度重なる戦争で人々は亡くなりその国は滅んだ。
私も死んだはずだった。
しかし目の前に現れる光景はあの世というにはあまりにも淫らで快楽に満ちていた。
だがほっぺたを摘んでも夢は覚めない。
これが現実であることを教えてくる。
自分の身体を開くと心臓が止まっていることも血液が流れてないのも分かる。
だが思考ができて身体が動いている。
何かが身体を動かしているのだろう。
ふと隣を見ると手記があった。
私はそれを読む。
○月○日
あの人が亡くなった。
どうしてどうしてどうして!?
あんなに優しく、あんなに強かったあの人が。
どうしてどうして……。
○月△日
ある方があの人に会う方法を教えてくれた。
あの人の声が聞こえる!
ああ、あの人の声が再び聞けるとは!
嬉しい、嬉しい!
○月
#11036;
#65038;日
あの人と触れ合いたい。
あの方がくれた本にはその方法が書いてある。
そのためならどんなことだってしよう。
○月×日
あの人を見捨てた人々も同罪だ。
あの人を甦らせるためには多くの死が必要だ。
この町も死に満ちた。
血とそれを失った肉体が転がるだけ。
△月○日
あの人の身体は修復してきた。
ああ、なんて逞しい身体……。
愛おしすぎて何度も口付けをし、愛した。
△月△日
うるさい奴らが武器をこっちに向けて迫ってくる。
あともう少しなのだ。
邪魔をしないでくれ。
ああ、思い出した。
最後の最後でそれは完成したのだった。
死者の魂をこちらに引き寄せる禁呪。
それはわたしの命が尽きると同時に発動した。
術者が亡くなり制御ができなくなったそれは、あらゆる場所の死者も蘇らせた。
そうだ、会わないといけない。
私はかけ出す、身体から血だった何かが流れ続けても。
居場所は分かる、知ってる。
かつて私を殺した女騎士が居た。
彼女の鎧の下からは、だらしないほどの肢体が溢れて溢れている。
かつては引き締まっていたのだろうが今はやわらかく腐っている。
その頭も今や快楽に満ちた顔で、首から外れて男のモノを美味しくしゃぶっている。
私を止めようとした老夫婦が居た。
その二人は交わり合えば会うほど若返っていった。
かつて若い頃は美人とは言っていたがここまでとは。
妻子を殺されて泣き叫んだ男が居た。
今は同じく死者として蘇った妻子を犯していた。
あの時よりも理性が飛んだ顔で、男は犯している。
妻子も同じ種を受け取れることを悦びながら奉仕していた。
私を止めようとしたから殺した聖母も居た。
血塗れなその衣服の上から母乳が白く染めていく。
血は流れないのに、聖母のさらに大きくそして溶けそうなほど柔らかい乳房からミルクが流れ続ける。
それらは、あらゆる人々がそれを求めていく。
聖母もあらゆる人々を受け入れていく。
ああ、見つけた。
彼も私を見ると飢えた獣のような眼で見ている。
私も既に同じような瞳だ。
彼が襲う、私が襲う。
乱暴すぎて何かが流れる。
でも痛みより快楽が走る。
悦びが溢れてとまらない。
死んでよかった
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