君が強く思えば・・・・

 
 深く茶色いフードを被り長く白い棒を持ち野原を歩いていく一人の男性。彼の後ろには一匹の馬が荷物を背中に持ちゆっくりと歩いていた。

 「さて、ここも反魔物領か・・・昔来たときは親魔物領だったのに・・」うなだれる男性。それを、慰めるかのように馬が鼻息を鳴らしながら男性の元にいった。

 「慰めてくれるのか・・・・ありがとう」男性は擦り寄ってきた馬に声をかけた。馬は嬉しそうにブルルッと顔を振るわせた。

 「ん・・・あれは・・・」馬を撫でていたら、遠くの方で騎士が三人とハーピーが追われていた。

 「あれは、此処の王国の騎士団・・・いかん!!」そう言うと男性は馬に乗り騎士団に追われているハーピーを助けに行った。

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 「さぁ、魔物の嬢ちゃん。楽しい鬼ごっこは終わりだぜ」金色の鎧を身にまとう騎士。その周りには、銀色の鎧を着た騎士が2人いた。ハーピーは、敵意むき出しで3人を睨んだ。

 「おぉ〜恐い。恐い」そう言いながら剣を抜く金色の騎士。

 「おい、お前ら。へらへら笑ってないでその魔物を取り押さえろ」男が言うと周りにいた男たちはハーピーを取り押さえた。必死に抵抗するが男二人と魔物でしかもハーピーの少女である。力には差があり数回暴れたがあえなく力強く取り押さえられた。

 「恨むなら、自分が魔物になっていることを恨めよな」そう言うと、剣をハーピーの少女に振り下ろそうと振りかぶった。

 「ん・・・んぐぐ・・・なんだ?体が動かない!?」男は剣を振りかざす所で固まってしまったのだ。

 「隊長・・・あれ・・・俺達も体が・・・」他の男達も同じように体が固まり動けなくなっていた。

 何があったのかまったく分からないハーピー。その後ろからはフードを被った男性が彼らの所まで歩いていった。

 「お・・・おい!!お前かこんなことしたのは?おい!!聞いてるのか!!おい!!」喚く騎士を尻目に男性は取り押さえてる男性に何かを語りかけそのまま男たちは音もなく崩れた。

 「さぁ・・・おいで」男性は、ハーピーに手をやった。

 少女は、始めは警戒したものの彼が助けてくれたのを知るとゆっくりと男性のもとへ歩いていった。

 「もう、大丈夫だ」ハーピーの少女を抱きしめる男性。

 「おい!!俺らに何しやがった!?」金色の鎧を着た騎士が喚いた。

 「少し、緊縛魔法をかけた・・・・安心しろ、数時間もすれば元に戻るさ」そう言うと男性はハーピーを連れて居なくなった。

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 「危ない所だったな・・・」そう呟いたのは男性の方だった。だが、ハーピーは一言も話さなかった。

 「名前を行ってなかったな・・・私の名前はライク・スートリア。皆からはライクと呼ばれてる。君の名前は?」

 「マーシャ・・・・・マーシャ・ユカナ・・・・・」ポツポツというマーシャ。

 「マーシャ・ユカナ・・・・ふむ、いい名前だ」そう言うとライクはマーシャを見た。マーシャはハーピーであったが左側の羽根は無残に折れ曲がっていた。ライクがその翼に気づいたのか分かったマーシャは続けていった。

 「これは、昔から・・・生まれた時からこうなっていたの・・・・」そう言うとマーシャは空を見上げた。空には、白い鳥が優雅に飛んでいた。

 「・・・・・」ライクは何も言わずそこで立ち止まった。

 「あたし、空を自由に飛びたいの・・・でも、この翼じゃ飛べない・・・さっきの人達からも逃げられない・・・」ぎゅっと折れ曲がった翼を隠すようにするマーシャ。

 「その翼、よく見せてくれないかい?」ライクはマーシャの翼を優しく手にとった。

 「・・・うん」そっと折れた翼を見せるマーシャ。

 「ふむ・・・これくらいなら・・・」そう言うとライクはそっと折れた翼に手をやった。そしたら、まゆばい光と共に折れた翼が綺麗に広がっていた。驚くマーシャ。

 「さぁ、これでもう大丈夫だ。後は君次第だよ」そう言うと、ライクは立ち上がり歩き出した。

 少しの間、驚いて動けなかったマーシャだったが我に返りライクの後を追った。

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 数日後、マーシャの飛ぶ訓練に付き合ったライクは彼女の飛行能力に驚いた。少しだけ教えたのに2時間もしたら風に乗り高く飛べるのであった。

 「ありがとうライクさん。あなたのお陰で、あたしの夢が叶いました」彼女はライクに深くお辞儀をした。

 「いや、構わないさ。君が、空を飛びたいと思ったからあの魔法ができたんだよ・・・・」

 「え?どういうこと」

 「私の魔法はね、人の強い思いを現
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