヤッコイ。
「本当は『この私の一生の助手にならないか?』、だ」
「一生の助手……?」
「鈍い奴だな、この美少女でもあり天才でもあり最強の魔化学者であるシュランテルイン・フェリアルードニア三世の研究――『死霊術研究』を一生手伝うことができる上……」
手を離して、俺の指とシュランテルインちゃん自身の指を絡ませたと思うと、片手でフードをすっぽり被ってボソボソと何かを呟く。
「え? 何?」
「い、いい。後で言う……とっ、兎に角だ! 今、私の気が変わらないうちに決めろ!」
「う、うーん」
どうやら頭のおかしい子みたいだけど、フードを取った顔の目は必死そのものだし、何よりとびきりに可愛い女の子だし。
「いいよ、なってあげる。だからさ」
「ん?」
「明日からはきちんとした服を着てね?」
「ふ、ふん、仕方ないな……ボソボソ……の頼みなのだからな……」
「え? 何?」
「なんでもなぁーいっ! 兎に角お前の家へ向かうぞ!」
***
それからなんだけど。
家に着いた途端にオカンは悲鳴を上げそうになったけど、髑髏の本が少し光ると「あら、お帰りなさい二人とも」なんて言うし。
翌日、お寺の前で警察に尋問された時は本が光ると「男ォ……!」とか言いながら、土の中から何人も女の人が出てきたり。
そのさらに次の日
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