・・・こればっかりは、南雲由紀の言うとおりだ。

 ・・・降り止まない激しい雨と、常に鳴り響く雷鳴。いきなり始まった教団との五本勝負の初戦。私はウンディーネとの対戦になった。
「初めまして、スピアさん。私はレインといいます。」
「・・・知ってる。」
「お手柔らかにお願いします。」
 次の瞬間、近くに雷が落ち、地面を伝わって私たちを襲った。
「・・・・・・。」
 大きく飛ぶ。だが、一向にレインは避けようとしない。
「知っていますか?スピアさん。」
 それどころか余裕の笑みを浮かべ、すさまじい電撃がレインを襲った。激しい電光に飛び退りながらも顔を覆う。水のウンディーネに雷は鬼門―
「ぐっ・・・!?」
 胸を打つ鋭い痛み。胸元には、水で作られたと思われる矢が刺さっていた。一体なにが・・・!?
「―本当に純粋な水は、電気を通さないのですよ。」
「なっ・・・!?」
 無傷のレインは、水で作った弓矢を打った状態でこちらを見上げていた。
「・・・・・・!」
 受け身を取り、何とか落下の衝撃を緩和するが―
「・・・・・・!」
 立て続けに打ち込まれる、水の矢。転がりながら避け、何とか体制を整える。
「・・・む。」
 だが、奴の言っていた言葉―純粋な水には電気が効かない。というのはどうやら本当らしい。水が純粋かどうかは、奴が精霊王であることを考慮すればむしろ当たり前だろう。
「どうやら、このフィールドは、私に有利なようですね。」
 微笑を浮かべながら弓を構えるレイン。非常にまずい。私の鎧は電気への耐性はない。それに対し、レインは雷に直接あたろうが、ノーダメージでやり過ごすことができる。圧倒的に不利なフィールドだ。
「・・・・・・。」
 雨水で、レインの体内の水を純粋でなくさせる方法もありだが・・・きっと奴はすぐに浄化してしまうだろう。
「顔色が悪いですよ?」
 弓を再び連射し始めるレイン。レインを中心に円を描くように回避し、時折剣で弾くが、これでは再び落雷が起こった時に格好の的になってしまう。
「・・・ん!」
 考えているうちに、再び突き刺さる矢。右の太もも、左腕の二か所にダメージを―
「・・・・・・?」
 確かに、矢は刺さっている。刺さっているが―
「・・・血が出ない・・・?」

―迂闊だった。純粋な水が電気を通さないぐらい小学生でも知っている。
「スピア・・・!」
 荒れ狂う天候と、弓矢による猛攻で、回避だけでも精一杯になっている。まずい・・・!
「チャンスじゃなかったのかな?タツキ君?」
 にやあ、と笑みを浮かべる南雲由紀。マズイ、確実にマズイ。映し出されるスピアも、焦りを感じているようで、剣さばきに余裕がなくなっている・・・!
『・・・く・・・!』
 再び落雷を回避するために跳び、矢を受けるスピア。このままでは・・・!

―「はぁ、はぁ、はぁ・・・くっ・・・!」
  血は出ていないものの、矢に当たるたびに凄まじいほどの激痛が体を駆け巡る。
「・・・・・・!」
 何とか、柱の陰に隠れるが、すぐに射程内に入ってしまうだろう。一瞬の隙があれば、『死神の凶刃(クレイモア)』で形勢逆転が狙えるが・・・。
「隠れても無駄ですよ。」
 ぴちゃぴちゃと、ゆっくり近づいてくるレイン。隙を作るには―
『スピア―頑張れ。』
 通信越しに聞こえるタツキの声。たった一言。わずか四文字の『頑張れ』。タツキと出会ってからが走馬灯のように脳裏に浮かぶ。最初に会ったとき。いきなり首を投げつけたけど、盾にしないで守り抜いてくれたあの温もり。・・・あ。
「・・・首を投げればいけるんじゃ・・・?」
 確かに尋常じゃないほどのリスクを伴う。だが、このまま戦い続けてもジリ貧だ。
「さあ、チェックで―」
「・・・・・・!」
 刹那、顔を投げつける。
「へ?・・・きゃ、きゃああぁぁ!」
「『死神の凶刃』!」
 ありったけの精と、魔力をこめ、首を回収し、完全に『死神の凶刃』を開放する。
「・・・可愛い悲鳴。」
「ひ、卑怯ですよ!」
「・・・私の辞書に『卑怯』の文字は無い。」
「そんないい加減な辞典。発禁処分ですね。」
「『発禁処分』なんて字も無い。」
「・・・もういいです。・・・ですが、もう満身創痍といったところでしょう?」
 確かに、今の『死神の凶刃』がきれたら終わりだろう。

 『今』の死神の凶刃が。

「う・・・なんです!?」
「・・・私も、無為に一週間を過ごしてきたわけじゃない。限られた期間で様々な文献を読み漁り、クロに『死神の凶刃』の『更に先の武器』を作ってもらった。」
 そう、タツキの出身でもあるジパングにあるという数多の剣の中でも最強を誇る『ニホントウ』を―

―「おい。」
 ・・・何だあれは。
「フフフ、私クロの自信作の『ニホントウ』です!」
「「・・・・・・。」」
 おもわず、南雲由紀と目が合ってしまう。ほかの奴らは
[3]次へ
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33