鮮烈なまでに青々とした葉をつけた木々。
風に騒めく葉の声に目を覚ました俺の目に飛び込んできた光景はそれだった。
普段のような寝起きのダルさなども忘れガバリと起き上がり周囲を見渡し、聞いたこともない巨大な極彩色の花やきのこを見つけさらに混乱する思考をなんとか落ち着かせようと目を閉じ大きく息を吸い込む。
「ここどこだよ…」
つぶやいてみてもその声に応える声はない。
そのことを考えるには情報が足りないと思い立ち上がる。
「とりあえずあたりを探してみるしかない…よな」
見知らぬ地で孤独というあまりにも心許ない状況に自然と独り言が多くなる。
探索を始めそれなりに長い時間がたち太陽の光にオレンジの色が混ざりだし、心中にも餓死やらの恐怖が混じりだした頃、綺麗に舗装された石畳の道を見つけた。
道があるということは人がいるのだろうと安堵した直後、不安の影が頭をよぎる。
探索中から度々思っていたがここは俺が今まで暮らしてきた世界とは違う気がする。
仮にそうだとすればこの道を作ったのはどのような種族、生き物なのだろうか。
場合によれば見つけ次第とって食われたりするかも知れないのだ。
しかしずっとここにいても仕方がない、俺は警戒しながらも石畳の道を歩くことにした。
暫く一本道を歩いていると道の終わり、一軒家についた。
石と木で作られた洋式の家屋で、その周りを大小のキノコが取り囲むように生えている。
「誰か住んでるのか…?」
遠巻きに家の中の様子を伺い知ろうと眺めていると不意に後ろから声がした。
「珍しいな、こんな所に人間が来るなんて」
驚いて振り向き今さっき自分が歩いてきた道の方を見るとつば広のシルクハットを被り燕尾服を纏った正に男装の麗人とでも言うべき美しい女性が立っていた。
「おっと、驚かせてしまったかな?これは失礼、私はマッドハッターのロアという者だ」
「あ、ああ、いや、こちらこそ人様の家の前で、失礼」
驚きながらなんとか返答する自分にクスリと笑いながらロアと名乗った女性は言う、
「なに謝ることはないさ、それで、君は?」
「あ、俺の名前はテルです」
「テルか、いい名だな。ところで見る限りこの世界にきてあまり時間が経っていないようだが…どうだろう、うちで話でもしないか?この世界の話もしてあげよう」
やはりここは自分達の暮らしていた世界ではないらしい、しかしなんの当てもないこの状況では願っても無い話だ、誘いを断る手はないだろう。
「ええ、喜んで上がらせていただきます」
「そりゃよかった、私も君なら大歓迎さ」
俺は気恥ずかしさを覚えながらロアについて彼女の家へ上がりこんだ。
家は台所やダイニング、ベッドなどが一つの部屋の中にまとめられた小ぢんまりとした家だった。
「そこのテーブルの椅子に座っていてくれよ」そうロアに言われ腰掛ける。
ポットを火にかけ戸棚から紅茶の容器を取り出すロアにお構いなくと伝えても
「客をもてなすのは当たり前の話だろう?気にせず少し待っていてくれ」
というので素直に待つことにした。
数分後、目の前に紅茶とクッキーが並べられロアも席に着く。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
「…さて、それじゃあまず君の話を聞かせておくれよ、いつどうやってここに来たんだい?」
「えっと…まず俺は普段通りに家で寝ていたんですけど、目を覚ましたらここの森の中にいまして…【中略】その道を歩いてきてここに着いたんです」
言い切って紅茶を一口飲む、話し続け渇いた喉に甘い紅茶が染み込む感覚が心地よい
「なるほどね…いや何、ここは深い森の中だろう?人間が来るのはとても珍しいんだ。
しかしこの森の中で目覚めたならなるほどそんなこともあるのだろう、と思ってね」
そう言ってロアはクッキーを一つ取り齧る。それを見て自分も一つ取り齧った。
「ああそうだ、そのクッキーも私が焼いたものなんだが…どうかな、お口に合うかい?」
「はい、紅茶もクッキーもとても美味しいです」
「そうか、それならよかったよ…ああそうだ、この世界の話をすると言ったよね。
この世界はハートの女王様が作った世界で、その女王様が時々君みたいに外の人間を呼び寄せるんだ、女王様は…」
ハタ迷惑な話ではあるが、そのお陰で今滔々と語っている彼女とこうしてお茶を飲めていると思えば感謝すべきなのかもしれない
「………まぁそういうわけで、君が今ここにいるわけだ。
あぁそうそう、他にこの世界の特徴としては、この世界の食べ物は大抵なんかしらの不思議な効果がある。その多くは媚薬としての催淫効果だがね」
媚薬、催淫、
その単語で、初めて自分の肉棒が勃起していることに気がつく、
ロアはスクと立ち上がり燕尾服を脱ぎながら言った。
「テル、そこのベッドに腰掛けてくれるかい?」
「…………」
俺は寸分の迷いも無く言われた通り
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