昔、あるところに1つの農村がありました。
その農村にはリアムという青年が両親と共に暮らしており、裕福とまではいきませんが慎ましやかな生活を送っていました。
しかし、ある時リアムの住んでいる国が隣の国と戦争を始めてしまい、状況が悪くなり始めてからは若い者達が徴兵されてゆき戦場へと送られて行きました。
そしてまだリアムの住む村にはまだそのような徴兵によって連れて行かれた者はその時まではいませんでしたが、ある時を境にリアムの家に1通の手紙が届いたのでした...
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ある日の朝のこと。僕はいつも通りの時間にベットから起きて部屋から出ると日課の散歩をしようと思って玄関まで向かっていたんだ。
それで滅多に手紙や郵便物が入ることのない家の郵便受けに手紙が入っているということに気がついて僕は少し嬉しい気持ちになりながらその手紙を取り出したのさ。
でもその紙は僕の期待や予想を裏切るような物だったんだ...
何故ならそれは徴兵の知らせを伝える為の召集令状だったのだから。
それから僕はとりあえず母さんにこのことを伝えるために日課の散歩を取りやめて台所へと向かったんだ。
「...母さん、おはよう。」
「あら、リアム。おはよう、昨日は良く眠れた?」
「うん、しっかりと寝れたよ...」
「なら良かったわ....でもこの時間ならいつも散歩に行っているじゃない。何かあったの?」
そう聞かれたので僕は先程郵便受けから持ってきた召集令状を取り出して見せた。すると母さんは少し驚いた後に悲しい表情になって
「....この家にもとうとう来てしまったのね。」
そう言って僕に徴兵について詳しく教えてくれたんだ。
「....だから、この家からは1番若いリアムを軍隊に出さなければならないの。お父さんはもうそこまで動くこともできない歳でしょうから....」
「でも、悪いことだけじゃないだろう?だって軍隊に一応は入るんだから給料は支給されるし食べ物や寝るところだって用意してくれて....今の暮らしを少しぐらいは楽にできるだろうし....」
そこで僕は軍隊に素直に入るよ、と言おうとしたが母さんの泣き出しそうな顔を見て言うのを躊躇ってしまった。
「リアム....私は貴方を戦いに行かせたくないの。それに、人を殺すだなんてこともさせたくはないわ。だって、だって貴方は私の自慢の1人息子なんですから....」
「....僕だってそれはよく分かっているよ。でも、これは拒否できるものじゃないんだ。だから、嫌ではあるけども行くしかないだろう....?」
そう言って僕は泣き崩れる母さんを抱きしめてしばらくの間慰めたんだ....
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母さんに召集令状を見せてから1日経って僕は軽く準備をした後、隣の家に住んでいた同じように徴兵される友人のジョンと共にこの村を出て、1番近くの招集施設がある都市に向かうことにした。
ジョンは小さい頃からの友人で年も近いことからとても親しい間柄だった。だからこそ彼も同じように召集されることを悲しんでいた。
「....なあリアム。俺ら本当に生きて帰ってこれるかな....」
「それは....僕でも分からないよ。」
「....あの令状、お前のところにも届いただろう?それでさ、あれを見た母さんがな泣きながら行かないでくれって言ってたんだ。」
「僕も同じような感じだったよ....」
「でも行かないっていう選択肢はないだろう?....だから必ず帰るって約束をして家を出てきたんだ。」
「....なら、必ず帰ってないといけないね。」
そう話し合いながらも道を進んでいると手紙に書かれている場所に辿り着いたので列に並ぶようにして建物の中に入って行った....
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建物の中に入って列が進むのを待ちながら少しずつ受付へと進んでいき、受付に辿り着いたら送られてきた令状を渡してそれから軽い検査を受けた後、渡された少しシワのある軍服を着て訓練に早速参加することになった。
訓練ではまずランニングや障害物を乗り越えたりする体力を鍛えるものを受けて、その後は誰かと組んで至近距離での白兵戦と呼ばれる格闘術の練習を行ったんだ。
それが終わってからは実際に使う武器の取り扱いについての訓練になり、銃を1人1丁渡されて射撃の訓練を行うことになったのさ。
銃っていうのは初めて持って使ったけどそこまで重くなくて扱い方もそこまで難しくもなかったんだけど撃ったときはとても驚いたんだ。こんなにも小さい武器でこんな威力を出すことができるってことにね。それと同時にこれを使って敵とはいえ同じ人間
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