天界のとある地方に住む私、イリスはヴァルキリーとして創られた天使であるが、正式に任命されるまで剣なんて持ったこともなく、天使学校では学科はそれなりで音楽や美術といった科目では自信があったが、運動や魔法の成績は常に低空飛行を維持し続けた。課外活動で中等部では吹奏楽、高等部ではオーケストラでトランペットに打ち込んだおかげか肺活量と音感はあるものの持ち前の運動音痴振りで天界の中枢部から指導に来た主神直属のエリートヴァルキリーから嫌味ごとを言われ、泣かされることもあった。そんな私にも勇者候補を導くよう中枢部から命令が来らしい。最も主神が魔王と一応の妥協をしてから数百年たち、少ないながらも魔物からも男児が生まれつつある今の時代、魔物に襲われてもエロい目にあうだけで死ぬことは無く、それ以上に教団や魔物が関与できない人間同士の紛争や神や魔物の力を大きく超えた自然災害の方が危険という認識が主神の影響が少ない地方の神や天使たちの間には常識であり、頑なに近代化しない教団国や天界の中枢部のくだらない見栄のためにヴァルキリーと言うものは中世から変わらない青を基調としたプレートメイルと主神を象った大剣という時代錯誤な装備で勇者と魔物討伐と言う名の国外追放をされている気もするが。最も、ここは表向きは主神寄りな地方ではあるが、「ミサイル一つで一国が魔界化する時代に何やってんだろww」と掲示板に愚痴をこぼしながら剣術の指導を受ける後輩のヴァルキリーや地上から持ちこまれたテレビゲームの技を見て、「はっ!、とう!、ていっ!、虎牙破斬!、爪竜連牙斬!、終わらせます!魔に墜ちた穢れし者に神の浄化を!聖閃洸破陣!!」とヴァルキリーの装備を使い、私よりもずっとすごい剣術や魔法を駆使してやたら派手な動きやエフェクトまで再現したものを録画し、動画サイトに投稿して反応を楽しむエンジェル、勝手に地上に降りては最新の円盤や漫画を持ってくるアークエンジェル、さらにあまりの楽しさに公務以外は引きこもってこの惑星の連合軍兵士になり、侵略エイリアンやそれが復活させた旧世代の魔物から惑星を取り戻すSFファンタジーMMOFPS廃神と化した領主の神など、その実態は中枢部のいいように使われる主神の教えよりも世界中に点在するクラウドからの情報や地上のサブカルチャーを楽しむ地方である。だが、そんな地方でも中枢部から監査が入ると鍛え抜かれた偽装工作技術と地上の機器を用いた仕事の効率化による成績で真面目そうに見せ、今なお、潰されていない。(まぁみんなで堕天使なるならそれはそれで楽しそうだが)その為に私は犠牲になったとも言えるだろう。出発の日、天使たちや領主の神の申し訳なさそうな顔は今も覚えている。一応何か一つだけ装備以外に地上に持って行っても良いとのことだったことから私は20万Gほどつぎ込んで買った愛用のトランペットを迷わず選び、中枢部にて化石みたいな降臨の儀式を迎えた。
教団国の教会に降り立った私は司祭やシスターたちにはできるだけイメージに近いヴァルキリーとして振る舞い、しばらくするとエディク・ローランと名乗る勇者候補の少年が呼ばれた。見たところ勇者と言う柄ではなさそうなのが気になるところだが大勢の司祭やシスターに囲まれる中、私は練習した通り一通りの儀式を行う。
「ともに魔を滅し、神の御光を」
うわ、昔のヴァルキリーはこんな自分でも恥ずかしくなるようなことを平気で言ってたのだろうか。エディクも相当練習してきたようで、緊張しつつも過去の勇者のような体裁を保とうとしているのがわかる。司祭のやたら長い演説に欠伸を我慢しつつ、二時間ほどで儀式は終わり、案の定放り出されたが、特に目的は無いことからエディクにサボることの素晴らしさや主神の名をいいように使う今なお中世な天界の中枢部のクソさについて教えつつ、教団国ではさすがに気が重いため近くの中立国を拠点にすることにした。教団から支給されたものを確認すると、500G、通行手形、その他怪しい魔法薬などこれまた博物館クラスである。全く、リアルに一昔前の剣と魔法のファンタジーRPGやってるんじゃないんだぞ。あれだけ儲けているならよく教団がやってる賄賂みたいに500万Gくらいは支給してほしいものだ。幸い、堕天しても大丈夫なように地上の国際銀行に貯金してあったこともあり、しばらくは資金には困らなさそうだが。一応ヴァルキリーの能力である神の声を聞くことを試してみたものの、「まぁ、適当にやってて。今神アプデがきて忙しいし。よし、これで10キル目!」と、後ろから銃声やグレネードか炸裂魔法と思われる爆発音がし、途絶えた。初めからあてにはしていなかったが、これにはさすがにため息をついた。
さて、中立国に入った私たちはいきなり窮地に陥った。昼食後、公園でエディクに頼まれ一曲吹
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