ここはガルリア城の地下にある会議室。そこには、水晶玉を持ったヒサヒデと、お付きの家臣であるナオシゲ、カゲカツ、さらには手紙を届けたクノイチの椛の4人がいた。

「…で、この水晶玉に話かけりゃいいのか椛?」

「はい。」

「オケ。じゃあ…あー、あー、こちらヒサヒデ。セルナ国のマリア、聞こえるか?」

すると、水晶玉からマリアの声がした。

「はいはい、聞こえるわ。…で、ヒサヒデ殿、これはどういうつもりなのかしら?」

マリアが、少しいらついた声で話す。

「いや―実はな、そっちの軍隊でフランシャーナ軍をおびき寄せてもらいたいんだ。と言うのも、今フランシャーナは数十年前にそっちが手に入れたゴッドアを奪還しようと軍を出した。それも、フランシャーナ軍全体の3分の2を動かすっていうんだから間抜けな話だ。そいで、国王のルイが現在こっちの近くにあるバレル城で指揮を取ってる。手勢はかなり少ない。そこを、俺達が襲い、フランシャーナを頂くという魂胆だ。」

ヒサヒデが少しふざけた口調で話す。

「ハァ…呆れた話ね。で、私たちは、イビガラ川で陣取っていればいいの?」

「いやいや、それだけじゃない。イビガラ川で陣取ってる部隊のうち、5000の兵をフランシャーナにわざとわかるように撤退させ、こっちとセルナの境近くにあるネオ砦に陣取ってもらいたい。」

「…何の意味があるの?」

「それがな、俺、向うの国王にあんさんとこの軍を誘引させるって言ってある。で、マジでおびき寄せられたふりして貰いたいって訳。そいで、俺んとこの軍と戦って、わざと負けてほしい。」

「…ますます訳が分からなくなってきたわ。と言うより、ケンカ売ってんの?」

マリアが、青筋を浮かべさせながら話す。

「いやいや、あくまで八百長試合。まぁ、出来レースってヤツ。それで、フランシャーナを騙すって魂胆だ。」

「…なるほど。それで、フランシャーナ国王が安心しきっているうちに、バレル城を制圧するってことね。」

「イエース!!」

「…ヒサヒデ殿。あなた、まるで蝮の様な男ね。」

マリアが、半分呆れた声でヒサヒデに話す。

「おう、褒め言葉として捉えておくぜ。」

ヒサヒデがドヤ顔を浮かべる。

「あ、後もう一つ注文していいか?」

「何かしら。」

「こっちに来る際、タケリダケ、虜の果実、纏いの野菜をありったけ持ってきてほしい。それも、秘密裏でな。」

「いいけど、何に使うつもり?」

「まぁ、それは後のお楽しみってやつだ。」

「…怪しいわね。」

「まぁ、心配なさるなって。じゃあ。」

「フフ、面白い男。では、また。」

そう言うと、二人は話を終えた。

「さて、役者はそろった。…いよいよ、動くぞ。ナオシゲ、カゲカツ、心の準備はいいか!?」

「「はっ!!」」

「…あ、Mみじも忘れていた。お前はどうだ!?」

「椛です!!もう、間違えないでください///」

「よーし。じゃあ…準備するぞ。」

ヒサヒデが、動き出した。

 それから3日後、ヒサヒデはガルリアの守りをカゲカツに任せ、ネオ砦にいた。砦内にいる家臣は、ナオシゲの他、奇襲が得意なモリチカ・ウキタ、人並み外れた武勇の持ち主であるタダトモ・モウリ、火計、水計等、計略なら右に出る物はいないサダミツ・アンコクジがいた。そしてネオ砦のすぐ北には、手筈通りに動いたセルナ軍5000が陣取っていた。

「まさか、セルナが本当に動くとは思いませんでした。」

モリチカが感心してヒサヒデに話す。

「なんの、これからよ。こっちは、今から奇襲をしかける。すると、セルナ軍はシナリオ通り、驚いて何も出来ないまま敗れる。そいで、それを伝令がバレル城に報告しに行く。もちろん、マリアからのお届け物もな。」

「例の…あれですな。」

サダミツがニヤリと笑いながらヒサヒデに話しかける。

「ああ、あれよ。」

ヒサヒデが、不気味な笑いを浮かべながら、返す。そして、ヒサヒデが台に上ると、すでに出撃準備が整った兵士たちに命令した。

「良いか皆の者。我々は、今からネオ砦前に陣取るセルナ軍を奇襲する。但し、傷は付けてはならん。なぁに、向こうも織り込み済みだ。わかったか!?」

「「「「「オウ!!!!」」」」

兵士たちが声を上げる。

「では出陣!!」

ヒサヒデ達の軍は、セルナ軍の陣地へと突撃していった。先陣はヒサヒデ自らが指揮し、その後、ナオシゲ、タダトモ、と続いた。

 一方こちらは、ネオ砦前に陣取るセルナ軍。この部隊を指揮するのは、特殊部隊長のサイハであった。

「何で私たちが八百長試合で負けなきゃいけないのかしら?」

サイハは、苛立った声で独り言を離した。無理もない。本来なら屈服させる側にいるダークエルフが、わざと屈服されるのだから。

「隊長、今
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