ガッシャアアァァン!!
「カハッ!」
「タツキ!ちょっとは威力を考えなさい!今ので二箇所めの留め金が壊れたわよ!」
「・・・それ以上は危険。」
―突然起動した遺跡の罠によって、アヌビスと(何故か先にいた)愛する夫は壊れかけた金網の上で戦っている。終始タツキが有利に戦っているけど、もし金網が壊れたら、一気に落下して、ガラガラヘビの大群に突っ込んじゃう。
「―そろそろいいか。おい、アヌビス。降参するなら今のうちだ。」
「な、な、な、舐めるな盗掘者め!わ、私がこの程度で屈すると思うな!」
・・・物凄い震えているのにそのセリフ・・・。まったく説得力がない。
「そうか。なら、続けるか。」
・・・そういってまた、ファイティングポーズを構える私の夫。・・・カッコいい。
「何にやけてるのよ!止めなさいよ!そもそも、タツキは怖くないの!?ガラガラヘビは猛毒の蛇よ!?」
「・・・ハッ!」
・・・いけない。つい、甘い蜜月を想像しちゃった。
「き、き、き、キサマこそ降参したら―」
アヌビスが喋っている最中。眼にも留まらぬ速さで肉薄し―
「グアッ・・・!」
ガッシャアアァァン!
―・・・再び、肩に蹴りをいれ、後ろにふっとばすタツキ。今の衝撃で三個目の留め金が外れそうになった。そのまま金網は傾き、三個目の留め金まで壊れてしまった。何とか壁との接触で保っているけどこれ以上は本当に危険だ。
「いい加減にしないと、キミも私も死ぬぞ?」
「ふ、フン!望むところだ。どうせ私はこの遺跡にあるジパングに関する資料をすべて奪われた!私にはもう失うものなどない!」
・・・奪われた?盗まれたではなく?何よりそれじゃあ―
「ここに来た意味なかったじゃない。」
・・・マリアも同じ意見にたどり着いたようだ。
「―私はだね。」
「なに?」
・・・夫が何か言おうとしている。直感でわかる。あれはカッコいいセリフを言う前ぶれだ。
「―一度の失敗で、自分を卑下するものが嫌いなのだ。」
「フッだからどうした。今更取り返せるものではない。何故なら、奪っていったのは教団教主お抱えの独立魔物倒滅部隊だったのだからな。私たちが束になっても勝てなかった。・・・まあ、勝てていたら奪われはしなかったがな。」
・・・なるほど。教団の耳にも入っていたのなら、しかたない。
「・・・あれ?」
?、どうしたのかしら。小首をかしげるしぐさも可愛い夫。
「・・・そしたら、私たちがここにいる意味って無いんじゃ・・・?」
・・・気づいてなかったみたい。
「あーあ、何だ恥ずかしいな。意味も無くここに来て、意味も無くか弱い女性を散々蹴りまわすとわ・・・!」
「か、か弱くなんか無い!」
・・・そういって強く杖の下の部分で、金網を打つアヌビス。
ガッシャアアァァン!!
「「「「・・・・・・。」」」」
・・・・・・あ。
「バカか君はああぁぁ!」
「そ、そんなに怒るな!ふ、不慮の事故だ!」
・・・最後の留め金まではずれ、一気に落ちていく金網。どうしよう。夫が―
「―ああ、びっくりした。」
・・・ガラガラヘビに噛み付かれる寸前で、アヌビスを抱え、跳躍して戻ってきた。・・・凄い脚力。
「ちょ、あんたどんな脚力してるのよ。」
「別に、『驚天動地の靴』で脚にかかる重力を、限りなくゼロに近づけただけだ。」
・・・つまり。
「もともとキミが降参すれば、すぐにでも逃げれたんだぞ?」
・・・フム。
「いひゃい、ほうひあんあふひあ!?はひふえははひほほおほ・・・!?」(痛い、どうしたんだスピア!?何故私の頬を・・・!?)
・・・嫁を驚かせる悪い夫へのお仕置き。
―現在城に帰還している最中だ。しかし、教団め、人がわざわざ砂漠まで行ったのに、先に掠め取るとは、まったくもって許しがたい。
「うわー、もふもふー。」
「いい毛並みね。」
「離せ!・・・きゃぅん。助けろ、タツキ!」
・・・何故かアヌビスまでついてきてしまった。まあ、遺跡に守るものがないから、という理由でわからなくもないが、何故私達についてきたのか。
『新しい、攻略ヒロインだよ!』
久しぶりだな悪魔。残念ながら、私はそんなにモテ男ではない。
『新しい、仲間だよ!』
・・・どうした天使?いつになく真面目ではないか。やっとキミも改心してくれたのか・・・?
「?、・・・どうしたの?」
「自己の成長に感涙しているのだ・・・!」
天使、やはりキミはやれば出来るじゃないか!見捨てようとしてすまなかった!
「にくきゅうが、ぷにぷにー。」
「ええい、鬱陶しいぞ!」
なにか、義妹とアヌビスが騒いでいるが、そんなの関係ない。これからは天使に真っ当な道を歩ませるんだ!
「そういえば、名前なんていうの?」
・・・ふむ、クロの言うとおり、名前を聞いていなかったな
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