現在地-スーダン-宿屋
とりあえず宿をとった俺達はこの街の事を店主に教えてもらった。
この街の傍には鉱山があり、そこでよく鉄が取れるらしい。
そしてこの街はそこから掘った鉄で武器を作り、その武器は闘技場で使われたり、闘技大会に出る奴等が買ったりするらしい。
「闘技場に闘技大会か」
コイツは随分と面白そうだな!
「お兄さんは闘技大会にでるんですか〜?」
「ああ!面白そうだし、俺の実力も試せるしな!」
強い奴いるかな?どのぐらい強いんだろうな〜?
「でも、此処のスーダン闘技場は他のと比べて小さいからな…そこまで大した奴は集まらないんじゃないのかい?」
やる気を出していたのに、アノンの言った言葉で一気にテンションが下がった…。
「え、そなの?」
「ああ、一番大きいのはこの大陸の中央近くにある国らしいからね」
「…がっかりだぜ」
ショボーンと効果音が聞こえそうな位落ち込むと、ウトが俺の傍にやって来た。
「大丈夫ですよ!仮にも闘技場なんだし…強い人はきっと一杯いますよ!」
なんて健気なゴブリンだ…こういう性格のゴブリンは珍しいらしい。
まあ基本バカだけど。
それじゃあ参加できるか確認してくるか。
宿から出て街を見渡すと山の岩を削りだした建物が並んでいて、上下の段差が大きく、一番高い所から見下ろすと絶景だろう。
因みに一番高い場所は山方面の門だ。
向こうの方にコロッセオのような闘技場が見えた。
「おー、小さいっても結構でかいじゃん」
「他のと比べたらって言ったろう?」
「ったろー!」
アノンの口調を真似したキャノが俺に飛び掛ってきて肩車のような体制になる。
どうやら俺の肩車が気に入っているようだ。
「キャノ、いいな…」
「う〜!兄貴!あたいも抱っこしてくれよ〜!」
「お兄さん私も〜」
俺に輝く視線を注ぐゴブリンs…。
「さ、さて…早い所行こうぜ!」
逃げるようにして闘技場の見えるほうへと走る。
流石に全員ぶら下げて歩くのはきついしな。
「あ!待ってくれよ兄貴ー!」
「お兄さ〜ん」
「あっ…」
「ちょ…セン!アンタが向かっても絶対にたどり着けないから…って待ちな!」
何か言ってるが何簡単だ。
あの闘技場に向かって走ればいいだけだ!
「行くぜキャノ!」
「いくぜー!」
残念だがあいつ等の足じゃ俺には追いつけん!
そのまま俺は闘技場の見えるほうへ走っていった。
現在地-スーダン-山方面の門
おっかしいな…闘技場へ向かっていたはずなのに…。
「迷ったな」
「たなー!」
後ろを見ると、さっき言ったとおり、町全体が見下ろせて絶景だ。
ただし高所恐怖症の人は注意した方がいい。
「いやー、いい天気だし、いい眺めだなー」
「だなー」
景色を見ながら、妙にホクホクした雰囲気になる…ちょっと眠くなってきたし。
「「ふぁ〜…」」
俺も、肩車してるキャノも同時にあくびをする…。
だが次の瞬間、ドンっと誰かにぶつかられて少しフラつく。
「うわっ?」
「おっと!ゴメンね〜!」
俺にぶつかった小さな影は、下に降りてていくための階段をスタコラと降りていく。
その影は、子供くらいの身長の小さな少女で、頭には灰色の丸い耳と、チョロリとした尻尾が尻から生えていた。
服装もなんかチーズみたいだったし…鼠か?
「今のって…」
「あんちゃん、今のはラージマウスだが…食料みたいなのは盗まれやすいから気をつけろよ。それに最近は金まで盗むからな…」
「そうなんだよなぁ…普通は金までは盗まないのにな」
門の傍で荷物を運んでいたマッチョなおっさん達が教えてくれる。
ラージマウス…やっぱ鼠か。
で、盗まれたものはあるかな?
おお、腰に括り付けといた食料袋がないな。
金を入れといた袋もない。
あれがないとこれからの旅が心配になるな〜、それにこの先砂漠だし。
「追っかけるか」
「けるかー」
俺は屈伸すると、階段ではなく絶壁の崖に走り出す。
「しっかり掴まってろよキャノ」
「つかまるー!」
助走をつけて崖の一歩手前で思いっきり踏ん張り地面を蹴る。
「俺の足から逃げられると思うなよ?」
跳んだ…いや、飛んだ瞬間辺りがどよよっと騒がしくなるが関係ないな。
ゴォオオオオオオと空気の音を耳に眼前に迫る建物の屋根。
空中でクルっと一回転すると膝をしっかり曲げて着地する。
少し衝撃が足に来たが問題ないな。
そしてラージマウスを発見する。
中々素早く、既に階段を降りてきた様だが、まだまだ甘い!
「金と食料を返してもらおうか」
屋根の上をピョンピョン飛んでラージマウスを追いかける。
鼠だけあってすばっしっこいが残念ながら俺は振り切れない。
そし
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