煌びやかなブルーで珊瑚の群生が見える美しい海。その海の上で生活をしている家族・・・ヒルトン一家。その家の中から聞こえてくるかわいらしい鳴き声。この鳴き声の主は『カルードック』
魔界全般にいる生き物。容姿は、その地域ごとの特性を持っている。山なら、足に蹄みたいなものがついており、草原なら、すばやく動けるように体が小さく足にとてつもない筋力がついている。また、魔界では、多くの家庭が飼っている事があり人気の生き物である。
ヒルトン一家が飼っているのは、海の特性を持っているカルードックで、泳ぎが上手く成長するにつれて尻尾が尾鰭になる。
「ジョン。こっちだよ」メロウのオリビアちゃんが、カルードックのジョンを呼んだ。
「キャン、キャン」喜んでオリビアちゃんのところに行くジョン。まだ子どもなので体は小さく、尻尾はまだ細長く毛が生えている。首輪には、金色の名札と黒い刺繍でジョンと書かれていた。
「きゃ!!ジョンくすぐったいよ」オリビアちゃんに飛び掛ったジョンは、頬っぺたを下でぺろぺろと舐めた。
「ジョン!!オリビア!!朝ご飯よ!」大声でオリビアちゃんとジョンを呼ぶママのスイート。
「は〜い」
「わん♪」元気に、返事をするオリビアちゃんとジョン。
「オリビアはいつものスペシャルサンドイッチとコーンスープね。ジョンには、昨日買ってきたシー・フードね」オリビアちゃんには、トレイに乗っているサンドイッチと小さなカップに粒粒のコーンスープが注がれてテーブルの上に置かれた。
ジョンは、小さめの深皿に昨日買って来た緑色と青色の入った物をジョンの前に置いた。お皿を置いた瞬間、ジョンがシー・フードを食べようとした瞬間、厳しい口調がキッチンに響いた。
「ジョン。待て!!」その声を聞いて、お皿の前に座るジョン。声の主は、この家の主人であり、自警団の9番隊隊長のレクト・ヒルトンであった。新聞を読みながら、海藻ハーブティーを飲むレクト。
「よし」ハーブティーを飲み干しジョンの前に行き、同じ口調で言った。
レクトの「よし」を聞き食べ始めるジョン。
「ジョンは、本当にお利巧さんになったわね」微笑みながら言うスイート。
「そうだな、はじめは大変だった。俺の白衣にはおしっこはかけるし、飯はとられるし大変だったぞ」しみじみに言うレクト。一番の被害者はレクトだった。朝起きて、白衣を着ようとしたら、ジョンにおしっこをかけられ白衣は台無しになり、夜遅くに帰ってきてスイートが作ったてくれたご飯を勝手に食べられたりとさんざんであった。
「しかし、なぜかオリビアの言うことはちゃんと聞くんだよな・・・」
「あの時は、本当に不思議だったわよね。あたしの、エプロンも噛み千切られた時もオリビアに怒られてシュンとしちゃったもんね」オリビアちゃんとジョンはご飯を食べ終わりリビングに行き二人でまたじゃれあって遊んでいた。その光景を見て少し幸せを感じるレクト。
「こんな日々がずっと続いたら良いな」オリビアとジョンを見るレクト。
「本当ね。こんな日々が続いたら嬉しいわね」
ジョンとオリビアが仲良く遊んでいるこの時間だけでも、ほんの一瞬だけ幸せな時間が流れているような感じがする。この世界が、本当に幸せな世界になりますように・・・そう心から願うスイートであった。
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