今日は2/14、バレンタインの日だ。
パーティーピーポーな奴らはそう騒ぎ立て女子からチョコをねだる、そのような記念日らしいが俺にとってはただの平日にすぎないし、チョコを貰いたいとも思わない。
だからといって、バレンタイン撲滅運動に参加しようとは思わない。
ただただ普通の日々として過ごそうと思う、てか今してる。
もっと言えばもう１日も半分終わった。
教室内ではチョコを貰ったのだろうか、鼻の下を伸ばしている野郎がなんと多いことか。
「うっす。」
ふて寝していた俺の頭上から腹立たしい声が聞こえる。
「よう、岩田。無駄に元気だな。」
「そう言う河井はチョコ貰え無くてすねてんのか？」
「ここが日本じゃなかったら、今頃お前の脳天に鉛がぶち込まれてんぞ。」
「いやいや、なんでだよ。」
･･･見るからに岩田は女子にチョコでも恵んでもらえたのだろう。
いや、別に羨ましいとか思ってはいない。
ただただ本命でも何でもないチョコに騒いでるのが、馬鹿馬鹿しいと思っているだけだ。


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昼の授業も終わり、帰りのホームルームも終わったのでそのまま家に直帰する。
なんだかんだあったが今の今までチョコを貰えなくて悔しいとか、逆に岩田の方が沢山貰ってて妬ましいとか、全然思ってない。
校門を遠り過ぎようとしたその時、
「あ、河井くーん。」
同じのクラスの･･･あれ、名前が出てこない。
種類は天使っぽいあれで、えーと･･･。
「え、ああどうも。何か用か？」
「まぁ、ちょっとね。」
歯切れも悪く、顔も赤面させ、なぜかモジモジしている。
「なんだよ。」
「いやー、河井くんってさ、チョコ貰ってないらしいじゃん？」
「ぐっ。」
傷をえぐってきやがった。
チョコの1つも貰えない俺は、リア充派の彼女には滑稽に見えているのだろうな。
「そうだけど、だからなんだよ。」
「ええとね、それでさ、もし良かったらでいいんだけどさ。」
そう言って彼女がスクールバッグの中をまさぐっていると。
「あー、いややっぱり何でもないや。」
「えっ、ちょっ。」
「じゃあねー、また明日ー。」
スタスタ去って行ったんだが。
え？あの流れってチョコ渡されるんじゃないの？
…無いの？最後の最後でオーバーキルされたんだけど。
死体蹴りされたんだけど。
なんなの、俺悪い事した？えぇ？
しばらくの間、俺は立ち尽くす事しか出来なかった。

・・・

「はぁー」
枕にため息が沈み込んでいく。
ため息1つで幸せが1つ逃げると言うが、気にしてられない。
あれから私はすぐに帰ったが、未だに驚きを隠せない。
「まさか売約済みとはねー。他の女の子の匂いが全くしなかったけど、あそこまで殺意飛ばされたら、チョコも渡すに渡せないってーの。」
寝返りをうっても、ぬいぐるみを抱いてもは紛れる事はなかった。
「ま、どうせみんながみんな彼氏持ちじゃないから構って貰おうじゃないか。」
そう言って彼女はスマホに手を伸ばした。

・・・

あの後俺は瀕死状態の中、やっとの思いで家に着いた。
両親は共働きで、家の中には俺の傷を癒やす物はなかった。
「ぐえぇぇっ。」
ただいまを言う気力も無く、玄関に倒れ込む。

・・・

ピンポーン。
インターホンの音で目覚める。
やべっ、ガチ寝してた。今何時だろうか。
ピンポーン。
「あー、はーい。」
ひとまずは、今すぐに家に来ている人に応答しないと。
ドアノブを回して開ける。
「どうもニコニコ宅配便です、荷物をお届けに参りました。」
「あっ、どうも。」
この期に及んで、もうチョコなど期待していない。
うん、もう部屋に戻って二度寝しよう。
にしても、少し大きめの荷物が届いたなぁ。
「さほど重たくないので、気を付けないでください。」
「えっ、はい。ありがとうございます。」
そうして、手渡しで荷物を受け取ろうとすると。
「いや、重たいって、これ！」
「別に重たくないですよ？」
「いやいや、ちょっとは重たくなかったんですか？」
「その荷物は重たくないですよ？」
「あぁ･･･はい。」
なぜか重たい物を重たくないと、言い張る宅配便はさておき。
「この荷物何？」
その疑問は隠せなかった。
ふらつきながらも、やっとの思いでリビングに着き、開封してみた。
すると。
「ハッピーバレンタイン！！」
中からは同じクラスのワーウルフ？の･･･草香さんだっけ、が飛び出てきた。
裸姿にリボンを巻き付けて。
「･･･。」
突然の事が起きて、頭の回転が追い付かなかったので、ひとまず蓋を閉めた。
「どうですか？河井さんって、ちょっと閉めないで押さえ付けないでー。」
これでよしと、さぁ一旦考えよう。
重たい荷物の中に草香さんが入っていた、裸にリボンを巻き付けて。
よし、いい具合に頭が痛くなってきた。
･･･え、裸に

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