森の奥深く、一人のシースライムがあたりを見回しながら森の中を歩いていた。森の中は、昨日の夜に降った雪で一面が真っ白な雪景色になっていた。
「・・・・ぐす・・・・ここはどこ・・・・パパ・・・・ママ・・・リヴェリアちゃん・・・ミリー先生・・・・・」泣きながら森の中を歩いているシースライムのチャルちゃん。彼女は、母親に頼まれお使いに行ったのだがその帰り道、近道しようと思い近くの雑木林に入ったが、進んで行くうちにどんどん森の奥深くに入ってしまったのだ。
「うぅ・・・・・・ぐす・・・・もう・・・歩けないよ・・・・・」その場で座り込んでしまうチャルちゃん。履いていた靴は雪で濡れてしまい、手はいつのまにか赤くなっておりとても冷たくなっていた。ちょうどその時、草むらから一匹の動物が出てきた。
「あ・・・・・『ラズベリーケルカ』だ」そこにいたのは、鼻が赤く、角が天まで高く毛がふわふわな鹿だった。ラズベリーケルカは、チャルちゃんの顔まで鼻を近づけフンッと鼻息を鳴らし、冷たくなった手を舌で舐めまわした。
「くふふ・・・・くすぐったいよ」舐められた手を隠しながら笑うチャルちゃん。でも、舐められた手は何故かとても暖かかった。
「暖かい・・・・ありがとう。ケルカ」とても暖かくなった手を見て喜ぶチャルちゃん。そのままケルカの首に抱きついた。その毛皮はとてもふわふわだった。その時、ケルカはチャルちゃんから一歩下がり頭を下げチャルちゃんを自分の角で持ち上げた
「え!!きゃ!!!」驚いたチャルちゃん。ケルカは驚いているチャルちゃんをよそに自分の背中に乗せて、走り出した。
「え!えっ!止まらないよ〜〜〜〜」走るときの振動でプルプルと振るえるチャルちゃん。
走り出したケルカが着いた先には木で作られた家があった。
「ここは?」首傾げるチャルちゃん。
その小屋からは、明かりが着いており煙突からはモクモクと煙が出ていた。その小屋の扉を角で叩くケルカ。
ゴンッゴンッ
「だれかの、こんな夜遅くに・・・・・」家の中から、野太い声が聞こえてきた。
「おや、『ナズリ』じゃないか。おかえり・・・・ん、誰だいその子は?」そこに現われたのは、体が大きく、頭も髭も真っ白で目には小さな眼鏡を掛けており、鼻はぷっくらと赤く膨らんでいた。
「あ・・・あの・・・・道に迷って・・・・それで、このケルカに乗せられて・・・・・」しどろもどろで話すチャルちゃん。
「そうか、そうか。道に・・・・寒かったろう、さぁ中に入りなさい。おいしいご飯を用意しよう」チャルちゃんの話を聞いたお爺さんは、チャルちゃんを抱き上げ、自分の家に入れてあげた。
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〜家の中〜
「あたたか〜〜い」その部屋は、暖炉で暖かくなっていた。そして、大きな赤いソファー。その隣には小さな机。その机には大量の手紙が置かれていた。それとは別に、暖炉の前に大きな机が置かれており、その机には真っ白なテーブルクロスが敷かれていた。
「さて・・・・」お爺さんは、片方の手を上に上げ指をパチンッと鳴らした。そしたら、何もなかった大きなテーブルの上には沢山の料理が出てきた。鳥の丸焼きや、暖かいスープ、ホカホカのパン、色とりどりのジャム、宝石のように輝くサラダ。黄金のコップに入ったジュース。どれも、今まで見た事もない料理が机の上にあった。
「わ〜〜〜」チャルちゃんは、大喜びでその机に向かい椅子に座った。
「これ、食べていいの?」
「もちろんじゃよ。遠慮しないで食べなさい」優しい笑顔で言うお爺さん。
「わ〜い」チャルちゃんは、まず暖かいスープを飲み、その後パンにオレンジ色のジャムを塗りそのパンを頬張り口いっぱいにジャムをつけてパンを食べた。お爺さんも、チャルちゃんの前に座りパンを食べた。その後、お爺さんは、チャルちゃんに「デザートはいかがかな」と言い同じように指を鳴らした。その瞬間、今まで食べていた物がなくなり、変わりに、天井につきそうなケーキや宝石のように輝いてる果物、オレンジやピンクのお菓子や虹色の飴が出てきた。それを食べながら、色々な話をした。保育園や友達や先生。その話しを聞くお爺さん。そんな話しをしていたら、チャルちゃんは急に眠たくなった。
「ふあ〜〜ん」目をこするチャルちゃん。そしてそのまま机の上で眠ってしまった。
「おやおや、寝てしまったか・・・・」そう言うと、お爺さんは自分の部屋に掛けてあった赤いコートと帽子を取り出し黒いブーツに履き替えた。そして、チャルちゃんを暖かい毛布と大きなバスケットを持ってきてチャルちゃん毛布に包
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