「うぅ…ん…」
なんだろう。体が痛い。
「いてて…?」
目を覚ますと、俺は素っ裸で赤い模様のついた蛇の尻尾に巻きつかれていた。
がんがんする頭を抑えつつ辺りを見回す。
「…ああ、昨日確か先輩とラブホ来て…あれ?そういえば…」
だらしなく開けた口から細い舌を覗かせる先輩。
昨日の記憶が正しいかチェックしよう。うん、たぶんアレは夢だろう。童貞卒業の喜びから夢を見ていたんだ。
「お邪魔しますよー…」
毛布をめくる。
そこには、朝になって更に勢いのついた先輩のモノが。
「…」
毛布を戻して時計を見る。
いつもは8時頃に出勤しているので、ここからなら7時20分に出たらまあ余裕があるくらいだろう。
しかし、俺の安堵感は崩されることになる。
時計はそれを示していた。
9:48
「…え?」
やることは簡単。隣で寝ている可愛い恋人を叩き起こす。
「先輩ッ!起きてくださいーッ!」
「ふわっ!?な、なにぃ!?」
「もうすぐ10時ですよ!寝坊したんです!ね・ぼ・う!」
「…」
驚いた、というより放心したような顔で時計を見る先輩。
しかし次の瞬間にはいつもの調子に戻ったようだった。
「ふふ…ぐふふ…」
「先輩?」
嫌な予感。
「君の携帯貸してごらん?」
「でもそんなこと言ってる場合」
言い訳は中断した。いや、せざるを得なかった。
お尻に硬くて太いモノの感触があったからだ。
「あーあ、このままじゃお尻入っちゃうかもなー、ガンガン犯して肉便器にしちゃうかもなぁ…
#9825;」
「どうぞ携帯です」
「君確か有給取ってなかったよね?溜まってるし、ここで使いなよ」
「え、でも、二人も休んだら会社も大変だし怪しまれそうだし…」
「へへ、もう晴れて恋人になったんだから怪しまれても痛くもかゆくもないでしょ?」
「…まあ、たしかに…」
恋人と言えば聞こえはいいが、要は体目当てなのだ。
それでも可愛いからフラれるよりはよかったけれど…。
「はい、はい…今日は休ませていただきます…はい、失礼します…」
先輩も連絡を終えたみたいだ。
「あ、君は連絡しなくても私の元に連絡が来たってメールで送っておいたから」
「ありがとうございます…え?ならなんで俺の携帯を…」
携帯を開く。
変わったことは何もないが、起動履歴にネットに繋いだ形跡が。
そこを開くとアクセス履歴の一部とお気に入りが削除
amp;フィルタリングされていた。
「…先輩」
「んー?」
尻尾をほどいていそいそと着替え始めた先輩に声をかける。
「そ、その、俺のエロサイトがアクセスできなくなってるんですけど…」
「ふふふ、だっていらないでしょ?私が君の性欲は全部処理してあげるから♪」
嬉しいようなそうでもないような言葉。
「あのですね…」
先輩はスーツを着て外に出ようとしていた。
「ちょっと野暮用を済ませてくるからここで待ってて、10分くらいで終わると思う」
「はぁ…」
扉が閉まる。
ここで待っていろ、ということはつまり用を済ませた後で一緒にどこかへ行くか、またラブホでアレコレするかということだろう。
「逃げるなら今がチャンスか…いや、でも逃げても…」
素っ裸で部屋の中をうろつく。
「…いや、まだやめさせるチャンスは失われてはいない」
15分ほど後、先輩が戻ってきた。
「ただいま〜延長とオプション付けてきたよん
#9825;」
確信した。
やる気だったのだろう。
「先輩、今日のところは帰りましょう?もしも先輩が力づくでその…セックスを強要しても、僕はここから出ませんからね」
俺の考えた作戦は、先輩が折れるまで風呂場に鍵をかけてこもるだけだ。
「…」
曇りガラスの向こうがどうなっているかは分からないが、先輩の黒い影はそこにじっと佇んでいた。
「さあ、オプション?とやらを返して、ホテルの利用期間延長をキャンセルしてきてください」
「10秒以内に出てこなかったら犯すよ?」
「っ!」
まさか向こうから強気に出てくるとは思わなかった。
しかし、ここに閉じこもっている以上はこちらに分がある。外側からコインなどで開くような鍵穴は無かったはずだ。
「じゅーう」
先輩の影が近づく。
「きゅー」
ドアノブを掴む音が聞こえた。
「はーち」
もう片方の手がガラスに押し付けられて白い手が見える。
「なーな」
これはホラー並みの恐怖がある。
「ろーく」
恐怖に押し負けそうだったのでこちらから話しかける。
「先輩、無駄ですよ、いくら怖がらせても出ませんから」
「ふーん、ならカウント0ってことでいいのかな?」
「い、いいですとも、先輩に打つ手立てがあるならご自由に」
「おっけー
#9825;」
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