黒槌と鬼人

現在地-闘技場都市ソサエティ-宿屋ミルクハウス

「う…あぁ…」

朝日が嫌に眩しいと感じてタタラは目を覚ました。

そう言えば、昨日は酔ったカレンとコレットとヤってしまった事を思い出して責任を取らなければ…などと考えていた。

ベッドから身を起こして周りを見渡してカレンとコレットを見つけるが思わずギョッとする。

床には破かれたベッドのシーツなどで体中亀甲縛りで縛られたカレンが嬉しそうな顔で横たわっており、タタラの隣には、全裸のコレットが少し体を白く染めながら眠っていた。

そこまで確認してタタラは思い出した。

先にイった二人にお仕置きとして、カレンはシーツで縛って放置プレイ、コレットはその大きな胸を揉みながら徹底的に犯したのだ。

カレンが本気になればシーツくらいは千切れるだろうが、それをしなかったのはカレンがドMだからだろう。

やっちまったと思いながらとりあえず水浴びでもして体を清めようと、カレンの体を縛ってたシーツを解きながら考えていた。

窓の外を見るとまだ日が昇り始めたばかりなので、カレンもコレットも寝かせておく事した。

狭い庭にある井戸で水を汲んで自分に浴びせて体の汚れを落としてさっぱりとする。

「…そういや今日は闘技大会の決勝トーナメントだったな。カレンあんなに酒を飲んでたが二日酔いになったら戦えるのか…?」

唯でさえ酒に強くなく、あんなに派手に頭から酒を浴びてベロンベロンに酔っていたのだ…二日酔いにならない筈が無い。

部屋に戻ると、コレットもカレンもまだ眠っていた。

せっかく早起きしたのだから、散歩にでもでかけようと部屋に書置きをし、ハンマーを背負って宿を出た。

早朝だが、街にはちらほらと人影が見える。

出店を開く者やこの月に一度の人々が集まる期を狙って商人も集まってきている。

するとこの通りをもの凄い速さで走る馬車があり、タタラに向かって来る。

「退いた退いた!」

馬車が引いていた荷車には果物や恐らく酒が入ったであろう樽が積まれており、恐らく仕入れに行っていた料理屋だろう。

決勝トーナメントが終われば優勝者は盛大に飲み食いをするが、その店に選ばれればかなりの儲けが出る。

馬車を引いている男はそういった意味で興奮しているらしく、通行人をあまり気にしていなかった。

その道の先に一人の大きな風呂敷を背負ったゴブリンが居るのにも気づかないくらいに。

「チッ」

タタラは背中のハンマーをその場に降ろすと駆け出してゴブリンを抱えて跳ぶと、間一髪馬車を避けることができた。

あの速度なら魔物と言えどかなりの傷を負う事になるだろう。

ゴブリンが背負っていた風呂敷が落ちて中身が飛び散ってしまう。

「危ないぞ!気をつけろ!」

声を飛ばしてくる男を横目で睨みながら、タタラはゴブリンを庇うように倒れた。

「あうっ!?」

「…ったく、この時期は街全体が荒くなるな」

身を起こして立ち上がるとハンマーを降ろした位置まで戻り、ハンマーを肩に担ぐ。

ゴブリンは何が起こったのかをあまり理解しておらず、座り込んだままキョロキョロと周りを見渡すだけだ。

地面に落ちたゴブリンの荷物は鉱石や工芸品らしく、落下した衝撃で壷などの工芸品は砕け散ってしまっていた。

だがタタラは無事な工芸品や鉱石を拾ってゴブリンに指しだした。

「…あ、ありがと…ってあぁー!?壷とか花瓶とか割れちまったよー!」

漸く今の出来事を理解したらしく頭を抱えて騒ぎ出す。

因みに今は早朝なので近所迷惑であるのは確実だろうが。

ハイハイするように地面を這いながら壊れた工芸品を拾い上げると、声が出ないほどショックを受けている。

タタラはゴブリンに近寄って顔を覗き込むとその目には僅かに涙が浮かんでいた。

「うううぅ…!二月もかけて作ったあたいの工芸品がぁ…!」

流石に幼い子供が泣いている姿を見るのは気まずいので、タタラは頭を優しく撫でてやる。

「ふぇ…?」

「…ま、元気出せよ。なんか食い物買ってやるから」

暫く撫でてやるとゴブリンも落ち着いたようで泣き止んだ。

その後二人で荷物を纏めなおして風呂敷に包み、ゴブリンは再びそれを背中に背負った。

「あんた…ありがとな」

へへへと渇いた笑みを浮かべてタタラに礼を言うゴブリンは頭を下げるが、背中の風呂敷の重さにバランスを崩して転びそうになるが、何とか堪える。

そんな微笑ましい様子を見てタタラも思わず軽い笑みを浮かべてしまう。

「な、なに笑ってんだよ?」

少々不満そうに頬を膨らませる…そんな顔を見ても、タタラはフッと笑ってしまう。

「別に何でもないさ…じゃあな」

「あ、待った!」

立ち去ろうとするタタラの着物の裾を掴んで引き止める。

「何だ?」

「えへへ、あたい
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