荒れた山にはゴブリン団

現在地-荒野-詳細不明

俺は今、地図を見ながら唸っていた。

おかしい…首都に行くには草原を歩かなければならないのに何時の間にかこんな荒野に来てしまった。

もしかして南側の荒野に入ってしまったのか?いや、ちゃんと左前方に進んでいたはず…。

「この地図間違ってる!」

「間違ってるのはアンタの頭だぁああああああ!」

ガィン!という音と共に頭を凄い衝撃が貫いた。

多分仲間になったミノタウロスのアノンが斧の側面で頭を叩いたせいだ。

「いだだだだだぁ!?」

あまりの鈍痛に叩かれた部分を両手で押さえて地面を転がる。

痛い痛い!地面の小石が背中に刺さって痛い!頭も痛い!

「首都に行くって聞いてたけどどんどん荒野に向かってって、何か考えでもあるのかと思ったら純粋に迷っただけかい!?」

「ち、違う!あそこから首都は北西に向かえばあったからちゃんと北西に…そう、左前方に進んでいたんだ!」

「だからそれ違うって言ってるだろう!?」

こんな感じでギャーギャー言い争っているが、確かに良く考えてみれば荒野に居るのだから南下してしまったのだろう…。

「…それじゃあ首都は諦めるか」

残念だが仕方が無いな。

「そんなに簡単に諦めていいのかい?用があったんじゃ?」

「別に。俺は当てのない旅をしてるだけだから、面白そうな事があればそれでいいのさ」

「当てのない旅って…アタシらミノタウロスが言えた義理じゃないけど随分適当だね」

適当でいいのさ。

元々この世界に呼び出されたのも偶然で何するかなんて決まってないんだし。

再び地図を見て近くに町がないか確認する。

ここから南に向かうと荒れた山岳地帯で、山を二つ程越えると町がある。

その更に南には砂漠があり、その砂漠の途中に国境があり、更に南下すると海にたどり着き、港町がある。

その港町で補給してから海沿いに東にでも向かうか…そうだ、ジパングでも目指すか。

旅プラン、南に向かう→山を越える→町で準備する→砂漠に入る→国境を越える→港町で補給する→東へ向かう→ジパングにGO!

カ・ン・ペ・キ!

「と言うわけであの山を越えるぞ」

「どう言うわけさ?」

「まあどんどん南下してって砂漠も越えて、港まで行って海沿いに東に向かうんだ」

「まあ当てがないなら別にいいけどさ…」

「じゃ、出発だ」

そうんなこんなで俺とアノンは荒れ果てた大きな山に向けて足を進めた。



現在地-一つ目の荒れ果てた山-登り途中

俺とアノンは足場の悪い荒れた山を登る。

ザッザッザ…

コソコソ…

登る。

ザッザッザッザ…

コソコソコソ…

…登る。

ザッザッザッザッザ…

コソコソコソコソ…

さっきかっら後ろをつけてくる小さな女の子がいるんだが…。

さっきから白い布を被って身を覆ったりして隠れたつもりになっている。

しかも三人。

一人目は赤く短い髪の毛に、子供体系、頭に二本の角が付いている。

二人目は桃色の髪の毛で他の二人よりもう一回り身長が小さく、一人目同様角が付いて、幼児体系。

三人目はオレンジ色の髪で頭に角も付いているが片角が途中から折れている。同じく幼児体系。

今は三人纏めて俺の腰くらいの高さの岩の陰に隠れている。

「…なあアノン、あれって…」

「ゴブリンだね、大方アタシ等を襲って身包み剥いで男のセンを連れてって犯す気なんだろうさ」

センなら大丈夫だろうけどねと言って先に行ってしまう。

俺は足を止めて岩を見続ける。

少し戻って岩の前に立つ。

「お、おい…ばれちまったんじゃないか?」

「かー?」

「そ、そんな筈は…」

「でもずっと見てるぞ?」

「ぞー?」

こんなにも近くにいるのに普通の声量で喋るのでまる聞こえだ。

岩を足蹴にする。

「ほいっ」

そのまま蹴って押す。

「え?」

「え?」

「えー?」

坂道なので重力に従いゴブリン三人を巻き込んで転がっていった。

「「「あぁあああああぁぁあああぁああぁあああぁああー!!!??」」」

「じゃあなー」

とりあえず手を振っておいた。

ゴロゴロ転がっていく岩とゴブリン達を背にアノンを追いかける事にした。



現在地-一つ目の荒れ果てた山-降り途中

…んー、上の方から気配を感じる…。

ゴロゴロゴロゴロ…

ん?なんかゴロゴロ聞こえるし。

後ろを振り返ってみるとさっき俺が蹴ってゴブリン達と一緒に転がっていった岩が今度は俺達に向かって転がってきた。

避けるか、これくらいの速度と大きさなら二歩も横にずれれば当たらないだろうし。

そして二歩横にずれると俺の横を通り過ぎていき、下のほうへ…。

下では、アノンが斧を振りかぶっていた。

「アンタ等…邪魔だよ!」

そして斧で岩を打つと、岩は
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