みんなに祝福される神父様とシスター様

とある田舎の平和な村に、神官が男女二人いた。

その村は平和だった、あの時までは。

大きな地震が起きて村の大勢の人が傷ついた。
小さな村であった為、国や教会も手がまわらなかった。

「くそ!俺たちに力さえあれば……」

「ごめんなさい……、みなさん……!」

二人は自分の力不足を悲しみ、嘆き神に祈りを捧げた。









そんな時だった一人の旅人が現れた。

「大丈夫かい……、この傷なら……あれが良いだろう」

その女は素人目に見ても、類い稀なら医療の腕の持ち主であった。
瞬く間に村人達を治療していった。

「ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!」

「いえいえ、当然の事をしたまでです」

この運命の出会いに二人は神に感謝した。

それから彼女はこの村に住まう事になった。
命の恩人である彼女の移住に反対するものは居なかった。

「この植物は簡単に育てられるし、たくさん取れる……」

「見た事ない種類ですね」

「ちょっと遠い地方からのだからね」

地震の影響で枯れてしまった植物の代わりとして新しいものを彼女は植えた。

「……ええ、相談にのりますよ」

村の人々から相談を受ける事もあった。

「お姉ちゃん、一緒に遊ぼう!」

「ええ、良いですよ」

子供達からも人気だった。

「すみません……!本来なら貴方達教会の方々の役割すら奪ってしまって……」

「いえ、良いんです、私達この村で生まれ育って……」

「この村の人々、みんなが好きなんです、家族みたいなものです」

「……良い関係ですね」

そんな日々が続いていた。
だからこそだろう……

「最近、八百屋のヤサさん綺麗になりましたねぇ」

「ありがとう、神父さま。あの人にも言われちゃったわ」

何かが……

「シスターさま、ようやく引きこもり中だった娘が家の外に出てきてくれたの!」

「それはよかったです!」

変わり始めていた事に。






「あの人たちみたいな優しい人こそが……祝福されねば」






「行ってくるわぁ
#9825;ちゅ
#9825;」

「おお!帰ってきたら……!」

「もう、そんな人前で……」

人前でキスして仕事に出かける夫婦を見て呆れるシスター。

「しっかりと自制して静粛を良しとすると教会の教えに……!」

「そんな事言わないの、シスター様!ほらぁ、おっぱい前よりも大きくなったと思わない?」

「だ、だから!?」

「ごめんごめん!可愛くてつい!」

なんだか人々が前よりもイチャついてる人が多くなっている、そんな感じがした。
それ自体は悪くはないが……。

「ですが、節度を……」

「分かってるって!」







「おお!神父様!アンタも温泉に?」

「ええ、いつもは水浴びですが……たまには」

村の温泉の男風呂、神父は村の男達と語っていた。

「なあ、神父様、シスター様とはどうなんだい?」

「どうって……!神に仕えるもの、そういうのは……!」

「かーっ!好きならそんな事どうでも良いじゃねえか!?」

「す、好きって!?そんなわけ!?」

「懐かしいねぇ、女房と会った頃もそんなふうに顔を赤くして……」

「も、もう上がります!」

そう言って神父は一目散に風呂から上がり去ってしまう。

「ちょっと挑発しすぎたかな」










そしてそれから数週間後……

「もうすぐ村につきますね……、こんな夜中になってしまいましたね」

「教会の全体の会議が長引いてしまいましたし……」

二人は教会の定例の会議から帰って村に帰宅していた。
しかし彼らが戻ってきた村は……

「ああん
#9825;おかえりぃ
#9825;あん
#9825;」

「おかえり!神父様、シスター様!うっ!でるぅ
#9825;」

「おにいちゃん、おねえちゃんおかえりなさい!」

「ちょっとぉ!シスターのお姉ちゃんにデレデレしないで!あん
#9825;」

人々が思うがままに夜の闇の中、灯る光の中で交わり合っていた。

「な、なんだこれは!?」

「な、なにこれ……!」

「はぁい
#9825;搾りたてのミルクよぉ
#9825;」

「ミルさん……」

驚愕する二人にホルスタウロスの魔物娘になった農場の娘が、自分が絞ったミルクを瓶に注いで二人に渡してくる。

「あ、ああ……」

そのミルクはとても甘かった。

「お帰りなさい、お二人さん
#9825;」

「!?まさか、貴方が!?」

その声に振り向くとそこには村を救った恩人である筈の彼女が居た。
しかしその服装、見た目は人ではなく……

「ごめんなさい、嘘をついていたわね、私はリリム、魔王の娘よ」

「どうして村の人々を無理矢理こんな姿に!?」

「無理矢理ではないわよ、そもそもあの怪我から救う
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