「――んぅ、――さちゃん。まさ――」
たゆたう意識の中に声が割り込んでくる。
発情した女の声ーー甘い吐息をそばで漏らしながら、身体を揺り動かしている。
声の主が誰なのかはすぐに察しがついた。何をしているのかも。
「……慧」
「あ……起こしちゃった?」
瞼を開けると、金の両目が暗がりの中からこちらを捉えた。闇夜を見通すフクロウの瞳は、さながら夜空に浮かぶ満月のようだ。
手で身体を探ると、自分の太ももが湿っていた。熱く蒸れた空気からは甘い性臭が漂っている。
「えへへ、雅ちゃんの匂いを嗅いでたら、ちょっとムラムラしちゃって……」ばつの悪そうな声で彼女が呟く。行き場を無くした両目は宙をあちこち泳いでいる。「一回だけオナニーしてから寝ようって思ってたんだけど……ごめんね」
「いや……」雅樹は首を振った。好いている女が自分で欲情してくれるのは悪い気分ではなかった。「……するか?」
「いいの?」
期待の眼差しで彼女が聞き返した。控えめな言葉とは裏腹に、瞳には既に情欲が籠っている。
「一回だけな」本当は体力の許す限り貪りたかったが、仕事の前に疲れ果ててしまっては元も子もない。「流石にバイトは遅刻出来ないから、ちゃんと加減しろよ」
「ありがと」彼女はにへら、っと微笑んだ。整った顔立ちから淫靡な雰囲気がにじみ出す。「じゃあ……するね?」
どちらともなく唇を重ねた。夕方の物とは違う、情欲にまみれた口づけ。
つつき合うようなものは最初だけで、すぐに舌が入り込んでくる。
「ん……ちゅ、れるっ……」
甘ったるい唾液が口の中に流れ込んできた。聞こえるようにわざと喉を鳴らして飲み込んでやると、彼女は恥ずかしそうに顔を少しだけ背けた。
「逃げんなって、ほら」
横に逸れた顔を手で向かせて強引にキスを再開する。荒っぽいやりかたに最初だけ戸惑っていたが、すぐに自分から受け入れていった。
雅樹は手持ち無沙汰になっていたもう片方の手を下半身に向けて伸ばした。予想通り、下着はもう着けている意味が無いくらいドロドロに湿っていた。
「やぁん……恥ずかしいよ……」
口を離し、しぼむような声音で慧が言った。さわって欲しがっているのはすぐにわかった。
翼の抱擁からいったん離れ、雅樹は彼女の腰元に近づいた。
べったり濡れた鮮黄色の下着――ハーピーの足でも穿きやすい、紐で結ぶタイプだ。
結び目を解くと、つるりとした秘部が暗闇の中にまろび出る。同時にむわっとむせ返るような女の匂いが立ちこめる。
彼は右手の中指に唾を垂らすと、現れたばかりの秘裂に向かってそれを差し込んだ。
「んっ……はぅ……ッ!」
さっきまで自慰の最中だった事もあり、膣の中はすでに熱々だ。
入り口のあたりを軽くひっかくと、ピクピクと彼女が反応した。
「すごいな。俺が寝てる間にかなりオナってたろ」
膣から指を抜き、愛液が付いた先端を見せつける。匂いを嗅ぐと、なんとも言えない甘酸っぱい香りが鼻についた。
「いじわるぅ……匂い嗅いじゃやぁ……」
イヤイヤするように彼女が首を振る。闇の中ではっきりと見える双眸は見えない表情よりも雄弁だ。
彼女が羞恥に染まっていく様に軽い興奮を覚えながらも、再び雅樹が手を伸ばす。今度は陰部のさらに奥ーーコリコリした突き当たりの周りを指先で軽く刺激する。
ポルチオ攻めは彼女の大好物だ。感じるであろうポイントを指で何度かつついた途端、彼女がすさまじい反応を見せた。
「ッ〜〜〜〜!!」
声にならないくぐもった喘ぎが、狭い部屋の中に木霊する。隣の住人に無様な嬌声は聞かせまいと、必死に唇を噛んで耐えている。
それが雅樹にとっては、とても楽しかった。
「ま、さちゃん……しょれぇ、ダメぇ……」
「それ? それって、“これ”のことか?」
左手の指を慧の腹――ちょうど子宮のある辺りに当て、トントントンと小突いていく。女の一番の弱点である臓器を、外と内から徹底的に攻めていく。
「ふぁ、ん、っ、ぁぁぁぁぁ……!!」
絞り出すような声と共に彼女の身体がひときわ大きく痙攣した。それと同時に股間に当てた手のひらに暖かい液体が流れ出す。
「はぁ……は、んぅ……」
絶頂の余韻がまだ抜けないのか、どこか不規則な呼吸で彼女が息を整えている。焦点の合わない瞳は呆然と天井を見つめるだけだ。
「慧」
彼女が気がつくよう、少しだけ強い口調で名前を呼ぶ。
女の目はすぐに意図を察した。
「いいよ……きて」
だらしなく開いていた両方の脚を、彼女がさらに広くする。
熱く火照った雌穴は食べられるのを待ち焦がれている。
雅樹は身にまとっていた服をその場に脱ぎ捨てると、滾り続けていた己の剛直をそのまま真っ直ぐに突
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