...それからしばらくしてシルヴィアはリアムが居る場所を教えてもらった後、休む間もなく飛び出るようにして家を出ました。
道中で仕事場の同僚などにも偶然見られ、声をかけられたりしましたが、シルヴィアは聞く耳も持たず一心不乱にリアムのもとへと向かっていたのです。
途中、道を見失いかけてしまうこともありましたが所々に残されていたリアムの痕跡から出る微量な精気を頼りに進んでいました。
そうして何とか街へと近づくことが出来ましたが、その頃合いには既に日は暮れており、街へ辿り着いたときには街は静まり返っていました。けれど、それ故にシルヴィアの感覚は研ぎ澄まされリアムの居る場所へと本能的に向かうことが出来たのです...
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....あれから私はリアムさんが居るとダークプリーストさんに教えてもらった場所、リアムさんが居るという街へと向かっていました。
しばらくの間家からも出ず、仕事にも行っていませんでしたから....歩くこともままなりませんでした。
けれど、そんなことでリアムさんを放っておくことなんてできない....そう思うと自然と体が動くようになっていきました。
ただでさえ元々は歩けないほどまでの怪我をされていたんですから、そんな状態で無理やりにでも体を動かせば....考えれば考えるほど彼のこと、リアムさんのことが心配でなりませんでした。
せっかく出会えたのに、こんな別れ方なんて嫌....
....そう思った時、ふと視線を上げるとそこはある程度舗装された道で街に近づいているということが分かりました。
もっともその頃には日も落ちかけていて雪も降っていたんですけどね...
そうしてしばらくの間その道を歩いていると街にたどり着くことが出来ました。
街は当然の事ですけど静まり返っていて....私の履いていた支給品のブーツが地面を蹴る音だけが街に響いていました。
静かだということもあって明確ににリアムさんの気配を感じ取ることが出来て....リアムさんは無事なのだということが伝わってきました。
それで安心しながらも歩いていると、ある路地裏から強く気配を感じたので急いで向かったんです。そうしたらそこには紙くずやありあわせの布に包まって寝ているリアムさんが居たんです....
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....こうしてシルヴィアはやっとのことでリアムに会うことができました。
けれども...リアムはあまり良い状態ではありませんでした。そう、彼はあの日と同じように悪夢を見て苦痛の表情を浮かべながら寝ていたのですから....
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....ここは何処だろう。畑に、見覚えのある家....僕の家.....?
あれ、母さん....母さんか.....?でも、母さんは父さんと一緒に死んだはずじゃ....
「母さん...!?、母さんじゃないか....生きていたのかい....?」
驚きながらもそうして僕は懐かしくもある家の玄関を潜り抜け、母さんの元へ歩み寄って行くとそこにはもうこの世には居ないはずの母さんが居たんだ....でも、いくら話しかけても返事をしないで僕のことを見てくるだけでさ....少し気味が悪かった。
....それでしばらくの間立ち尽くしていると急に母さんが僕の首を絞めてきて
「どうしたんだい母さ...ぐッ、何するんだよ....放してッ!」
それを境にあの時の夢に出てきたジョンと同じように体からは皮膚や肉が削げ落ちていって、血も噴き出しているというのに母さんは僕の首を絞める手を緩めなかったんだ。
「アガッ....、母さん、ごめん、僕がもっと、ぐッ......早く、早く帰って来ていれば、戦争がもっと早く終わっていたらッ.....!、ごめんなさい、母さん、許して....母さん....母さん.....母さん......」
そうして僕は夢だというのにも関わらずに段々と意識が薄くなり始めて....痛みも段々と感じなくなって来て....
「母さん....母さん....母さん、許して.....母さん....」
それで意識を手放しかけたとき、聞き覚えのある声がして
「リアムさん!起きてください!、...お願いだから....起きて...!」
そうしたら、そうしたら...僕は夢から覚めることが出来たんだ....
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....目が覚めるとそこには何故かシルヴィアさんが居て、あの時と同じでさ....僕の体を優しく抱きしめてくれていたんだ。
でも、シルヴィアさんには気づかれないように....迷惑にならないようにする為に何処へ行くのかは教えてはいなかっ
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