ここは、暗黒魔界の荒野。そこに、一人の勇者らしき、頭に工事用のヘルメットを装着し、防弾チョッキを着用。右手には京都で購入したと思われる木刀(一番サイズが小さい奴)、左手にはホームセンターで買ってきたアクリルのパネルで作られたと思われる盾らしきものを装備した40代のバーコードハゲのおっさんと、それを神妙な顔付きで睨むリリム(彼氏イナイ歴=年齢)が対峙していた。
(作者、後で覚えておきなさい。)
さぁ、何の事ですか?知らん。
「…っ、まぁいいわ。それより、そこのあなた、私に挑もうなんて、私も舐められたものね。」
「な、何を!五歳の時から福耳でついたあだ名は「阿弥陀如来」、小中高の成績は万年オール2(体育は1)、中学の時は女子からゴキブリ扱いされてキモがられ、高校、大学の時にはクリーチャー扱いされた揚句、親から「彼女、結婚は諦めろ」と言われ、Fラン大学卒業後、ブラック企業に就職し未来を断たれ、万年窓際で今年脱サラして勇者になった山田和夫(48歳、彼女イナイ歴=年齢、もちろん童貞)をなめるな!!」
「すごいどころか、悲しくなるわ!!」
(な、何この勇者。あまりにもひどいスペックじゃない?勇者界のモーリス・マ○ーナよ!!)
「…で、そんなあなたが私を倒そうとする理由は何?」
「リリム一匹ぐらい倒さなきゃこんなダメ親父、誰も見向きもしないから。」
「さらに悲しい理由だー!!何なの!?あなたが勇者になるまでに一体何があったの!?」
「実は…パチンコにはまりすぎて、両親にゴミ扱いされてに絶縁され、家を追い出されて…」
「もういいわ!聞いてるこっちが悲しくなるわ!!」
この勇者(ルビはダメ親父)、ダメダメである。もはやあまりのダメさ加減でリリムが浄化されそうな勢いである。正直こんなクレイジーダメオヤジソルジャーなんて関わりたくもない。しかし流石は魔物娘。リリムは、このダメ親父を救済する決意をした。
「あ、あの…私が言うのもなんだけど、何か自分で対策しなかったの?例えば、ダイエットするとか、婚活パーティーするとか。」
「はい、ダイエットですが一回やってみたんです。「戦車ダイエット」を…」
「What!?」
「そしたら、戦車買うお金がなくて、断念したんです。」
「ちょっとまって、何処でそんな方法知ったの!?」
「…家にある『バカ○リル』を見て思いついたんです…はい…すみません。」
「何故それを参考にしたの!?」
「だって…それぐらいしか…ヒック…ダイエット法を知らなくて…」
「泣くな泣くな!!大の大人が泣くな!!アメちゃんあげるから!!」
「はい、ありがとうございま…あ、飴玉がパチンコ玉に見える…」
「Are you stupid!?」
(これ以上、私にどうしろと言うんですか?)
…某妙高型一番艦のセリフが頭をよぎる。普通だったら、容姿も性格もスルーするレベルである。だが、こいつを放っておいたら、教団側にもさぞかし迷惑がかかるだろう。故に、私達魔物娘が救わねばならない。そうリリムは、確信したのであった。
「…それで、婚活パーティーには行ったの?」
「はぁ…行ったのですが、一つ目は年収が少ないと言われてはじかれました。」
(えっ!?)
「二つ目は会場に入れたのですが、女性全員が化け物を見る様な目で見てきて耐えられず、3分で退出しました。」
(ええっ!?)
「三つ目は女性にアドレスを教えましたが、そのことごとくがその日にアドレスを変えられました。」
(えええっ!?)
「四つ目は、出会った女性に100万ぐらい貢がされて逃げられました。」
(ええええっ!?)
「五つ目は…」
「もういいっ、休め…休めっ!!」
何だろうこの男。世界各国探し回ってもこんな女性経験が悲しい人はいないだろう。何だか悲しい気持ちになって来た。
「…そ、そんなことより、私達の方に来ない?そうすれば、素敵な伴侶が見つかるわよ?」
「いえ、いいんです。」
「何で?」
「こんなクズキモメンカス男の伴侶なんて、魔王にとっても恥になるから。」
「何であなたはそんなに自己評価が低いの!?」
どうやらこの男、精神クラスでもヤバい。
「まず、何であなたはそんなに自己評価が低いの?」
「だって、まずこの顔がクリーチャー見たいでどんな動物にたとえても例えた動物に対して失礼になるし、コミュ障だし、低学歴で誰も友達いないし、そこにいただけで核廃棄物扱いされるし、学生時代は同級生からも先生からも生ゴミ扱いされてきたし、それに弟とかは一流大学に入学して大手企業に勤めていて、常に家族からも腫れ物扱いされてるしそれに…」
(ブチッ)←リリムの何かが吹っ切れた音
リリム の みねうち
やまだかずお は、きぜつした
「さて
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