とある先生と助手の蜘蛛のお話

「まさか……こんな形で人を辞める事になるとはね」

「そうですね、先生」

とある科学者の女性とその助手の男は、とある部屋の一室で現在の自分たちの状況をカメラに残していた。

「……どうだい?今の崩れていく自分の身体の感覚は」

「ああ、そうですねぇ。身体の感覚は無くなっているはずなのに全然怖くないんですよ、寧ろ気持ち良いくらいで」

「私もだよ、君みたいに人の姿から外れないが気持ち良いんだ」

男の身体は崩れていく、新たな形へと変化するために。
どこからしてるのかわからない声を上げながら、同じく人を辞めていく女に自分の状況を説明していく。

「……ねぇ、何を私達は間違えたんだろうね」

「……間違いなんてそれこそ全てが終わってからじゃないと誰も判断できませんよ」

男の変化が終わった。
その姿はまさしく大蜘蛛であった。
中心部に大きく穴をぽっかりと開けて。

「不思議な感覚だよ、初めてなのに、知らないはずなのに、どうすれば良いかわかってるんだ」

「僕もですよ、まるで最初からこうだったかのように身体の動かし方がわかるんです」

そういうと蜘蛛は穴から触手を生やして女の身体を持ち上げていき……
その穴に女を入れた。
そして入れると同時に女の中には、変化した男のソレが入り込み……

「……ああ
#9825;初めてって痛いって聞いてたのに
#9825;この身体では違うみたいだね
#9825;」

「……初めてだったんですか?」

「……!そんな事言う男には!!」

「ちょっと!?急に締め付けないでくださいよ!」

まるで蜘蛛の下半身の上に人が生えているような姿。
だが間違いなく彼らは元は人間だったのだ。

「き、君はいつもノロマで!!ドジで!!私のことを馬鹿にするし!」

「どうしたんですか?急に!」

「身体が
#9825;怒りが
#9825;急に
#9825;込み上げてくるんだ
#9825;」

「変化の影響でしょうかね?」

まだ二人は知らない。
お互いの血は毒へと変わり果てている事を。
雌の毒は言葉と共に雄へと注ぎ込まれ……

「ばーか!間抜け!」

「……普段はあんなに知的なのにこうなると語彙力が減るんですね」

「な、何を言って……!?」

「どうやら先生の毒が僕の中に流れてきてるみたいです、よ!」

蜘蛛は勢いよく女の奥に突き立てる。

「ひぎぃ
#9825;そ、そうみたい
#9825;君のその毒が欲しいんだ
#9825;だ、だから……」

「はぁ……、ちゃーんと頼んでくださいよ」

「き、君の
#9825;」

「もっとハッキリと!」

「君の毒グモちんぽで
#9825;雑魚メスをおバカおまんこ女にしてぇ
#9825;」

「よーくできました!」

「いぎゅぅぅ
#9825;
#9825;ごんごんときてるぅ
#9825;
#9825;
#9825;こ、これが欲しかったのぉぉぉ」

蜘蛛の悲鳴が数時間鳴り止まなかった……。

そしてようやく正気に戻った頃……。

「新たな眷属の誕生ね」

そこに一人の同じ蜘蛛のつがいが現れる。
それは彼らをこの魔の道に落とした張本人である。
だが……

「……ありがとう、おかげで私は……」

「ええ、思うところも無かったわけではないですが十分満足です」

「……中々二人とも優秀ね」

その女は満足そうに頷くと……

「さあ、来なさい、新しい世界へ」

女は空間を開く。
新たな世界への道を。

「……色々と一緒に調べるのを手伝ってくれたまえ、まずは……私と君の身体からな」

「……そんな顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言ったら……燃えるじゃないですか」

「っはう
#9825;き、君は結構意地悪だねぇ
#9825;」

「今、わかったんですか?」

「……むう」

「ところで……どうして僕と一緒にいてくれたんですか、先生?」

「……君の事が好きだったからだよ」

「……嬉しいです」

そう言いながら二人はその世界に向かっていった……。







それからどれほどの月日が経ったであろうか。

「地上ではサキュバスやデーモン達が頑張っているらしいが……」

「ええ、我ら混沌の蜘蛛の力なら……」

地上では人々が、人々と、もしくは魔物と争っていた。
しかし……

「蜘蛛の巣、蜘蛛の巣よ、我ら混沌の蜘蛛の巣や」

「この世の全ては蜘蛛の糸に絡め取られている」

「運命の糸も、赤い糸も」

「「「全ては混沌の糸に、絡め取られて」」」

それは詠唱であった。
その世界の大地の下に作られた混沌の蜘蛛の巣が輝いていく。

「な、なんだ!?地面が揺れてる!?」

「か、神よ、助けを……!」

地上にいるものは驚き、恐怖し神に祈るものも居た。
しかし……

「あ、あれ?つ、杖が……?」

「ああ!?こ
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