保育園の帰り、鼻歌を歌いながら家に向かって飛んでいくセイレーンのレンちゃん。今日は、パパもママも大仕事でいぞがしいから一人で帰ることになっているのだ。
「ふ〜〜んふんふんふ〜〜〜ん♪♪♪」今日歌った夕日の歌を鼻歌交じりで歌うレンちゃん。
「くふふ。今日も楽しかった!!!家に帰ったらママと一緒に歌おう♪♪」そう言いながら家に向かって飛んでいくレンちゃん。ちょうどその時道端で何かが倒れていた。
「なんだろ?」そう思うと、倒れているものが何か見るため下に降りていった。その所で倒れていたのは、一人の痩せこけた男性であった。
「おじさん大丈夫?」心配そうに言うレンちゃん。
「く・・・・くい・・・・・も・・・・・の・・・・・食い物をくれ・・・・」掠れ掠れでレンちゃんに食べ物をねだる男。
「食べ物・・・・」レンちゃんは今日自分が持ってきたお弁当箱に手をやり蓋をあけたが中身は空っぽ・・・・・
「ごめんね・・・今何も持ってないの・・・」残念そうに言うレンちゃん。
「う・・・うう・・・・」希望を失い愕然とする男。
「あっ!!でも待って!!確かこのあたりに・・・・」そう言うとかばんの中を漁り始めた。そして、かばんの中から小さな袋を取り出すと男に渡した。
「これは?」男がレンちゃんに言った。
「私の、おやつの残り・・・・駄目かな?」そう言って小さな袋から出てきた固形物を男に渡した。
「これは、何のおやつだい?なんかすごくいい匂いなんだけど・・・」渡されたものの匂いを嗅ぎ始める。ほんのりと果物の甘い匂いと小麦粉の香ばしい匂いが辺りに一面に広がった。
「これは、カロリーメイトだよ♪♪」そう言って答えるレンちゃん
「そうか・・・・・はむ・・・・むぐもぐ・・・・・・・・・」
「どう?おいしい?」
「・・・・・・・・・」
「???」
何にも返事がなく時間だけがすぎていく。
「う・・・・・うまい!!!!!!何だこのお菓子は!!!今まで食べてきたものとは違う味がする!!!噛めば噛むほど口の中に果物が広がっていく!!!なんてうまい食べ物なんだ!!!」
「家に帰ったら、もっとおいしいものが食べられるよ!!!」
「何!!!このカロリーメイトよりもうまい物が食えるのか!!!」
「うん♪♪♪」
「ホントか!!!・・・・・名前なんていうんだ?」
「レン・・・アカツキ レンだよ」
「アカツキ レン・・・・レンちゃんか!!!はじめましてスクートゥ・ヘイレスといいます」
「スクートゥ・ヘイレス???ヘイレスおじさんでいい?」
「あぁ、いいよ」
そして、二人は中華屋【音符亭】に向かっていった。
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〜音符亭・閉店〜
「貴方・・・レン遅いわね・・・」
「そうだな・・・・飛んですぐなんだけど・・・・やっぱり心配だな・・・」そう言って食器を洗いながら話している旦那のアカツキ ジュンヤとセイレーンで妻のセレナさん。
ちょうどその時、息切れしながらレンちゃんが音符亭に入ってきた。
「パパ!!ママただいま!!!」
「お帰り、レン・・・どうしたのそんなに慌てて?」息切れして帰ってきたレンちゃんを心配して駆け寄っていくセレナさん。
「うん!!あのね・・・・・・・・」
〜いきさつを説明中〜
「ふむふむ、それでここに来る途中にそのヘイレスおじさんがお腹の減りすぎで道端で倒れて急いで家に帰ってきたんだな」
「うん!!!!」
「「えぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」」
二人は驚いたが娘の頼みを断れないので、そのヘイレスという男を助けに行き、店の料理をご馳走した。
「ハグハグ!!!ガツガツガツ!!!!ムグムグ!!ズズズゥ〜〜〜〜〜〜」作っても作っても、間に合わないぐらい物凄い勢いで食べるへイレス。店にあったすべての食材がなくなってしまうかの勢いであった。
「ふぅ〜〜食った、食った」満足そうにお腹を撫でるヘイレス。
「ヘイレスおじちゃんのお腹パンパン〜〜」そう言ってヘイレスのお腹を叩くレンちゃん。
「コラ!!レン!!!ヘイレスさんのお腹を叩いちゃ駄目よ!!」レンちゃんを怒るセレナさん
「そんなことより・・・・へイレスさん・・・・なんで行き倒れなんてなってたんだ?」
「いや〜、仕事先に行く途中で道に迷っちまって・・・・それに、俺はずっと山の中で暮らしてたからわからなかったんだよ」豪快に笑ってるが、ジュンヤは、笑えなかった。このご時世に行き倒れなんて洒落にならねえよ!!!
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