〜光晴視点〜きっかけ〜

ここは世界でたった一つの、植物や植生の研究学問のみを専門とする大学だ。
この大学には「植物生産科」「植物研究科」「植生専門科」「森林開発科」の4つの科が存在している。

何をやるのか、という問いに答えると
・園芸、食料として利用されている植物の更なる可能性を追求する
・さまざまな植物の特徴や種類を調べ、その植生区域を調べて周囲の環境などと比較・研究をする
・貴重な植物や未知の植物を求めて森林や未開の地に分け入り、調査する

主にこういったことだろう。
植物研究を主としたい人にはうってつけの良い大学である。





このお話は、僕がこの大学で遭遇した不思議なことを書き留めたものだ。





僕の名前は 山城 光晴。

大学の二回生で先に述べた大学の「森林開発科」に籍を置く生徒だ。

僕は新しい植物や未だ謎の多い森林に興味を持って、この大学へ入学したわけなのだけど……。


「教授、いつになったら僕は実地研修できるんですか?」

「まあまあ、そう焦らないで」
「うんうん、焦っちゃだめだめ」

「………」



僕の教授…リリラウネの 川島 梨花先生だ。

僕が入学して数ヶ月した頃、旦那さん(10歳の男の子)を保護者だと嘘をついて小学校から拉致、花弁に隠して大学に無断で連れ込んで、研究室でつぼみをぴっちり閉じて色々とやっていたのが発覚。

旦那さんも特に怒っていないし、ほかに迷惑もかけていないので大きなお咎めはなかったが、生徒の間でついたあだ名は「おねショタ教授」。



「だいたい、実地研修は3回生の夏明けからだと決まってるの」
「そうそう、君にはまだ早いから諦めて」

「それでも僕はやることが無くて暇なんです、当面のノルマはこなしたし単位も取った、かなりオーバーワークしましたから卒業までの単位を全部取得済みです、課題をください」

「あーあ、ワーカホリックってこういう人のことなんだね」
「かわいそ、彼女とデートしてきたら?ほら、お小遣いあげる」


おねショタ教授は10円玉をすっ、と差し出してきた。


「10円とかいりませんよ!彼女もいませんし、とにもかくにも僕に何かやることをください!できたら実地研修で!」

「うーん…、ちょっとねぇ?」
「うーむ…、ちょっとね…」

「ぷはっ!ぜー…ぜー…!梨花さん!僕小学校戻らなゴボッ!」


おねショタ教授の二人の間の蜜溜まりから小学生が顔を出した。

かと思うと二人に頭を抑えて蜜の中へ押し込まれた。


「こほん、催淫蜜漬けは1日以上すべし」
「こほん、今見たことは忘れなさい」

「………」

「ごぼごぼ…ぷはぁ!この中の空気甘ったるくて……!そこの学生さん!僕を助けてくだギャッ!ごぼっ!」


顔を紅く紅潮させた少年はまたも蜜の中へ突っ込まれる。

あの中は息はできるが、中の空気を吸い込んだ人間に強烈な催淫効果をもたらすはずだ。

またおねショタ教授にぶっ通しで嬲られるのだろう………南無三。

しかし、僕はこの好機を見逃さなかった。


「教授、今のこと、学生課にバラされたくなかったら……わかりますね?」

「うわ、悪どい顔」
「ひえ、怖い顔」

「もうさっさと僕に研究させてくださいよ!」


するとおねショタ教授は携帯で誰かに連絡を取り始めた。


「もしもし、久しぶり、うん、そっちに一人うちの学生よこしたいんだけど」
「はいこれ、君の引き取り先」


電話をしていない方の教授は「春 漣」という名の書かれた名刺を渡してきた。


「これ、この名前の人のいる辺りにはものすごい量の竹が生えてるの」

「竹?」

「ええと、魔物の体液などを受けた人間はインキュバス化する、というのは常識だけど…魔物がたくさん住む竹林の竹なんて、ちょっと興味深くない?」

「………!」

「うんうん、それじゃあよろしくね、あさってから、はーい」


おねショタ教授が携帯をテーブルに置く。


「というわけで、君にはあさってから霧の大陸へと実地研修のために渡ってもらうこととなった」
「そういうわけだから、気をつけて」

「へ?あの、教授は引率なんじゃ…‥」

「行かないよ、君一人で頑張るの」
「がんばれ、応援してるよ」


と、そんなわけで………僕は一人だけで霧の大陸へと飛ばされてしまうことになったのである!


「あ、春 漣は半ヒキニートの学者だから気をつけて」
「うん、一日中寝てるか遊んでるかしかしないからね」

「…ふ、不安だ」


そのとき、教授を脅迫してはいけない、その教訓が僕の胸に深く刻み込まれたのである。
19/09/15 09:19更新 / あさやけ
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