嫁バニップは卵生?胎生?

子供を作る時期というのは夫婦によって様々。
デキ婚なんて言葉もあるし、5、6年経って仕事が落ち着いたら…とか、あるいは高齢出産も珍しくなくなってきたこの時代、30代半ばからという人もいるだろう。

俺とバニップの嫁さんは結婚して2年。

31歳の俺はそろそろ子供が欲しいと思っている。
28歳の嫁はどう思っているのだろう?

朝ごはんの支度をする嫁に聞いてみよう。


「なあ」

「?」

「昔さ、結婚したら子供作るって話してたよな」

「……」


嫁は無口だ。
しばらく黙っていたが、いつも通り頷いた。


「そろそろ、どうだ?家庭と仕事とバランス取れてきたし」

「…」


珍しく長めの沈黙。
すると数十秒後に薄めの唇が開いて言葉が出てきた。


「考えとく」

「おう」


思ったより淡白な回答だった。

現在俺たちの間に子供はいないが、決してレスなわけではない。
会社勤めの俺が家に帰るとたまに夫婦のベッドの真ん中に、パンダのぬいぐるみ(数年前のデートで手に入れたもの)が置いてある。
そいつをそのまま置いておけばYes
嫁の寝る方に動かせばNo
頻度は月に一回くらいだろうか。
他の魔物娘との既婚者や子持ち夫婦から聞く限り、かなり少ない方らしい。

嫁はバニップという魔物娘の種の都合上、家の風呂に張った水の中にいることがほとんどだ。
PCさえあればできる仕事なので風呂の蓋の上にPCを置いて働いている(なお今まで水没で4台壊している)。
身体をしっかり潤せば1週間ほど外に出ても平気らしいが、体力を使うので滅多なことでは数日も外には出ない。

セックスもかなり疲弊する活動のようで(ベッドという地上で激しく動くのだから当然と言えば当然だが)そういった背景もあって、他の家庭よりセックスの頻度が低いのだろう。

身体のことも考えてあまり無理強いはしたくない。


「…無理、しなくていいからな?」

「…」


嫁は小さく頷いた。

そういえば嫁はいつもセックスの時、俺に奇怪なことをさせる。
ヘッドホンと耳当てを着けさせるのである。
曰く「水でしっかり身体中を濡らしてくるから、毛が張り付いて身体のラインが見えて恥ずかしい」とのこと。
理解しかねる。

まあ無理にとは言わない。
次の日の朝なんかは幸せそうな顔で寝ているので気にしなくていいだろう。

そろそろ時間だ。


「いってきます」

「…いってらっしゃい」










「ただいまー」

「おかえりなさい」


夜食の支度中なのだろうか、リビングの方から声。

食卓に付くと珍しく嫁から話しかけてきた。


「ねえ」

「ん?」

「子供欲しいって」

「うん」

「はい」

「ん……ん?」


手の上に白くて丸いものが乗せられる。


「これ何?」

「卵」

「なんの?」

「私の」

「え?」

「私の卵」


どういうことだ。


「今日は卵かけご飯?」

「違う」

「ゆで卵?」

「違う」

「これをどうしろと」

「無精卵だから、そこに掛けて」

「何を」

「精子を」


すっぱり言われてしまった。

いやいや、そんなことを言っている場合ではない。


「ちょっと待って、なに?卵生なの?」

「うん」

「じゃあこれまでしてたエッチは?」

「特に意味はない」

「この卵に掛けたら子供できるの?」

「たぶん」

「………」


なんたる事か。
俺は旦那を自称しておきながら、自分の妻が卵生の生き物だという事すら知らなかったのだ。

これまでのセックスは一体なんだったのだ。
視覚と聴覚を奪われたままでセックスすることに快感を覚え始めていた変態めいた俺をどうしてくれる。
鶏卵くらいの白い卵を握り、わなわな震える。


「…」

「…」

「分かった、適当に抜いて掛ける」

「え?」

「ん?」


なんだか不思議そうな顔でこちらを見られた。


「オカズは私?」

「え、いや、ふつうにAVとか」

「……」


すると蛇体が素早く俺の足を払う。
不意のことにバランスを崩して倒れ
る寸前にふわふわの下半身に抱きとめられた。

と思いきや物凄いパワーで締め上げてきた。


「いででででで」

「私をオカズにして」

「じ、じゃあ手伝ってくれ」

「それはダメ」

「なんで」

「私はそれを産むのに疲れたから」

「じゃあグラビアかなんかでぐるじい」

「私の妄想以外のもの使ってたら殺す」

「はい」


なんなんだ一体。

まあ、確かに下半身が蛇体なら卵から生まれるのも分からない話ではない。
だがオカズを妄想だけでコトを済ませろと言うのは中々酷だ。
そんなの中学生以来である。


「いただきます」


言いたいことを言ったら我関せずでご飯を食べ始めた嫁。


「…いただ
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