『ガアアァァ!』
『ゴオオォォ!』
「そんあ・・・バカな!」
風呂場でのバハムートとの交わりを終え、一日でどれほどの成果があったか試してみたが―
「想像以上じゃ。」
「アヌビスの呪いによって完全にたがのはずされたゴーレム相手にここまでやるとは・・・!」
ついてきたアヌビスに手伝ってもらい、実践の特訓をしていた。
「なんだか、今日の私は羽が生えたように体が軽い。―負ける気がしないな。」
杖を斜めに構えるアヌビス。近接船で来るつもりか。
「―ところでバハムート。」
「なんだ?」
「いつの間に奴の毛先を黒くしたんだ?」
ん?毛先?―鏡を見てみると、確かに白金色だった髪は毛先五センチほど、黒くなっている。
「まったく心当たりがない。」
「まあ、良いではないか。」
杖を高速で回転させ、遠心力を乗せた重い一撃を打ってくる。が、ハイキックで杖の軌道を逸らし、手刀を鳩尾に突きこむ。
「うぐっ・・・。」
そのままぐったりとしてしまう、アヌビス。
「たった一日でも、かなりの進歩だな。」
「ネックは攻撃力の低さだけじゃし、まあ当然といえば当然じゃがな。」
先程言っていた毛先を見てみると、たしかに黒くなっているが、すぐにまた、もとの白金色に戻った。それと同時に、体中に漲っていた力も平常時のようになった。
「一体何なのかしらね。」
マリアが興味深そうにじろじろと見てきている。先程の一件を特に気にした風でもないが―私自身が寝取られないように気をつけよう。
「・・・・・・。」
だが、反面、スピアは厳しい表情をしている。
「・・・なんだ?」
「・・・タツキ。いつ悪魔と契約したの?」
「はい?」
悪魔と契約?
『ん?なんだ?呼んだ?』
呼んでない。
「・・・毛先。」
「あ。」
黒くなっている。一体どういうことだ?・・・少し試してみるか。
『???いつもみたいに追い払わないのか?』
・・・ふむ、真っ向から向き合うのは初めてだが・・・何故か『私ではない別のもの』のように感じる。
「どうしたのじゃ?」
「待て、しばらく様子見だ。」
誰かが指を鳴らした瞬間。私の意識は闇に堕ちた―
―「ここは・・・?」
「お前の意識内だ。」
!?目の前には私自身と瓜二つの者がいた。―漆黒の髪を靡かせ。
「おまえは?」
「悪魔だよ、悪魔。厳密に言うと、負の集積?」
何で疑問形なんだ?
「ふむ、だが俺を見て心が折れないのは、お前で二人目だ。」
・・・自分の分身に心が折れるわけないだろう。さっきから言ってることが支離滅裂だ。
「―これを機に、俺とお前が入れ替わろう。」
突如として、自分の負の集積との戦闘は始まった。
―大丈夫だろうか。シルヴィアが指を鳴らして以来、タツキはうんとも、すんとも言わなくなった。
「心配か?」
「当たり前だろう!」
無責任にもほどがある。これで目が覚めなくなったらどうする―
「バハムートさん!」
―ミサか。一体どうしたんだ?
「本物の勇者が来ました!」
いや、今までの奴らも十分に本物なのだが・・・。
「―つぁああ!」
お、噂をすれば何とやらだ。しかし・・・女?
「見つけたぞドラゴン!かく・・・ご・・・。」
どうしたんだ?なかなかの実力者と見たが―
「・・・強そう。私が戦う。」←デュラハン
「虐めがいがありそうね。」←ダークエルフ
「ワシはもう眠くなったぞ。」←バフォメット
「くだらん。」←ヴァンパイア
そして私。←ドラゴン
・・・まあ、戦う前から戦意を喪失してもしょうがない―
「―会長!?」
「「「「「はい?」」」」」
―「グッ・・・!」
肩に走る貫くような痛み。その刹那、背中から感じる衝撃。朦朧とする意識を何とか繋ぎとめ、前にいる『私の負の集積』を睨みつける。
「まだ、それ程の気力があるのか・・・。」
少し感心したような態度を見せる悪魔。だが、戦闘をやめる気は全く無い様だ。・・・非常にマズイ。相手はあくまでも『私』であるため、今までのように単純な身体能力を技術でカバーすることが出来ない。
「よそ見するなよ。」
「危なっ!」
ギリギリで奴の手刀を回避―
「よそ見するなって。」
瞬間世界がぐるぐる回った。奴のキックが、顔面にヒットしたようだ。視界の隅が既に白くなりかかっている。
「満身創痍だな。諦めたらどうだ?」
・・・確かにここで諦めれば、この場からは逃げられるだろう。仮に悪魔に意識が取られたとして、今必要なのは『戦力』であって、『人徳』ではない。そういう点ではきっとコイツは私以上に役に立つだろう。・・・まあ、あの天使に意識が奪われるよりましか。
『呼んだ?』
呼んでない。・・・ん?何故悪魔は顕現しているのに天使は顕現しないんだ?完全に意識として制御下に置けているのか?一体・・・。
「とっとと諦めち
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