凍えるような冷たい風。それでも、保育園の庭で元気に遊ぶ子ども達。その様子を、建物の中からそっと見つめる一人の女の子・・・・。
「はぁ〜〜」大きなため息をつくダークマターのマリちゃん。
「いやだな〜お外・・・・・寒いし、手は動かないし・・・・」真赤になった手を見つめるマリちゃん。
「どうしたの、マリちゃん?」プルプルと体が振るえているマリちゃんの様子を見て、心配そうに言うジョロウグモの百合ちゃん。
「あ・・・姫ちゃん・・・・・お外が寒くて遊べないの・・・・」
「寒いの?そしたら、あたしのマフラー貸してあげる!!」そう言うと百合ちゃんは、自分の首の所に巻いてあったマフラーをマリちゃんの首に掛けてあげた。
「ありがとう。百合ちゃん!!とても暖かいよ」もふもふとした雲みたいなマフラーに顔を埋めるマリちゃん。
「うん。あのね、そのマフラー私が作ったんだ」
「これ、百合ちゃんが作ったの?スゴーイ!!!」
「えへへ・・・・恥かしい」ほっぺたが赤くなり自分の繭の中に入ってしまった百合ちゃん。
「百合ちゃん!!明日、作り方教えて!!!私も、マフラー作りたい!!」目をキラキラしながら百合ちゃんに言うマリちゃん。
「本当?」繭の中からこっそり顔を出す百合ちゃん。まだ顔が赤いのか花の先がまだ赤かった。
「うん!!だって、百合ちゃんすごいもん!!私もこんな、暖かい物いっぱい作りたいもん!!」
「じゃあ、明日から頑張って作ろうね。マリちゃん」繭の中から出てきてマリちゃんの冷たい手を握る百合ちゃん。その手は、どんな暖かい物よりもとても優しくて暖かい手だった。
次の日から、二人は編み物をし始めた。器用に毛糸の帽子を編んでいく百合ちゃん。その様子を見ながら、同じように毛糸の帽子を編んでいく。見様見真似で作った帽子は、初めて作ったとは思えないほどとても綺麗に編んでいた。
「すごいね。マリちゃん」驚く百合ちゃん。その帽子は、オレンジと赤色の縞模様が入った毛糸の帽子だった。
「百合ちゃんだって、すごいよ!!とても、暖かそう」マリちゃんは、百合ちゃんが作った帽子を見て言った。その帽子は、白い綿帽子で周りには小さな白い綿がついており、その周りには雪の形をしたアップリケが装飾されていた。
「でも・・・・いっぱい作っちゃったね・・・・」
「うん・・・・どうしよう・・・・」二人はあまりにも夢中になりすぎて、多くのマフラーや毛糸の帽子を作ってしまった。
「う〜〜ん・・・この、帽子はパパとママにあげるんだけど・・・・他の帽子とマフラーどうしよう?」マリちゃんの腕には、パパとママにあげるマフラーと帽子を持っている。百合ちゃんの腕には、腹巻きと帽子を持っていた。
「そうだ!!!あのね、百合ちゃん・・・・・」
「うん!!いい考えかも!!」
「よ〜し!!そしたら、がんばろう!!!」
「おぉ〜〜!!」二人は、こそこそして何かを作り始めた。
===================================
〜とある部屋〜
この部屋には、多くの書物が詰まれていた。官能系から童話まで壁にはづらりと置かれていた。その、奥の部屋で、パソコンと正面から向き合う一人の男性。
「ふぅ〜これでよしと!!!」男は、何かを書いていた。
「いや〜。最近全然更新してなかったしやばかったな」大きく背伸びをしたら後ろから、何かが抱きついた。
「こんばんは!!!」
「うお!!!」いきなり背中に乗ってきたからなんだろう?と後ろを振り返ったら・・・・
「え!!!マリちゃん!?百合ちゃん!?」そこにいたのは、赤い服を来たマリちゃんと百合ちゃんだった。
「ふ・・・・二人ともどうやってこんな所まで?」
「「それは、ひ・み・つ」」二人は同時に言った。そして、俺に緑色の袋を渡した。
「これは・・・・」
「あたし達からのお礼です!!」元気な声で言うマリちゃん。
「あの・・・がんばって・・・ください」恥かしそうに言う百合ちゃん。
「ありがとう。二人とも」男は二人の頭をなでていった。
「そしたら、マリ達は他の所にも行ってくるから。いってきま〜す」そう言って、窓から飛び出していく二人。その様子を見ながら再びパソコンを開き何かを打ち始めた。男の横には、青空保育園の園児の名前や家族。そして、自警団の名前が書かれたメモが置いてあった。
[5]
戻る [6]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録